60代保育士の平均年収は?今からでも年収アップを狙える?
2024/04/12
以前の60代といえば、定年退職して現役を引退することが一般的でした。
近年は、平均寿命や健康寿命が延びたことに伴い、年金受給の年齢が引き上げられたことで、まだまだ現役として働く方が大勢いらっしゃいます。
60代は、子育てがひと段落したり、子どもが自立したことで使える時間やお金が増えたりする年代でもあります。
保育士としての働き方も、園長や主任保育士としてキャリアを継続している方もいれば、パートタイムなどの雇用形態で働いている方などさまざまでしょう。
そこで今回は、60代保育士の平均年収をいろんな角度で比較しながら、年収をアップさせる方法もご紹介していきます。
「60代の保育士だけど、平均年収はどのくらいなの?」
「60代からでも保育士として年収アップはできる?」
など、60代保育士の平均年収について気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
60代保育士の平均年収は?
それでは、60代保育士の平均年収はどのくらいなのでしょうか。
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、60代保育士の平均月給・平均年収は、以下の「表1」の通りになります。
同じ60代でも、前半の60~64歳、後半の65~69歳に分けて記載しており、前半・後半を合わせた平均年収は「392万1,850円」となりました。
「表1」をご覧いただくとわかりますが、60代の前半と後半では、収入の差がほとんどありません。
細かく見ると、60代後半の方が月給で4千円、年収で3万8千円ほど多くなっています。
表1:60代保育士の平均月給・平均年収(男女計)
年齢
月給
年収
60〜64歳
26万9,400円
390万2,900円
65〜69歳
27万3,400円
394万800円
参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
※年収は「きまって支給する現金給与額」×12+「年間賞与その他特別給与額」で計算
男女別の平均年収
次に、60代保育士の平均月給・平均年収を男女別に分けて、下記の表にまとめました。
「表2」が60代の男性保育士、「表3」が60代の女性保育士になります。
まず、60代の男性保育士から見てみましょう。
60代の男性保育士の場合は、月給に関しては60代前半(60~64歳)が8千円ほど多く、年収になると60代後半(65~69歳)の方が17万ほど多くなっているようです。
続いて、60代の女性保育士はどうでしょうか。
60代の女性保育士の場合は、平均月給・平均年収ともに60代後半の方がわずかに多くなっており、月給は3千円ほど、年収は2万5千円多い結果となっています。
では、60代の男性保育士と女性保育士の平均を比較してみるとどうでしょうか。
平均月給・平均年収ともに女性保育士の方が多く、月給では約8万円、年収はかなり差が開き、約148万円も多くなっていました。
これには、勤続年数が大きく関係していると考えられます。
60代の男性保育士と女性保育士の勤続年数を平均して見てみると、男性保育士はわずか2.1年なのに対し、女性保育士は16.1年にもおよんでいます。
勤続年数の長さに応じて給料が高くなりやすい保育業界では、女性保育士の場合、勤続年数にくわえて、何かしらの役職などの手当が給料に加算されているためだと考えられます。
表2:60代保育士の平均月収・平均年収(男性)
年齢
勤続年数
月給
年収
60〜64歳
1.8年
19万3,100円
237万4,600円
65〜69歳
2.4年
18万4,700円
254万7,500円
参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
※年収は「きまって支給する現金給与額」×12+「年間賞与その他特別給与額」で計算
表3:60代保育士の平均月収・平均年収(女性)
年齢
勤続年数
月給
年収
60〜64歳
13.7年
27万900円
393万3,200円
65〜69歳
18.4年
27万4,500円
395万8,200円
参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
※年収は「きまって支給する現金給与額」×12+「年間賞与その他特別給与額」で計算
規模別の平均年収
保育園の規模によっても保育士の平均年収は変わってくることも覚えておいてください。
基本的に、規模の大きい保育園の方が手当などが手厚くなり、保育士の給料が高くなる傾向にあります。なぜなら、保育園の規模によって国からもらえる補助金に差があるからです。
