保育のコラム

保育士が年収600万円を目指すためにはどうすればいい?

2024/07/12

突然ですが、保育士として年収600万円を目指せるとしたらどう思いますか?

 

ちなみに、国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、年収600万円超え700万円以下の人は、全体の6.9%しかいません。

 

「年収600万円あれば、もっと生活に余裕ができるのに……」

 

といったような憧れの気持ちが浮かんでくる人もいると思います。

 

保育士は、国家資格や専門知識が必要なわりに、もらえる給料が低いイメージがありますが、年収600万円を目指すことは可能なのでしょうか?

 

そこで今回は、保育士が年収600万円を目指すための具体的な方法について解説していきます。

保育士として年収600万円を目指したい方、今よりも年収を上げたい方は、ぜひ最後までお付き合いください。

 

保育士でも年収600万円は十分可能!

それでは、保育士が年収600万円を目指すために、保育士の平均年収の現状を見てみましょう。

 

厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、保育士の平均年収は「382万円」でした(「きまって支給する現金給与額」×12+「年間賞与その他特別給与額」で計算)。

 

このデータからわかるように、保育士としてフルタイム勤務を続けるだけでは、年収600万円には手が届きません。

しかし、保育士としてスキルアップやキャリアアップをして、少しずつ経験を積み上げていくことで、年収600万円を目指すことは十分可能です。

 

以下より、具体的な方法を詳しく解説していきますので、ぜひチェックしてみてください。

 

保育士が年収600万円を目指すための5つの方法

ここからは、保育士が年収600万円を目指すために必要な5つの方法について紹介していきます。

 

先ほどもお伝えしましたが、保育士で年収600万円を目指すことは不可能ではありません。

しかし、単に保育士としてフルタイム勤務するだけでなく、それ以外の方法も使っていきながら年収を上げていく必要があります。

 

年収600万円は、保育士の平均年収の約1.5倍です。

決して楽な道ではありませんが、保育士としての大きな自信や価値の向上につながるでしょう。

 

公立保育園の主任を目指す

1つ目の方法は、公立保育園の主任を目指すことです。

 

主任とは、保育施設で園長(施設長)の補佐や、現場の職員をまとめるリーダー職です。

運営と現場の双方をサポートする非常に重要な役職と言えるでしょう。

 

まず、子ども家庭庁「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」のデータを元に、各保育施設(保育園・幼稚園・認定こども園)の主任の月収および年収を見てみましょう。

 

下記の「表1」をご覧ください。

 

私立と公立の保育施設で比較した場合、すべて公立の保育施設の主任が、月収および年収を上回っています。中でも、公立保育園の主任がもっとも年収が高いことがわかると思います。

 

このことから、公立の保育園の主任になることで、年収600万円を達成することができるでしょう。

 

表1:主任の月収および年収 私立と公立で比較(保育園・幼稚園・認定こども園)

事業所区分

月収(賞与込み)

年収

私立保育園

422,966円

5,075,592円

公立保育園

561,725円

6,740,700円

私立幼稚園

349,961円

4,199,532円

公立幼稚園

537,134円

6,445,608円

認定子ども園(私立)

375,965円

4,511,580円

認定こども園(公立)

514,214円

6,170,568円

参考:子ども家庭庁「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査

※年収:1人当たり給与月額(賞与込み)×12ヶ月で計算

 

公立保育園の園長を目指す

2つ目の方法は、公立保育園の園長を目指すことです。

 

園長とは、保育施設の運営や経営を行う、一般企業でいえば社長のようなポジション。

専門的な知識や豊富な経験にくわえて、客観的な立場で保育施設を統括しなければなりません。

その責任の重さから、年収は保育施設で働く誰よりも高いと言えます。

 

同じく、子ども家庭庁「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」のデータを元に、園長の月収と年収を見ていきましょう。

 

下記の「表2」をご覧ください。

 

園長の月収および年収を、私立と公立の保育施設で比較した場合、すべて公立の園長が上回っていました。主任の場合と同じく、各保育施設の中では、公立保育園の園長がもっとも年収が高いことがわかります。

 

表2を見るかぎり、公立保育園の園長になることができれば、年収600万円だけでなく、年収700万円も目指すことができるでしょう。

 

表2:園長の月収および年収 私立と公立で比較(保育園・幼稚園・認定こども園)

事業所区分

月収(賞与込み)

年収

私立保育園

565,895円

6,790,740円

公立保育園

632,982円

7,595,784円

私立幼稚園

453,458円

5,441,496円

公立幼稚園

625,524円

7,506,288円

認定こども園(私立)

556,400円

6,676,800円

認定子ども園(公立)

618,928円

7,427,136円

参考:子ども家庭庁「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査

※年収:1人当たり給与月額(賞与込み)×12ヶ月で計算

 

保育園運営会社の本部スタッフとして働く

3つ目の方法は、保育園運営会社の本部スタッフとして働くことです。

 

