保育士に必要な英語力って?保育に役立つ英語資格とは?
今、英語力のある保育士の求人が増えています。
「自分の英語力が保育士として活かせるのか知りたい」
「保育士の英語力がどの程度必要なのか知りたい」
「保育士のキャリアアップにつながるなら英語を勉強してみたい」
このようにお考えの方のために、保育士として英語がどのように役立つのか、どの程度の英語力が必要なのか、について詳しく解説いたします。

【記事監修】ずっと保育士編集部
「ずっと保育士」は、保育ひとすじ30年の株式会社明日香が運営する保育専門のキャリアサポートサービスです。結婚や出産、育児など、目まぐるしく変わるライフステージの中で、その時その時にぴったり合うお仕事を紹介したい。そして、保育の仕事でずっと輝き続けるあなたを応援したい、という想いで保育士の就職、転職、復職などのキャリア支援を行っています。また、「ずっと保育士」では保育士さんの疑問や悩みなどを少しでも解決すべくコラムを通した情報発信も積極的に行っています。
保育士にも英語力は必要?求められる英語スキルとは?
法務省 出入国在留管理庁「令和6年6月末現在における在留外国人数について」によると、在留外国人数は過去最高の358万8,956人となり、前年末に比べて17万7,964人(5.2%)増加となりました。
保育現場も例外ではなく、全国で約半数以上の保育園に外国人の子どもが在籍しています。
東京都においては、約8割以上の保育園での在籍が確認されています。
参考:公益社団法人全国幼児教育研究協会「外国人幼児の受入れにおける現状と課題について
また、子どもへの英語教育を希望する保護者が増えており、多くの保育園で指導要領外の英語教育を行なっています。
このような背景から、保育士にも英語力が求められる傾向になっています。
保育士に求められる英語力は、仕事の内容や職場によっても様々。
通常の保育園であれば、外国人の英語講師や保護者に対して、片言の英語のコミュニケーションでもOKです。
一方で、すべてのコミュニケーションを英語で行うプリスクールやインターナショナルスクールであれば、一通りの会話ができる英語力が求められます。
保育園で英語力が活きるシーンとは?
日本にいると、日常生活で「英語が話せないと困る」という切迫感がないため、日本人の英語力は100か国中53位となっております。
参考:EF(Education First) EF EPI 英語能力指数 世界100か国・地域の英語力ランキング2024年版
ただ、加速するグローバル化に対応するため、文部科学省は学校教育における「英語教育改革」を行う方針を打ち出しました。
「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能を活用して、英語で実際のコミュニケーションを行えるように注力していくことになります。
2020年から、小学3・4年生で「外国語活動」、小学5・6年生で「外国語」が導入。
学校教育での英語習得が低年齢化したことで、保護者の英語教育熱も上昇しています。
以下は、子どもたちが英語に触れるきっかけになる保育園で、保育士の英語力が活きるシーンをご紹介します。
保育園での英語教育
外部から英語講師を招く保育園
英語活動を導入する保育園では、日常の保育は日本語で話しつつ、定期的に外部から講師を招き、英語教育を行っています。
外部講師は日本で生活をしているため、ネイティブスピーカーであっても、ある程度の日本語を話せます。
保育士は、ジェスチャーを交えた片言の英語でコミュニケーションを取れば問題ありません。
英語の活動中は、子どもたちと一緒に英語の歌を歌ったり、英語の曲にあわせてダンスを踊ったりしてサポートしてあげると良いでしょう。
プリスクール
プリスクールとは、日本人の子どもを対象にしつつ、日常コミュニケーションのほとんどを英語で行う保育園です。
多くの場合、認可外保育園となりますが、子どもに英語教育を早期から行いたい保護者が増えていることで近年人気が上昇中です。
プリスクールの保育士として働く場合は、日常会話レベルの英会話ができることが求められます。
インターナショナルスクール
インターナショナルスクールは、日本に住む外国人の子どもを対象にしており、スクール内は外国同然です。
英語教育というよりは、日常の全てのコミュニケーションを英語で行います。
インターナショナルスクールで保育士として働く場合は、最低でも日常会話レベルの英会話ができることが必要です。
場合によっては、高度なレベルの英語力を求められるでしょう。
外国人の子ども・保護者への対応
先述した通り、令和6年の在留外国人数は過去最高を記録しました。
これに伴い、外国人の子どもが在籍する保育園は5割を超え、以前と比べて大幅な増加傾向にあります。
現時点で、通常の保育園に在籍する外国人の保護者は、日本語を理解していることが多く、保育士の英語力が低くてもコミュニケーションを取ることができているようです。
しかし、今後は日本語を理解していない家庭の子どもが入園するケースが増えると予想されます。
そういった場合に備えるためにも、保育士の英語力はますます必要になるでしょう。
外国人の子どもが対象のインターナショナルスクールでは、コミュニケーションを全て英語で行います。
ただでさえ、文化や習慣が異なる日本で生活を送ることは、子どもも保護者も負担が大きいものです。
実際に、日本語での指導内容を理解できない子どもは、集団行動が難しかったり、言葉が通じないストレスから暴力的になったりする問題が報告されています。
また、保護者も、おたよりや保育士、保護者同士からのコミュニケーションが理解できず、孤立する問題を抱えることがあります。
このような問題に直面した際、保育士が英語でコミュニケーションを取れれば、日本の生活に慣れる一助になるでしょう。
いっそうグローバル化が進むことは確実です。
幼いころから国の違いによる文化・習慣、考え方、多様性に関する国際理解を保育士が積極的に教え、橋渡しをすることはとても価値のあることといえます。
持っていると有利!保育士に役立つ英語資格とは?
