保育士のための腰痛・ヘルニア対策!腰痛を予防&改善する方法
2020/07/01
保育士の職業病の一つが腰痛です。
実は腰痛は保育士の退職の主な理由にもなっていることをご存知ですか?
東京都の発表した『東京都保育士実態調査報告書」によれば、保育士の退職理由のうち、「健康上の理由」を挙げる人は10.7%にものぼります。
また、その健康被害を実際に調査した滋賀医科大学の『保育士の健康障害と改善策」によると体の痛み、特に腰の痛みを訴える保育士は55%にも上っており、3歳児を担当する保育士の80%近くが腰痛を訴えているという結果となっています。
子どもたちを抱っこしたり、おんぶしたり、一緒に公園で走り回ったり、全力で動き回る子ども達と接する保育士の仕事は、かなりハードで体力を必要とします。
保育士には腰痛や慢性疲労を悩みに持つ人も多く、これらは「職業病」と言っても過言ではありません。
腰痛が発生して突発的に退職ということはあまりないかもしれません。
しかし、日々積み重なる腰の痛みは、保育士という仕事に影響するだけでなくプライベートでも動けなくなってしまう恐れがあり、保育士を続けたくても続けられないという結果を生み出してしまいます。
そこで、今回は保育士の職業病である「腰痛」について、その原因と対策をまとめてみました。
【記事監修】ずっと保育士編集部
「ずっと保育士」は、保育ひとすじ28年の株式会社明日香が運営する保育専門のキャリアサポートサービスです。結婚や出産、育児など、目まぐるしく変わるライフステージの中で、その時その時にぴったり合うお仕事を紹介したい。そして、保育の仕事でずっと輝き続けるあなたを応援したい、という想いで保育士の就職、転職、復職などのキャリア支援を行っています。また、「ずっと保育士」では保育士さんの疑問や悩みなどを少しでも解決すべくコラムを通した情報発信も積極的に行っています。
保育士が腰痛になりやすい原因とは?
腰に負担がかかりやすい代表的な動作は、前かがみの状態での長時間の動作や、前かがみの状態から重いものを一気に持ち上げる動作、体をねじったり無理な態勢などです。
保育士の仕事はこれらの腰の負担のかかる動作が様々な場面で見られます。
例えば次のような動作がその代表的な動作です。
・子どもを抱っこする
・前かがみ姿勢で、子どもの目線で話す
・重い荷物を運んだりする
女性の多い職場なので、重い力仕事も任されるという場面も多いと思います。
最近では男性の保育士も増えていますが、まだまだ女性の保育士が全体の9割以上を占めます。
若いうちは、重い荷物を任されることも多いと言えますが、腰痛になるのに年齢は関係ありません。
普段の仕事に加え、こうした保育園での力作業の積み重ねが腰痛を引き起こします。
また、異動やクラス替えで年齢の違う子どもを担当する年度始めなども注意が必要です。
例えば、これまで5歳児クラスを担当していた保育士は、子どもの身長がおおよそ100cm〜110cm程度の目線に合わせる感覚で体が慣れていますし、抱っこやおんぶをすることもほぼないでしょう。
しかし、急に2歳児クラスの担当になった場合、これまでよりも10cm〜15cm程度身長の低い子どもたちに目線を合わせなければなりません。
さらに、抱っこやおんぶなどの機会も増え、腰への負担も増大します。
前年度の1年間で使い慣れた体の使い方は、すぐには戻すことができないため、4、5月は特に腰痛を訴えるケースが増えています。
このように、保育士の仕事には腰痛を引き起こす原因となる動作が多くあるのです。
しかし、だからと言って抱っこをしない、子どもの目線に合わせて話をしない、重い荷物は一切持たないなどは避けて通ることはできません。
では、どうすれば保育士の仕事をしながら、腰痛対策をすれば良いのでしょうか?
ここからは保育士が明日から実践できる腰痛対策について詳しく解説していきます。
すぐに実践できる保育士の腰痛対策!
