【外国籍園児の保育の実態】94.4%の保育士が、外国籍園児の保育に「難しさ」を実感 「保護者と連携が取れない」や「日本食の味付けに慣れない」など、言葉と文化に苦戦の実態
〜約8割の保育士から、「外国籍園児の文化の違いについて学ぶ研修」を求める声〜
子どもと未来、そしてすべての人がConnect(繋がり、結びつき)する保育研究プロジェクト「子ねくとラボ」を運営する株式会社明日香(本社:東京都文京区、代表取締役:萩野 吉俗)は、外国籍園児を保育した経験がある保育士106名を対象に、外国籍園児への保育課題に関する実態調査を実施いたしましたので、お知らせいたします。
■調査サマリー
■調査概要
調査概要:外国籍園児への保育課題に関する実態調査
調査方法:株式会社IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー」の企画によるインターネット調査
調査期間:2022年6月10日〜同年6月12日
有効回答:外国籍園児を保育した経験がある保育士106名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
■外国籍園児の保育に関して、94.4%の保育士が「難しさ」を実感
「Q1.あなたは、外国籍園児の保育に関して、難しさを感じたことがありますか。」(n=106)と質問したところ、「かなりある」が37.8%、「ややある」が56.6%という回答となりました。
・かなりある:37.8%
・ややある:56.6%
・あまりない:4.7%
・全くない:0.9%
■難しさを感じる場面、約6割が「保護者との連携が取れない」「指示が伝わらない」と回答
Q1で「かなりある」「ややある」と回答した方に、「Q2.具体的に、どのような点に難しさを感じますか。(複数回答)」(n=100)と質問したところ、「保護者との連携が取れない」が60.0%、「指示が伝わらない」が59.0%、「話しかける言語が分からない」が39.0%という回答となりました。
・保護者との連携が取れない:60.0%
・指示が伝わらない:59.0%
・話しかける言語が分からない:39.0%
・日本語・日本文化の教え方が分からない:36.0%
・集団生活に馴染めない:31.0%
・日本食に馴染めない:29.0%
・宗教などで個別の対応が必要な場合がある:27.0%
・他園児とコミュニケーションを取ろうとしない:19.0%
・日本の歌や絵本に興味を持たない:11.0%
・その他:5.0%
・わからない/答えられない:0.0%
■他にも「子育ての考え方の根本が違う」や「子どもが何かを訴えてきても言葉の壁により理解しにくい」などの悩みも
Q2で「わからない/答えられない」以外を回答した方に、「Q3.Q2で回答した以外に、難しさを感じる点があれば教えてください。(自由回答)」(n=100)と質問したところ、「子育ての考え方の根本が違う」や「子どもが何かを訴えてきても言葉の壁により理解しにくい」など55の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・28歳:子育ての考え方の根本が違うと感じることがあった。
・59歳:国の習慣の違い。
・38歳:子どもが何かを訴えてきても言葉の壁により理解しにくい。
・38歳:言葉が通じないことにより、子ども同士のトラブルになりやすい。
・54歳:保護者の国の習慣と日本の保育園のルールの違いに驚かされる事が多い。
・29歳:保護者にどこまで伝わっているか、何が不明か分かりにくい。
・30歳:意思疎通ができない。こちらが伝えていることを理解しているかの確認ができない。
・32歳:文化の違いが多すぎる。
■外国籍園児の保育に関して、84.9%の保育士が「文化の違い」を実感
「Q4.あなたは、外国籍園児の保育に関して文化の違いを感じたことがありますか。」(n=106)と質問したところ、「かなりある」が26.4%、「ややある」が58.5%という回答となりました。
・かなりある:26.4%
・ややある:58.5%
・あまりない:15.1%
・全くない:0.0%
■文化の違いを感じた場面、「日本食の味付けに慣れていない」が50.0%で最多
Q4で「かなりある」「ややある」と回答した方に、「Q5.具体的にどのような場面で文化の違いを感じましたか。(複数回答)」(n=90)と質問したところ、「日本食の味付けに慣れていない」が50.0%、「宗教の都合で食べられないものがある」が36.7%という回答となりました。
・日本食の味付けに慣れていない:50.0%
・宗教の都合で食べられないものがある:36.7%
・化粧やピアスをしている:23.3%
・お箸を使うのが苦手:23.3%
・母国語以外を話そうとしない:23.3%
・宗教の都合で出来ないことがある:16.7%
・玩具等の私物やおやつを持ってくる:14.4%