認可を受けている大規模の保育園は、補助金の額が大きく、保育士の給料に反映されやすくなっています。
一方、小規模の保育園や企業内の保育施設では、補助金が少額となるため、給料が少なくなってしまう場合も。
下記の表では、保育園の規模別による60代保育士の平均月給・平均年収の違いを記載しました。
60代前半(60~64歳)は「表4」、60代後半(65~69歳)は「表5」に分けています。
表4・5を見てみると、60代前半は、1000人以上の規模が平均月給・平均年収ともに最も多く、60代後半は、100~999人の規模が最も多くなっています。
先述したように保育業界は、勤続年数の長さが給料に大きく影響するので、勤続年数も一緒に見てみると、規模が大きい保育園の方が勤続年数に対する給料が高いことがわかります。
表4:保育園の規模別 60代前半(60~64歳)の保育士の平均月収・平均年収
保育園の規模
勤続年数
月給
年収
10〜99人
15.0年
25万4,400円
368万2,500円
100〜999人
10.9年
29万3,200円
427万7,000円
1000人以上
9.9年
34万800円
440万2,500円
参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
※年収は「きまって支給する現金給与額」×12+「年間賞与その他特別給与額」で計算
表5:保育園の規模別 60代後半(65~69歳)の保育士の平均月収・平均年収
保育園の規模
勤続年数
月給
年収
10〜99人
18.7年
25万7,200円
373万2,800円
100〜999人
17.2年
35万9,800円
511万6,500円
1000人以上
4.4年
32万300円
388万2,600円
参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
※年収は「きまって支給する現金給与額」×12+「年間賞与その他特別給与額」で計算
60代でも年収アップを狙える!その方法とは?
ここまで、60代保育士の平均月給や平均年収について見てきました。
あなたの今の年収と比較して「自分は少ない」と思われた方は、思い切って年収アップを狙ってみてはいかがでしょうか。
このような話をすると、
「もう60代だから、年収アップは無理かな・・・」と思われるかもしれません。
しかし、実は60代でも十分に年収アップを狙えるのです!
ここからは、60代保育士の年収をアップさせる方法について紹介していきますので、今の年収に満足していない方は、ぜひ参考にしてみてください。
方法1:専門性の高い資格を取得する
専門性の高い資格を取得することで、60代保育士の年収アップにつなげられます。
取得する資格は、保育に関連するもので、かつ需要のあるものがよいでしょう。
いくら専門性が高くても、保育に関係のない資格や、需要のない資格を取得しても評価されず、年収アップの可能性は低くなってしまいます。
保育園や保護者に求められている資格を取得することで、保育園にとって無くてはならない必要な人材となり、年収アップの可能性が高まります。
ただし、資格を取得すればどの保育園でも必ず年収が上がるわけではありません。
そのため、少しでも年収を上げたいと思う場合は、勤務する保育園としっかり相談したうえで資格取得を目指した方がよいでしょう。
以下の「表6」に、60代保育士にオススメの資格をまとめましたので参考にしてみてください。
せっかく資格を取るなら、苦手な分野を目指すよりも、得意だったり興味があったりする分野に的を絞ることが大切です。
表6:60代保育士にオススメの資格
資格
理由
幼稚園教諭免許
保育園は、幼稚園の機能をもった「認定こども園」への移行が進んでいます。保育士と幼稚園教諭の免許の両方を取得している「保育教諭」が今後の主流となりそうです。
リトミック指導員
リトミックとは、スイス生まれの音楽指導法で、音楽を使って子どものリズム感や集中力、自主性、協調性などを養っていくというもの。近年は、リトミックの手法を取り入れている保育施設も増えて需要が高まっています。
保育カウンセラー
保育の現場に特化したメンタルヘルスケアのスペシャリストです。たとえば、心が疲弊している保育士や保護者に対して、カウンセリングや心理学の知識をもって、悩みや相談の窓口となります。
MOS
(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)
保育園での事務業務も今後はペーパレス化が進んでくるでしょう。事務業務自体は難しくなくても、面倒で時間がかかる場合が少なくありません。そのため、パソコンに詳しい保育士がいれば保育園側も助かるでしょう。