腰痛は、マッサージやカイロプラクティックなどで日頃から細めにケアしたり、悪化した場合は病院などでの治療を受けるなどの対処法が一般的です。
しかし、仕事が忙しく、なかなか時間が取れなかったり、面倒で行かなくなってしまったり、普段のケアを怠ってしまうこともあると思います。
保育士の動作は基本的に腰に負担がかかるものが多いため、まずはすぐに実践できる具体的な対策として次の4つの対策を試してみてはいかがでしょうか。
対策1:腰痛ベルト・コルセット
どうしても腰に負担をかける動作をやってしまいがちな人は、そういった動作時の負担を軽くするために腰痛ベルトやコルセットをつけて業務を行うと良いでしょう。
腰痛ベルトやコルセットは、重いものを持つときや長時間子どもを抱っこする時、体を支える筋肉のはたらきを助け、腰にかかる負担が軽くする効果が期待できるものです。
腰痛ベルトやコルセットにはタイプがあり、業務中に使用する場合は、固定力が強く背動きが制限されすぎるものは、かえって無理をしてしまう結果になります。
業務中に動きやすいもののおすすめは、下記のものを参考に探してみてください。
・腰痛慢性期(中度)用(重度)用:固定はしっかりするものの、日常の動作をできるだけ妨げないタイプです。
・腰痛慢性期(軽度)再発防止用:日常生活の動作を妨げずに、姿勢や動作の負担を軽減します。
・腰痛慢性期(軽度)常時装着用:腹巻タイプやスパッツタイプで体形補正もできるものもあります。動作を妨げず骨盤を正しい位置にするタイプです。
・中軽度腰痛・腰痛予防用スポーツタイプ:運動をするときにつけるタイプなので、動作の妨げにはなりません。重労働にも対応するタイプです。
対策2:重いものを持つ時はかがんでから、体に近づけて持ち上げる
中途半端にかがんだ状態で、腕を伸ばして一気に持ち上げる動作は腰に大きな負担がかかります。
保育園では、重い荷物を持ち上げたり、子どもを抱っこするときには特に注意が必要です。
まず、重たいものを持つときには一度しっかりかがんでから、体に近づけて持ち上げるとそれだけで腰の負担は大きく軽減されます。
具体的に言うと、抱っこをするときは、”ほんの少し”膝をゆるめ、背骨を伸ばしておくために、つむじと尾骨を遠く引き離すイメージを持ち、お腹をクッと引っ込めて腰を引いてみましょう。
膝と腰を”ほんの少し”ゆるめて曲げることで、腰への負担を減らすことができます。
対策3:事務作業はきちんと大人用の机で行う
保育園での事務作業をついつい子ども用の机や椅子で行っていませんか?
職員室での作業は机が少なかったり、園長先生の目が気になったりと避けてしまう保育士さんもいるようです。
また、全職員で行う職員会議などが子ども用の机や椅子に座ってというケースも少なくありません。
子ども用の机では前かがみで無理な姿勢になってしまうので、腰に負担がかかってしまいます。
事務作業をやる際には、きちんと大人用の机で行うように心がけるとともに、どうしても子ども用の椅子に座っての仕事がある場合は意識して姿勢を正すように心がけましょう。
座る姿勢を正すだけで、腰への負担も軽減されます。
対策4:子どもと遊ぶ時は座る位置や姿勢を工夫する
子どもの動きは早いため、思わず体をねじってしまったり無理な態勢を作ってしまいがちです。
遊んでいても、いつどこから「先生、こっち見てー」と声がけがあるのかわからないのが保育士の仕事。
また、真後ろから急な物音と共にどこかにぶつかったり、転んだ子どもの泣き声が聞こえて来ることもあるでしょう。
そんな時、急激に腰をねじってしまうことで、腰に無理な負担をかけないよう、一回一回子どもの方に体全体を向けるように心がけましょう。
緊急時こそ、普段の対応が癖になって無意識に体の反応として現れます。
体の向きを変えることを常日頃から意識し、習慣化することで、急な対応時にも腰に負担をかけない体の動きができるようになります。
対策5:前かがみにならないようにする
子どもの目線で話をしたり、遊んだりしているとつい前かがみの姿勢になります。
子どもと目線を合わせてしっかり向き合うことは、保育士として基本中の基本で、これを実践している保育士は、良い保育士である証拠でもあります。
ただし、その状態は腰に大きな負荷がかかるため、前かがみになるのではなく、しっかりと腰を落としてしゃがみましょう。
膝を立てるなどでも良いですし、背筋がまっすぐなることを意識して、姿勢を保てば腰への負担が軽減されます。
現場の保育士におすすめしたい!腰痛改善ストレッチ!
どんなに気をつけていても、なってしまうのが腰痛の厄介なところです。
なってしまった腰痛におすすめなのは腰痛改善ストレッチです。
下記の動画などを参考に、毎日取り組んでみてください。
その他、普段から前かがみになりがちな保育士の方には、背中にペットボトルを入れてしっかりと腰を伸ばすのもストレッチとして有効です。
体に負担がかからない方法で、なるべく毎日続けられる方法を見つけておくと良いでしょう。
また、腰痛の痛みがひどい場合には無理に自分で直そうとせず、一度整骨院などに行って専門家の指示を仰ぎましょう。
カテゴリ
保育士キャリア
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保育士の職業病の一つが腰痛です。
実は腰痛は保育士の退職の主な理由にもなっていることをご存知ですか?