近年の保育園による積極的な英語教育を受け、保育の経験にくわえて英語力のある保育士のニーズは増加しています。
以下では、保育士の英語力を証明し、持っていると有利な英語資格をご紹介します。
幼保英語検定
一般社団法人 幼児教育・保育英語検定協会が行っている検定試験です。
一般の英語の検定と違い、乳幼児と触れ合う際に使う赤ちゃん言葉や、幼児言葉を含む保育英語の習得度合いを測ります。
検定試験は、レベルごとに5段階に分かれています。
保育士資格を持つ人が合格すると「幼保英語士」と呼ばれ、保育英語を習得している証明になります。
表1:幼保検定試験レベル別、必要な英語力の程度・出題内容等
級 |
必要な英語力の程度・出題内容等 |
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4級 |
目標 |
幼保英語士へのファーストステップ |
目安 |
中学初級〜中級程度 |
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出題 |
・幼保英語習得へのきっかけとして、初歩的な単語、フレーズを理解でき、知識を有する。 ・簡単な定型的なフレーズを用意いて、簡単なコミュニケーションができる |
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内容 |
リスニングセクション 10分 リーディングセクション 50分 |
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検定料 |
3,500円 |
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3級 |
目標 |
英語を使う園でのチャレンジ |
目安 |
中学卒業程度 |
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出題 |
・幼保英語の基本的な文法を理解し、定型的なフレーズを用いた表現でコミュニケーションが取れ、簡単な会話が聞き取ることができる。 |
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内容 |
リスニングセクション 20分 リーディングセクション 50分 |
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検定料 |
4,000円 |
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2級 |
目標 |
アシスタントティーチャーへの一歩 海外やインターナショナルスクールでのチャレン |
目安 |
高校中級〜卒業程度 |
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出題 |
・幼保英語に必要な文法知識を有し、コミュニケーションができ、簡単な文章作成ができる。 ・英語による幼児教育現場において、補助的役割を果たすことができる。 |
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内容 |
リーディングセクション 50分 | |
検定料 |
4,500円 |
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準1級 |
目標 |
アシスタントティーチャーへの指示 ヘッドティーチャーへ |
目安 |
大学中級程度 |
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出題 |
・幼保英語を使った円滑なコミュニケーションと幼児教育現場の活動における文章作成ができる。 ・幼児教育現場においてのサポートスタッフやアシスタントティーチャーへの指示ができる。 ・非英語圏の幼児教育現場での活躍ができる。 |
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内容 |
リスニングセクション 20分 リーディング+ライティングセクション 50分 二次試験 10分 |
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検定料 |
6,500円 |
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1級 |
目標 |
幼保英語のエキスパートへ |
目安 |
大学上級程度 |
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出題 |
・幼保英語を使って支障なく幼児教育現場で活動が行える。 ・高度なコミュニケーション能力と文章作成力を有し、海外での幼児教育現場を含めて活躍ができる |
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内容 |
リスニングセクション 20分 リーディング+ライティングセクション 50分 二次試験 20分 |
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検定料 |
7,500円 |
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※2025年1月現在のデータです。
TOEIC
TOEICは、仕事・日常生活など、一般的な社会生活で必要な英語コミュニケーション能力を測定するテストです。
世界160か国で実施されており、他の英語テストに比べて認知・信頼性ともに高く、一般企業も従業員の昇進や配属、入社時の選考基準として使われています。
保育士がTOEICを取得することにも大きなメリットがあります。
・採用試験の際に、客観的な基準で英語力を証明できる
・求人で「TOEIC600点以上」などの際のアピール材料になる
プリスクールで働く場合は、日常会話が問題なくできる600点以上、インターナショナルスクールであれば、どんな状況でも適切なコミュニケーションができる730点以上が好ましいでしょう。
英語検定
「英検」の略称で親しまれる英語検定も信頼性が高く、2級以上を取得しているとアピール材料になります。
プリスクール・インターナショナルスクールで働く場合は、準1級以上あると高い英語力を証明でき、就職・転職の際に有利になるでしょう。
英語力を活かした求人はどこで探せばいい?
保育士の求人情報は、保育士専門の求人サイトなどで広く探すことができます。
しかし、求人の量自体は多くはないため、自分で探すよりも直接問い合わせをしてみるとよいでしょう。
また、保育士専門のコンサルタントに相談してみるという方法もあります。
「英語力を活かしたい」などの希望を伝えると、具体的なアドバイスがもらえたり、公開していない求人を紹介してもらえたりすることもあります。
今後保育現場での英語力がさらに求められる時代に!
グローバル化が進み、保育士も英語のスキルが求められる時代になりました。
保育士が英語力を身につけることで、一層のキャリアアップを見込めるだけでなく、転職や再就職にも活かせます。
海外ではベビーシッターを雇い、家で保育をすることも一般的です。
海外から赴任や移住をしてきた外国人の家庭では、ベビーシッターを希望することもあるでしょう。
英語力があれば、活躍の場を広げ、働き方の選択肢を増やすことにつながります。
今後は、保育士の英語習得は必須になることが予想され、今から少しずつ取り組んでおけば将来のキャリアアップに必ず役立ちます。
既にある程度の英語力がある人は、英語力を活かした転職活動にチャレンジしてみるのもオススメです。
英語力を活かした保育士としての転職活動にご興味のある方は、ぜひチャレンジしてみてください!