方法2:キャリアアップ研修を修了する
キャリアアップ研修を修了すれば、60代保育士の年収を上げることができます。
キャリアアップ研修の正式名称は「保育士等キャリアアップ研修」といい、保育士のために国が定めた「処遇改善加算制度」のひとつです。
処遇改善加算制度とは、保育士の給料アップや、労働環境を改善するための制度のこと。
このキャリアアップ研修を修了し、役職に就任すれば、月5千円~4万円の給料アップができます。
これまで保育園というと、「園長」と「主任保育士」の2つの役職しかありませんでした。
しかし、国によって「副主任保育士」「専門リーダー」「職務分野別リーダー」という新しい役職が設立されたことで、ある程度の経験を積み、一定の条件をクリアしている保育士であれば、誰でもキャリアアップを目指せるようになりました。
対象者は正規職員だけでなく、パートタイム、派遣など雇用形態は問いません。
しかも、キャリアアップ研修を受講して交付される修了証は、更新の必要がないうえ、引っ越しで他県に移ったり、いったん保育現場を離れたりしたとしても、効力は持続して全国どこでも使えます。
下記の「表7」に、保育士が新役職にキャリアアップするための条件をまとめましたので、参考にしてみてください。
表7:保育士の新役職にキャリアアップするための条件
役職
キャリアアップの条件
副主任保育士
・経験年数がおおむね7年以上
・職務分野別リーダーを経験
・マネジメント研修+3つ以上の分野研修を修了
専門リーダー
・経験年数がおおむね7年以上
・職務分野別リーダーを経験
・4つ以上の分野研修を修了
職務分野別リーダー
・経験年数がおおむね3年以上
・担当する分野研修を修了
参考:子ども家庭庁「 処遇改善等加算IIの仕組み」
さらに詳しく知りたい方は、過去の保育のコラム
「保育士等キャリアアップ研修とは?処遇改善によって給料はどう変わるの?」をご覧ください。
方法3:他の保育園に転職する
60代保育士としての現在の給料が、平均的な水準と比べてかけ離れて少ないような場合は、思い切って他の保育園に転職することも視野に入れてみてください。
転職することで、現在より給料の高い職場に勤務できる可能性があります。
60代という年齢を考えたとき、確かに体力的なハンデがあるかもしれません。
しかし、これまでの保育現場での経験から、子どもだけではなく、他の保育士や保護者に対してもアドバイスを与えたり、相談にのったりすることができるはずです。
保育の教科書にのっているような内容ではなく、あなた自身が積み上げてきた経験を保育の現場に還元できれば、保育園にとって唯一無二の必要な人材とされる可能性が高まるでしょう。
60代でも年収アップを目指せる!
今回は、60代保育士の平均年収についてまとめました。
専門性の高い資格の取得や、キャリアアップ研修の修了、他の保育園への転職など、60代でも年収アップを目指せることがわかっていただけたのではないでしょうか。
厚生労働省が発表しているデータによれば、2019(令和元)年の健康寿命は、男性で72.68歳、女性で75.38歳となっています。
社会としては、 60歳をひとつの区切りと考えることも多いですが、まだまだ元気に働くことができ、年収アップのチャンスもたくさん眠っています。何よりも、今まで培ってきた知識や経験、使える時間の多さは60代だからこそといえるでしょう。
60代保育士は、今よりもまだまだ年収アップを狙える年代ですので、今回ご紹介した方法を参考に挑戦してみるのもよいかもしれません。
カテゴリ
保育士Q&A
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以前の60代といえば、定年退職して現役を引退することが一般的でした。
近年は、平均寿命や健康寿命が延びたことに伴い、年金受給の年齢が引き上げられたことで、まだまだ現役として働く方が大勢いらっしゃいます。
60代は、子育てがひと段落したり、子どもが自立したことで使える時間やお金が増えたりする年代でもあります。
保育士としての働き方も、園長や主任保育士としてキャリアを継続している方もいれば、パートタイムなどの雇用形態で働いている方などさまざまでしょう。
そこで今回は、60代保育士の平均年収をいろんな角度で比較しながら、年収をアップさせる方法もご紹介していきます。
「60代の保育士だけど、平均年収はどのくらいなの?」
「60代からでも保育士として年収アップはできる?」
など、60代保育士の平均年収について気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
60代保育士の平均年収は?