東京都の発表した『東京都保育士実態調査報告書」によれば、保育士の退職理由のうち、「健康上の理由」を挙げる人は10.7%にものぼります。
また、その健康被害を実際に調査した滋賀医科大学の『保育士の健康障害と改善策」によると体の痛み、特に腰の痛みを訴える保育士は55%にも上っており、3歳児を担当する保育士の80%近くが腰痛を訴えているという結果となっています。
子どもたちを抱っこしたり、おんぶしたり、一緒に公園で走り回ったり、全力で動き回る子ども達と接する保育士の仕事は、かなりハードで体力を必要とします。
保育士には腰痛や慢性疲労を悩みに持つ人も多く、これらは「職業病」と言っても過言ではありません。
腰痛が発生して突発的に退職ということはあまりないかもしれません。
しかし、日々積み重なる腰の痛みは、保育士という仕事に影響するだけでなくプライベートでも動けなくなってしまう恐れがあり、保育士を続けたくても続けられないという結果を生み出してしまいます。
そこで、今回は保育士の職業病である「腰痛」について、その原因と対策をまとめてみました。
【記事監修】ずっと保育士編集部
「ずっと保育士」は、保育ひとすじ28年の株式会社明日香が運営する保育専門のキャリアサポートサービスです。結婚や出産、育児など、目まぐるしく変わるライフステージの中で、その時その時にぴったり合うお仕事を紹介したい。そして、保育の仕事でずっと輝き続けるあなたを応援したい、という想いで保育士の就職、転職、復職などのキャリア支援を行っています。また、「ずっと保育士」では保育士さんの疑問や悩みなどを少しでも解決すべくコラムを通した情報発信も積極的に行っています。
保育士が腰痛になりやすい原因とは?
腰に負担がかかりやすい代表的な動作は、前かがみの状態での長時間の動作や、前かがみの状態から重いものを一気に持ち上げる動作、体をねじったり無理な態勢などです。
保育士の仕事はこれらの腰の負担のかかる動作が様々な場面で見られます。
例えば次のような動作がその代表的な動作です。
・子どもを抱っこする
・前かがみ姿勢で、子どもの目線で話す
・重い荷物を運んだりする
女性の多い職場なので、重い力仕事も任されるという場面も多いと思います。
最近では男性の保育士も増えていますが、まだまだ女性の保育士が全体の9割以上を占めます。
若いうちは、重い荷物を任されることも多いと言えますが、腰痛になるのに年齢は関係ありません。
普段の仕事に加え、こうした保育園での力作業の積み重ねが腰痛を引き起こします。
また、異動やクラス替えで年齢の違う子どもを担当する年度始めなども注意が必要です。
例えば、これまで5歳児クラスを担当していた保育士は、子どもの身長がおおよそ100cm〜110cm程度の目線に合わせる感覚で体が慣れていますし、抱っこやおんぶをすることもほぼないでしょう。
しかし、急に2歳児クラスの担当になった場合、これまでよりも10cm〜15cm程度身長の低い子どもたちに目線を合わせなければなりません。
さらに、抱っこやおんぶなどの機会も増え、腰への負担も増大します。
前年度の1年間で使い慣れた体の使い方は、すぐには戻すことができないため、4、5月は特に腰痛を訴えるケースが増えています。
このように、保育士の仕事には腰痛を引き起こす原因となる動作が多くあるのです。
しかし、だからと言って抱っこをしない、子どもの目線に合わせて話をしない、重い荷物は一切持たないなどは避けて通ることはできません。
では、どうすれば保育士の仕事をしながら、腰痛対策をすれば良いのでしょうか?
ここからは保育士が明日から実践できる腰痛対策について詳しく解説していきます。
すぐに実践できる保育士の腰痛対策!