保育園運営会社とは、その名の通り保育園を運営するための会社のこと。

一般企業と同じように、営業や人事、事務などの部署があります。

 

その中で、保育園の運営をサポートするための仕事もあれば、系列の保育園を巡回しながら保育士として働く場合もあります。

 

特に、様々な職種と関わって仕事を進めるため、担当業務に関わらず、コミュニケーション能力をはじめ、分析能力や判断能力、タスク管理などの能力が必要です。

 

保育施設の運営に関わることから、保育士資格や保育経験を必要とされたり、事務や人事などではWord やExcel、PowerPointといったパソコンのスキルが求められたりもします。

 

そして、単に運営会社の本部スタッフとして働くだけでは年収600万円は目指せません。

保育園運営会社の本部の役職に就くことや、さらにスキルアップをしていくことが年収を上げるためには必要です。

 

では、保育園運営会社の本部の仕事には具体的にどのような働き方があるのでしょうか。

以下から詳しく見ていきましょう。

 

総合職保育士

保育園での通常業務だけでなく、保育園運営会社の本部で事務や人事の業務につく場合もある総合職保育士。

 

保育現場で経験を積んだ後、園長や主任保育士などの管理職を目指すケースや、本部スタッフになるかを選択できるケースがあります。

 

ほかにも、入社して2年間は保育業務、3年目から本部で総合職に就くやり方や、保育業務と総合職に並行して関わるなどの様々な働き方があり、保育園運営会社によっても方針が異なります。

 

総合職保育士になるには、保育士資格が必要であるほか、保育園の勤務地が選べなかったり、転勤や異動が多かったりする場合もあることに注意しましょう。

 

スーパーバイザー

保育現場と本部のパイプ役となるスーパーバイザー。

 

保育現場と本部との架け橋となり、お互いの意思疎通を助けるとともに、職場の環境改善や問題解決などを行うほか、人員不足の際は保育士としてヘルプに行くこともあります。

 

具体的には、園長はじめ保育士の業務サポート、行政による監査への対応、新設保育園の開園準備や開園後のサポート、保育士の採用面接など多岐にわたります。

 

総合職

一般企業と同じように、営業・人事・広報・事務・運営管理などの業務を行う総合職。

営業であれば、委託先の新規開拓、契約の締結、アフターフォローなどを担います。

 

経理であれば、企業経営におけるお金の流れを把握し、日々の売上や仕入の会計処理、口座管理、決算処理、給与振込、監査対応などを。

 

事務では、書類の作成、ファイリング、データ入力、郵便物の処理などのデスクワークを行います。

 

人事は、人材採用、教育研修、評価といった業務を。

労務は、給与計算、社会保険の手続き、福利厚生、勤怠管理、入退社の手続きなどです。

 

保育園運営会社によっては、上記のほかに、給食品質管理やマーケター、エンジニアといった職種もあります。

 

ベビーシッターとして働く

4つ目は、ベビーシッターとして働くことです。

保育士としての経験を活かしてベビーシッターになれば、高収入を確保できる可能性があります。

 

ベビーシッターは、保育士資格を持っていなくても研修を受講すれば働けますが、保育士資格を持っていたり、保育に関する専門知識やスキルがあったりすれば、利用者から仕事をもらいやすくなるでしょう。

 

早朝や深夜の託児、病後保育、障がい児保育などのオプションをつければ、さらに大きく稼ぐことができます。スキルや時間、保育する対象などを差別化して、他の保育者との違いを考えてみるとよいかもしれません。

 

ベビーシッターは、自分で時給や日給を設定して働けるので、自身の頑張り次第では年収を青天井にでき、年収600万円を目指せる可能性があります。

 

保育ライターとして働く

最後の5つ目は、保育ライターとして働くことです。

保育ライターは、Webサイトのコラム記事や、保育関連の情報誌などを執筆する仕事です。

 

今まで培ってきた保育士としての現場経験や専門知識、専門スキルを使って書くことができれば、ほかのライターよりも有利に仕事を受注することができるでしょう。

 

保育系のブログ記事などを自分で書けば、安定した広告収入につながることを期待できるかもしれません。保育ライターの報酬は、1文字1円といったような文字単価や、1記事5,000円といった記事単価で設定されているケースが多いと言えます。

 

継続的に案件を受注することで、徐々に実力がつくだけでなく、信頼や能力を見込んでもらえ、高単価の案件を受注できる可能性が高まります。

 

パソコンとネット環境があればできるで、仕事の合間に書いたり、ほかの仕事と組み合わせたりすることで、年収600万円を目指すことができるでしょう。

 

保育士が年収アップを目指すには?

そもそも保育士が年収アップを目指すには、どうすればよいのでしょうか?