それでは、60代保育士の平均年収はどのくらいなのでしょうか。
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、60代保育士の平均月給・平均年収は、以下の「表1」の通りになります。
同じ60代でも、前半の60~64歳、後半の65~69歳に分けて記載しており、前半・後半を合わせた平均年収は「392万1,850円」となりました。
「表1」をご覧いただくとわかりますが、60代の前半と後半では、収入の差がほとんどありません。
細かく見ると、60代後半の方が月給で4千円、年収で3万8千円ほど多くなっています。
表1:60代保育士の平均月給・平均年収(男女計)
年齢 |
月給 |
年収 |
60〜64歳 |
26万9,400円 |
390万2,900円 |
65〜69歳 |
27万3,400円 |
394万800円 |
参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
※年収は「きまって支給する現金給与額」×12+「年間賞与その他特別給与額」で計算
男女別の平均年収
次に、60代保育士の平均月給・平均年収を男女別に分けて、下記の表にまとめました。
「表2」が60代の男性保育士、「表3」が60代の女性保育士になります。
まず、60代の男性保育士から見てみましょう。
60代の男性保育士の場合は、月給に関しては60代前半(60~64歳)が8千円ほど多く、年収になると60代後半(65~69歳)の方が17万ほど多くなっているようです。
続いて、60代の女性保育士はどうでしょうか。
60代の女性保育士の場合は、平均月給・平均年収ともに60代後半の方がわずかに多くなっており、月給は3千円ほど、年収は2万5千円多い結果となっています。
では、60代の男性保育士と女性保育士の平均を比較してみるとどうでしょうか。
平均月給・平均年収ともに女性保育士の方が多く、月給では約8万円、年収はかなり差が開き、約148万円も多くなっていました。
これには、勤続年数が大きく関係していると考えられます。
60代の男性保育士と女性保育士の勤続年数を平均して見てみると、男性保育士はわずか2.1年なのに対し、女性保育士は16.1年にもおよんでいます。
勤続年数の長さに応じて給料が高くなりやすい保育業界では、女性保育士の場合、勤続年数にくわえて、何かしらの役職などの手当が給料に加算されているためだと考えられます。
表2:60代保育士の平均月収・平均年収(男性)
年齢 |
勤続年数 |
月給 |
年収 |
60〜64歳 |
1.8年 |
19万3,100円 |
237万4,600円 |
65〜69歳 |
2.4年 |
18万4,700円 |
254万7,500円 |
参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
※年収は「きまって支給する現金給与額」×12+「年間賞与その他特別給与額」で計算
表3:60代保育士の平均月収・平均年収(女性)
年齢 |
勤続年数 |
月給 |
年収 |
60〜64歳 |
13.7年 |
27万900円 |
393万3,200円 |
65〜69歳 |
18.4年 |
27万4,500円 |
395万8,200円 |
参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
※年収は「きまって支給する現金給与額」×12+「年間賞与その他特別給与額」で計算
規模別の平均年収
保育園の規模によっても保育士の平均年収は変わってくることも覚えておいてください。
基本的に、規模の大きい保育園の方が手当などが手厚くなり、保育士の給料が高くなる傾向にあります。なぜなら、保育園の規模によって国からもらえる補助金に差があるからです。
認可を受けている大規模の保育園は、補助金の額が大きく、保育士の給料に反映されやすくなっています。
一方、小規模の保育園や企業内の保育施設では、補助金が少額となるため、給料が少なくなってしまう場合も。
下記の表では、保育園の規模別による60代保育士の平均月給・平均年収の違いを記載しました。
60代前半(60~64歳)は「表4」、60代後半(65~69歳)は「表5」に分けています。