腰痛は、マッサージやカイロプラクティックなどで日頃から細めにケアしたり、悪化した場合は病院などでの治療を受けるなどの対処法が一般的です。
しかし、仕事が忙しく、なかなか時間が取れなかったり、面倒で行かなくなってしまったり、普段のケアを怠ってしまうこともあると思います。
保育士の動作は基本的に腰に負担がかかるものが多いため、まずはすぐに実践できる具体的な対策として次の4つの対策を試してみてはいかがでしょうか。
対策1:腰痛ベルト・コルセット
どうしても腰に負担をかける動作をやってしまいがちな人は、そういった動作時の負担を軽くするために腰痛ベルトやコルセットをつけて業務を行うと良いでしょう。
腰痛ベルトやコルセットは、重いものを持つときや長時間子どもを抱っこする時、体を支える筋肉のはたらきを助け、腰にかかる負担が軽くする効果が期待できるものです。
腰痛ベルトやコルセットにはタイプがあり、業務中に使用する場合は、固定力が強く背動きが制限されすぎるものは、かえって無理をしてしまう結果になります。
業務中に動きやすいもののおすすめは、下記のものを参考に探してみてください。
・腰痛慢性期(中度)用(重度)用:固定はしっかりするものの、日常の動作をできるだけ妨げないタイプです。
・腰痛慢性期(軽度)再発防止用:日常生活の動作を妨げずに、姿勢や動作の負担を軽減します。
・腰痛慢性期(軽度)常時装着用:腹巻タイプやスパッツタイプで体形補正もできるものもあります。動作を妨げず骨盤を正しい位置にするタイプです。
・中軽度腰痛・腰痛予防用スポーツタイプ:運動をするときにつけるタイプなので、動作の妨げにはなりません。重労働にも対応するタイプです。
対策2:重いものを持つ時はかがんでから、体に近づけて持ち上げる
中途半端にかがんだ状態で、腕を伸ばして一気に持ち上げる動作は腰に大きな負担がかかります。
保育園では、重い荷物を持ち上げたり、子どもを抱っこするときには特に注意が必要です。
まず、重たいものを持つときには一度しっかりかがんでから、体に近づけて持ち上げるとそれだけで腰の負担は大きく軽減されます。
具体的に言うと、抱っこをするときは、”ほんの少し”膝をゆるめ、背骨を伸ばしておくために、つむじと尾骨を遠く引き離すイメージを持ち、お腹をクッと引っ込めて腰を引いてみましょう。
膝と腰を”ほんの少し”ゆるめて曲げることで、腰への負担を減らすことができます。
対策3:事務作業はきちんと大人用の机で行う
保育園での事務作業をついつい子ども用の机や椅子で行っていませんか?
職員室での作業は机が少なかったり、園長先生の目が気になったりと避けてしまう保育士さんもいるようです。
また、全職員で行う職員会議などが子ども用の机や椅子に座ってというケースも少なくありません。
子ども用の机では前かがみで無理な姿勢になってしまうので、腰に負担がかかってしまいます。
事務作業をやる際には、きちんと大人用の机で行うように心がけるとともに、どうしても子ども用の椅子に座っての仕事がある場合は意識して姿勢を正すように心がけましょう。
座る姿勢を正すだけで、腰への負担も軽減されます。
対策4:子どもと遊ぶ時は座る位置や姿勢を工夫する
子どもの動きは早いため、思わず体をねじってしまったり無理な態勢を作ってしまいがちです。
遊んでいても、いつどこから「先生、こっち見てー」と声がけがあるのかわからないのが保育士の仕事。
また、真後ろから急な物音と共にどこかにぶつかったり、転んだ子どもの泣き声が聞こえて来ることもあるでしょう。
そんな時、急激に腰をねじってしまうことで、腰に無理な負担をかけないよう、一回一回子どもの方に体全体を向けるように心がけましょう。
緊急時こそ、普段の対応が癖になって無意識に体の反応として現れます。
体の向きを変えることを常日頃から意識し、習慣化することで、急な対応時にも腰に負担をかけない体の動きができるようになります。
対策5:前かがみにならないようにする
子どもの目線で話をしたり、遊んだりしているとつい前かがみの姿勢になります。
子どもと目線を合わせてしっかり向き合うことは、保育士として基本中の基本で、これを実践している保育士は、良い保育士である証拠でもあります。
ただし、その状態は腰に大きな負荷がかかるため、前かがみになるのではなく、しっかりと腰を落としてしゃがみましょう。
膝を立てるなどでも良いですし、背筋がまっすぐなることを意識して、姿勢を保てば腰への負担が軽減されます。
現場の保育士におすすめしたい!腰痛改善ストレッチ!
どんなに気をつけていても、なってしまうのが腰痛の厄介なところです。
なってしまった腰痛におすすめなのは腰痛改善ストレッチです。
下記の動画などを参考に、毎日取り組んでみてください。
その他、普段から前かがみになりがちな保育士の方には、背中にペットボトルを入れてしっかりと腰を伸ばすのもストレッチとして有効です。
体に負担がかからない方法で、なるべく毎日続けられる方法を見つけておくと良いでしょう。
また、腰痛の痛みがひどい場合には無理に自分で直そうとせず、一度整骨院などに行って専門家の指示を仰ぎましょう。