92.6%の保育園で「ICT」を導入 73.6%の園が、ICTデータを「運営改善や保育の質向上」に活用
~高まる保育業界のICT導入、72.5%の保育園が、「収集したデータの分析や振り返り」も実施!~
子どもと未来、そしてすべての人がConnect(繋がり、結びつき)する保育研究プロジェクト「子ねくとラボ」を運営する株式会社明日香(本社:東京都文京区、代表取締役:萩野 吉俗)は、保育園の理事長・園長及びICT関連に関わる94名を対象に、「保育園におけるICT活用」に関する実態調査を行いましたので、結果を発表いたします。
■調査サマリー
■調査概要
調査概要:「保育園におけるICT活用」に関する実態調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2022年1月19日〜同年1月21日
有効回答:保育園の理事長・園長及びICT関連に関わる94名
■約6割の保育園で「登降園管理」や「職員のシフト作成機能」のICTを導入
「Q1.あなたが運営・勤める保育園では、どのようなICTを導入していますか。(複数回答)」(n=94)と質問したところ、「登降園管理」が58.5%、「職員のシフト作成機能」が55.3%、「園児台帳の作成・管理」が52.1%という回答となりました。
・登降園管理:58.5%
・職員のシフト作成機能:55.3%
・園児台帳の作成・管理:52.1%
・保育日誌・指導案作成機能:45.7%
・保護者との連絡:42.6%
・保育料計算機能:41.5%
・プログラミング教材:20.2%
・導入していない:7.4%
・翻訳機:5.3%
・その他:2.1%
■ICTを活用し、「子どもの健康状態」のデータを収集している保育園は66.7%
「Q2.Q1で「導入していない」と回答した方以外にお聞きします。どのような種類のデータを収集していますか。(複数回答)」(n=87)と質問したところ、「子どもの健康状態(体温や呼吸、心拍数など)」が66.7%、「子どもの食物アレルギー」が63.2%、「子どもの興味・関心」が54.0%という回答となりました。
・子どもの健康状態(体温や呼吸、心拍数など):66.7%
・子どもの食物アレルギー:63.2%
・子どもの興味・関心:54.0%
・子どもの生活リズム:48.3%
・子どもの食事について:48.3%
・子ども同士の親密度:19.5%
・その他:2.3%
■「送迎バスの利用の有無」や、「検温記録表、行動記録表」などのデータもICTで収集
「Q3.Q1で「導入していない」と回答した方以外にお聞きします。Q2で回答した以外に、収集しているデータがあれば教えてください。(自由回答)」(n=87)と質問したところ、「送迎バスの利用の有無」や「検温記録表、行動記録表」など53の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・44歳:送迎バスの利用の有無。
・68歳:検温記録表、行動記録表。
・55歳:コロナ対策。
・47歳:保護者との関係。
・61歳:兄弟関係、小学校通学区域。
・54歳:家族事項、食べ物の嗜好、病歴。
・54歳:家庭環境のチェック。
■72.5%の保育園で、「収集したデータの分析や振り返り」を実施
「Q4.Q1で「導入していない」と回答した方以外にお聞きします。収集したデータの分析やデータに基づいた振り返りができていると思いますか。」(n=87)と質問したところ、「非常にできている」が18.5%、「ややできている」が54.0%という回答となりました。
・非常にできている:18.5%
・ややできている:54.0%
・あまりできていない:24.1%
・全くできていない:3.4%
■収集したデータで、「情報に基づくミーティング」や「面接や職員との面談で検証」などを実施
「Q5.Q4で「非常にできている」「ややできている」と回答した方にお聞きします。具体的にどのようなことを行っているか、教えてください。(自由回答)」(n=63)と質問したところ、「情報に基づくミーティング」や「面接や職員との面談で検証」など45の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・60歳:情報に基づくミーティング。
・49歳:面接や職員との面談で検証している。
・40歳:日々の子供の変化に対応。
・44歳:保育士の数を増やし、子供の感情を緻密に連絡し合っている。
・44歳:毎日集めた情報で園児の健康観察に役立てている。
・54歳:家庭への対応方法など、個別にだんどりできている。
・47歳:職員間で情報を簡単に共有、活用している。
■73.6%の保育園が、ICTデータを「運営改善や保育の質向上」に活用
「Q6.Q1で「導入していない」と回答した方以外にお聞きします。収集したデータを保育園の運営改善や保育の質向上に十分に活用できていると思いますか。」(n=87)と質問したところ、「非常にそう思う」が19.5%、「ややそう思う」が54.1%という回答となりました。
・非常にそう思う:19.5%
・ややそう思う:54.1%
・あまりそう思わない:21.8%
・全くそう思わない:4.6%
■ICTで収集したデータの活用方法、「保育士の職場環境の改善」が約7割を占める