ここからは、保育士として年収アップを目指す方法について解説していきます。

 

【1】経験や勤続年数を積んでキャリアップする

1つ目は、経験や勤続年数を積んでキャリアップすることです。

 

園長や主任保育士といった役職に就くことで、役職手当がもらえて年収アップすることができるでしょう。しかし、園長や主任保育士になるには、10年以上の長い勤続年数にくわえて、役職枠がきわめて少なく、キャリアアップするには狭き門です。

 

ところが、最近では「副主任保育士」「専門リーダー」「職務分野別リーダー」という新しい役職が政府によって設立。これにより、中堅や若手の保育士でもキャリアアップを目指せるようになりました。

 

そのため、比較的に年齢が若い保育士でも、役職に就くことができ年収アップが可能です。

ただし、キャリアアップするためには、専門知識やマネジメントなど、多くの能力が求められることも忘れないようにしましょう。

 

【2】キャリアアップ研修を受講して手当を受け取る

2つ目は、キャリアアップ研修を受講して手当を受け取ることです。

 

キャリアアップ研修とは、保育士の給料アップや、専門性の向上などを目的に国が定めた制度のこと。正式には「保育士等キャリアアップ研修」と言います。

 

上記と少し被りますが、キャリアアップ研修を修了し、国によって新しく設立された役職である「副主任保育士」「専門リーダー」「職務分野別リーダー」に就任できれば、月5千円~4万円の給料アップが可能です。

 

ただし、役職の枠が保育園によって決まっており、研修を受ければ必ず全員が役職に就けるわけではありません。前提として、キャリアアップ研修を受けることができるのは、ある程度の保育経験を積み、一定の条件をクリアした保育士のみとなります。

 

下記の「表3」では、保育士等キャリアアップを受講するための条件をまとめました。

 

さらに詳しく知りたい方は、

過去の保育のコラム「保育士等キャリアアップ研修とは?処遇改善によって給料はどう変わるの?」もご覧いただければと思います。

 

表3:保育士の新役職にキャリアアップするための条件

役職

条件

副主任保育士

・経験年数がおおむね7年以上

・職務分野別リーダーを経験 

・マネジメント研修+3つ以上の分野研修を修了

専門リーダー

・経験年数がおおむね7年以上

・職務分野別リーダーを経験 

・4つ以上の分野研修を修了

職務分野別リーダー

・経験年数がおおむね3年以上

・担当する分野研修を修了

参考:子ども家庭庁「 処遇改善等加算IIの仕組み

 

【3】平均年収が高い保育園に転職する

3つ目は、平均年収が高い保育園に転職することです。

 

たとえば、大企業が運営するような、企業主導型の保育園などは、一般的な保育園よりも年収アップが期待できる場合があります。大都市圏の保育園でも、高い生活コストを考慮した給料水準が一般的となっているので、地方に比べると年収が高めに設定されていることが多いでしょう。

 

子どもの数に対して、保育士の数が不足しているような保育園も、需要と供給のバランスから平均年収が高まる傾向にあります。規模の大きい保育園ほど役職へのウェイトが大きくなるので、役職に就けば役職手当が付与されて年収アップにつながるかもしれません。

 

そして、平均年収が高い保育園を探すには、保育専門の求人サイトを活用するとよいでしょう。

いろんな保育施設の求人情報や、それぞれの施設の様子がよくわかりますよ。

 

保育専門求人サイト「ずっと保育士」は、保育士や幼稚園教諭、ベビーシッターなどを対象にした求人専門サービスです。

あなたに合う求人情報が見つかると思いますので、ぜひ活用してみてください。

 

【4】保育士資格を活かせる異業種に転職する

最後の4つ目は、保育士資格を活かせる異業種に転職することです。

 

特に、保育用具の商材メーカーや、子ども服のアパレル企業、子ども向けの写真館や教室といった子ども関連企業は、保育士の知識や経験を高く評価してくれるでしょう。

 

営業職を歓迎する企業も多く、保育士のコミュニケーション能力は、営業の仕事に大いに役立ちます。

人事・総務の仕事も保育士の経験が活き、新人教育や社員のケアなど、子どもの成長を見守ってきた経験が大きな武器になります。

 

保育士でも年収600万円は夢じゃない!

いかがだったでしょうか?

今回は、保育士が年収600万円を目指すための方法をメインに解説してきました。

 

年収600万円は、保育士の平均年収の約1.5倍。

単にフルタイム保育士として働いているだけでは達成は困難です。

 

そのためには、年収600万円を目指すための5つの方法や、保育士が年収アップを目指す方法を活用することが欠かせません。

 

ひとつの方法だけに固執するのではなく、柔軟に組み合わせ、掛け合わせることで年収アップが可能となり、保育士でも年収600万円は夢でなくなるでしょう。

 

保育士で年収600万円を目指したい方、今よりも年収を上げたい方は、本記事を参考にぜひ取り組んでみてください。

 

 

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