表4・5を見てみると、60代前半は、1000人以上の規模が平均月給・平均年収ともに最も多く、60代後半は、100~999人の規模が最も多くなっています。
先述したように保育業界は、勤続年数の長さが給料に大きく影響するので、勤続年数も一緒に見てみると、規模が大きい保育園の方が勤続年数に対する給料が高いことがわかります。
表4:保育園の規模別 60代前半(60~64歳)の保育士の平均月収・平均年収
保育園の規模 |
勤続年数 |
月給 |
年収 |
10〜99人 |
15.0年 |
25万4,400円 |
368万2,500円 |
100〜999人 |
10.9年 |
29万3,200円 |
427万7,000円 |
1000人以上 |
9.9年 |
34万800円 |
440万2,500円 |
参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
※年収は「きまって支給する現金給与額」×12+「年間賞与その他特別給与額」で計算
表5:保育園の規模別 60代後半(65~69歳)の保育士の平均月収・平均年収
保育園の規模 |
勤続年数 |
月給 |
年収 |
10〜99人 |
18.7年 |
25万7,200円 |
373万2,800円 |
100〜999人 |
17.2年 |
35万9,800円 |
511万6,500円 |
1000人以上 |
4.4年 |
32万300円 |
388万2,600円 |
参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
※年収は「きまって支給する現金給与額」×12+「年間賞与その他特別給与額」で計算
60代でも年収アップを狙える!その方法とは?
ここまで、60代保育士の平均月給や平均年収について見てきました。
あなたの今の年収と比較して「自分は少ない」と思われた方は、思い切って年収アップを狙ってみてはいかがでしょうか。
このような話をすると、
「もう60代だから、年収アップは無理かな・・・」と思われるかもしれません。
しかし、実は60代でも十分に年収アップを狙えるのです!
ここからは、60代保育士の年収をアップさせる方法について紹介していきますので、今の年収に満足していない方は、ぜひ参考にしてみてください。
方法1:専門性の高い資格を取得する
専門性の高い資格を取得することで、60代保育士の年収アップにつなげられます。
取得する資格は、保育に関連するもので、かつ需要のあるものがよいでしょう。
いくら専門性が高くても、保育に関係のない資格や、需要のない資格を取得しても評価されず、年収アップの可能性は低くなってしまいます。
保育園や保護者に求められている資格を取得することで、保育園にとって無くてはならない必要な人材となり、年収アップの可能性が高まります。
ただし、資格を取得すればどの保育園でも必ず年収が上がるわけではありません。
そのため、少しでも年収を上げたいと思う場合は、勤務する保育園としっかり相談したうえで資格取得を目指した方がよいでしょう。
以下の「表6」に、60代保育士にオススメの資格をまとめましたので参考にしてみてください。
せっかく資格を取るなら、苦手な分野を目指すよりも、得意だったり興味があったりする分野に的を絞ることが大切です。
表6:60代保育士にオススメの資格
資格 |
理由 |
幼稚園教諭免許 |
保育園は、幼稚園の機能をもった「認定こども園」への移行が進んでいます。保育士と幼稚園教諭の免許の両方を取得している「保育教諭」が今後の主流となりそうです。
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リトミック指導員 |
リトミックとは、スイス生まれの音楽指導法で、音楽を使って子どものリズム感や集中力、自主性、協調性などを養っていくというもの。近年は、リトミックの手法を取り入れている保育施設も増えて需要が高まっています。
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保育カウンセラー |
保育の現場に特化したメンタルヘルスケアのスペシャリストです。たとえば、心が疲弊している保育士や保護者に対して、カウンセリングや心理学の知識をもって、悩みや相談の窓口となります。