「Q7.Q6で「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した方にお聞きします。現在、収集したデータをどのように活用していますか。(複数回答)」(n=64)と質問したところ、「保育士の職場環境の改善」が65.6%、「子ども一人ひとりに合った保育環境作り」が57.8%、「保育士の人材不足対応」が50.0%という回答となりました。
・保育士の職場環境の改善:65.6%
・子ども一人ひとりに合った保育環境作り:57.8%
・保育士の人材不足対応:50.0%
・保護者への支援向上:42.2%
・園児の集客:12.5%
・その他:1.6%
■収集したデータを「園児と保育士のコミュニケーション」、「子どもの健康把握」などにも活用意欲
「Q8.Q6で「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した方にお聞きします。Q7で回答した以外に、活用していきたいことがあれば教えてください。(自由回答)」(n=87)と質問したところ、「園児と保育士のコミュニケーション」や「子どもの健康把握」など37の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・47歳:園児と保育士のコミュニケーション。
・49歳:子どもの健康把握。
・53歳:賃金やモチベーション管理。
・47歳:保護者との密な関係を築く。
・48歳:ITで仕事が業務削減できれば良い。
・48歳:子どもの生活記録をデータ化する事で書類の簡素化。
・55歳:いじめ対策。
■約6割の保育園が、今後も「子どもの健康状態」のデータが欲しいと回答
「Q9.今後もデータを収集するにあたり、どのようなデータが欲しいですか。(複数回答)」(n=94)と質問したところ、「子どもの健康状態(体温や呼吸、心拍数など)」が57.4%、「子どもの食物アレルギー」が51.1%という回答となりました。
・子どもの健康状態(体温や呼吸、心拍数など):57.4%
・子どもの食物アレルギー:51.1%
・子どもの生活リズム:50.0%
・子どもの興味・関心:48.8%
・子どもの食事について:29.8%
・その他:0.0%
・特になし:12.8%
■92.6%の保育園が、「保育に関するデータ活用を導入するべき」と回答
「Q10.保育に関するデータ活用に関して、あなたの考えに最も当てはまるものを教えてください。」(n=94)と質問したところ、「絶対に導入するべき」が30.9%、「導入するべき」が61.7%という回答となりました。
・絶対に導入するべき:30.9%
・導入するべき:61.7%
・導入しない方が良い:5.3%
・絶対に導入しない方が良い:2.1%
■まとめ
今回は保育園の理事長・園長及びICT関連に関わる94名を対象に、「保育園におけるICT活用」に関する実態調査を実施しました。
まず、勤務/運営する保育園に対し、「どのようなICTを導入しているか」質問したところ、「登降園管理」が58.5%、「職員のシフト作成機能」が55.3%、「園児台帳の作成・管理」が52.1%という結果となりました。また、収集しているデータの種類については、「子どもの健康状態(体温や呼吸、心拍数など)」が66.7%、「子どもの食物アレルギー」が63.2%、「子どもの興味・関心」が54.0%となりました。その他にも、「送迎バスの利用の有無」や、「検温記録表、行動記録表」などについても、データを収集している保育園があることが分かりました。
続いて、収集したデータの分析やデータに基づいた振り返りができている保育園は、約7割ということが判明しました。収集したデータで行っている内容としては、「情報に基づくミーティング」や「面接や職員との面談で検証」という回答が得られました。
また、73.6%の保育園が、ICTで収集したデータを保育園の運営改善や保育の質向上に「十分に活用できている」と回答。収集したデータの活用方法には、「保育士の職場環境の改善」が65.6%、「子ども一人ひとりに合った保育環境作り」が57.8%となりました。その他にも、「園児と保育士のコミュニケーション」や「子どもの健康把握」なども挙がりました。
最後に、約6割の保育園が、今後も「子どもの健康状態(体温や呼吸、心拍数など)」のデータが欲しいと回答し、更に、92.6%の保育園が、「保育に関するデータ活用を導入するべき」と考えていることが分かりました。
多くの保育現場では、保育士の業務負担を軽減し、離職防止・人材確保を主な目的にICTを導入しています。ですが、本来のICT活用の目的は、保育士の事務負荷を軽減することで、保育人材の確保に繋げるだけでなく、業務効率化により生まれた時間を活用して、保育士間のコミュニケーションを強化したり、ノンコンタクトタイムを充実化させることによって保育の質向上に繋げることでもあります。本調査でも、ほとんどの園でICT活用にポジティブなことが判明したことから、保育従事者のICTに対する意識の高さが窺えると共に、ますます保育業界のICT化が加速することが推察されます。
数年後の保育利用者数ピークを前に、各施設では「選ばれる園」として差別化が意識されています。その際にこれらのデータは重要な素材となります。いかに自園の保育を見える化し、特徴づくりやアピールに繋げられるか、今後の大きなテーマとなるでしょう。