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MOS (マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト) |
保育園での事務業務も今後はペーパレス化が進んでくるでしょう。事務業務自体は難しくなくても、面倒で時間がかかる場合が少なくありません。そのため、パソコンに詳しい保育士がいれば保育園側も助かるでしょう。
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方法2:キャリアアップ研修を修了する
キャリアアップ研修を修了すれば、60代保育士の年収を上げることができます。
キャリアアップ研修の正式名称は「保育士等キャリアアップ研修」といい、保育士のために国が定めた「処遇改善加算制度」のひとつです。
処遇改善加算制度とは、保育士の給料アップや、労働環境を改善するための制度のこと。
このキャリアアップ研修を修了し、役職に就任すれば、月5千円~4万円の給料アップができます。
これまで保育園というと、「園長」と「主任保育士」の2つの役職しかありませんでした。
しかし、国によって「副主任保育士」「専門リーダー」「職務分野別リーダー」という新しい役職が設立されたことで、ある程度の経験を積み、一定の条件をクリアしている保育士であれば、誰でもキャリアアップを目指せるようになりました。
対象者は正規職員だけでなく、パートタイム、派遣など雇用形態は問いません。
しかも、キャリアアップ研修を受講して交付される修了証は、更新の必要がないうえ、引っ越しで他県に移ったり、いったん保育現場を離れたりしたとしても、効力は持続して全国どこでも使えます。
下記の「表7」に、保育士が新役職にキャリアアップするための条件をまとめましたので、参考にしてみてください。
表7:保育士の新役職にキャリアアップするための条件
役職 |
キャリアアップの条件 |
副主任保育士 |
・経験年数がおおむね7年以上 ・職務分野別リーダーを経験 ・マネジメント研修+3つ以上の分野研修を修了
|
専門リーダー |
・経験年数がおおむね7年以上 ・職務分野別リーダーを経験 ・4つ以上の分野研修を修了
|
職務分野別リーダー |
・経験年数がおおむね3年以上 ・担当する分野研修を修了
|
参考:子ども家庭庁「 処遇改善等加算IIの仕組み」
さらに詳しく知りたい方は、過去の保育のコラム
「保育士等キャリアアップ研修とは?処遇改善によって給料はどう変わるの?」をご覧ください。
方法3:他の保育園に転職する
60代保育士としての現在の給料が、平均的な水準と比べてかけ離れて少ないような場合は、思い切って他の保育園に転職することも視野に入れてみてください。
転職することで、現在より給料の高い職場に勤務できる可能性があります。
60代という年齢を考えたとき、確かに体力的なハンデがあるかもしれません。
しかし、これまでの保育現場での経験から、子どもだけではなく、他の保育士や保護者に対してもアドバイスを与えたり、相談にのったりすることができるはずです。
保育の教科書にのっているような内容ではなく、あなた自身が積み上げてきた経験を保育の現場に還元できれば、保育園にとって唯一無二の必要な人材とされる可能性が高まるでしょう。
60代でも年収アップを目指せる!
今回は、60代保育士の平均年収についてまとめました。
専門性の高い資格の取得や、キャリアアップ研修の修了、他の保育園への転職など、60代でも年収アップを目指せることがわかっていただけたのではないでしょうか。
厚生労働省が発表しているデータによれば、2019(令和元)年の健康寿命は、男性で72.68歳、女性で75.38歳となっています。
社会としては、 60歳をひとつの区切りと考えることも多いですが、まだまだ元気に働くことができ、年収アップのチャンスもたくさん眠っています。何よりも、今まで培ってきた知識や経験、使える時間の多さは60代だからこそといえるでしょう。
60代保育士は、今よりもまだまだ年収アップを狙える年代ですので、今回ご紹介した方法を参考に挑戦してみるのもよいかもしれません。