・その他:17.8%
・わからない/答えられない:0.0%
■他にも「本名でなく、ニックネームで呼ぶ」や「スキンシップの多さ」などに文化の違いを実感
Q5で「わからない/答えられない」以外を回答した方に、「Q6.Q5で回答した以外に、文化の違いを感じた場面があれば教えてください。(自由回答)」(n=90)と質問したところ、「本名でなく、ニックネームで呼ぶ」や「スキンシップの多さ」など48の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・38歳:本名でなく、ニックネームで呼ぶように言われる。
・24歳:スキンシップの多さ。
・44歳:髪型が個性的。
・33歳:遊び方や大人との接し方。
・56歳:笑いを呼び起こすやり方が難しい。
・26歳:行事への認識の違い。
・36歳:集団生活への認識の違い。
■約7割の保育士が、「外国籍園児の文化の違いについて学ぶ研修」に参加経験なし
「Q7.あなたは、外国籍園児の文化の違いについて学ぶ研修に参加したことがありますか。」(n=106)と質問したところ、「ある」が31.1%、「ない」が68.9%という回答となりました。
・ある:31.1%
・ない:68.9%
■研修経験のない保育士のうち、78.1%から「研修」を求める声
Q7で「ない」と回答した方に、「Q8.あなたは、外国籍園児の文化の違いについて学ぶ研修が欲しいと思いますか。」(n=73)と質問したところ、「非常にそう思う」が13.7%、「ややそう思う」が64.4%という回答となりました。
・非常にそう思う:13.7%
・ややそう思う:64.4%
・あまりそう思わない:21.9%
・全くそう思わない:0.0%
■外国籍園児の文化の違いを学びたい理由、「外国籍園児が増えてきたと思うから」や「日本の文化を押し付けるのではなく、お互いに尊重するべきだと思う」などの声
Q8で「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した方に、「Q9.あなたが、外国籍園児の文化の違いについて学ぶ研修が欲しい理由を教えてください。(自由回答)」(n=57)と質問したところ、「外国籍園児が増えてきたと思うから」や「日本の文化を押し付けるのではなく、お互いに尊重するべきだと思う」など45の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・37歳:外国籍園児が増えてきたと思うから。
・36歳:日本にいるから日本の文化を押し付けるのではなく、お互いに尊重するべきだと思うから。
・28歳:外国籍の子でも日本国籍の子と変わらず十分な保育を行いたい。
・38歳:子どもたちを平等にみるために、適切な知識をつけたいから。
・35歳:それぞれの国に合った対応の仕方を実例を通して学んで生かしていきたいから。
・37歳:理解した方が、歩み寄れる方法やきっかけが探りやすいから。
・33歳:クラスに2、3人はいるので、他の園での対応法を学びたい。
・38歳:独自に知ろうとしても限界がある。
■7割以上の保育士が、「日本の文化を正しく伝える研修」の受講経験なし
「Q10.あなたは、日本の文化を正しく伝える研修に参加したことがありますか。」(n=106)と質問したところ、「ある」が26.4%、「ない」が73.6%という回答となりました。
・ある:26.4%
・ない:73.6%
■研修経験のない保育士のうち、61.5%から「研修」を求める声
Q10で「ない」と回答した方に、「Q11.あなたは、日本の文化を正しく伝える研修が欲しいと思いますか。」(n=78)と質問したところ、「非常にそう思う」が11.5%、「ややそう思う」が50.0%という回答となりました。
・非常にそう思う:11.5%
・ややそう思う:50.0%
・あまりそう思わない:37.2%
・全くそう思わない:1.3%
■日本の文化を正しく伝える研修を求める理由、「外国籍児だけでなく他の子たちにも正しく伝えていきたいため」や「当たり前と思っている文化を伝えることが難しい」など
Q11で「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した方に、「Q12.日本の文化を正しく伝える研修が欲しい理由を教えてください。(自由回答)」(n=48)と質問したところ、「外国籍児だけでなく他の子たちにも正しく伝えていきたいため」や「当たり前と思っている文化を伝えることが難しい」など33の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・26歳:外国籍児だけでなく他の子たちにも正しく伝えていきたいため。
・28歳:当たり前と思っている文化を伝えることが難しい。
・35歳:日本で過ごすにあたって快適に生活してほしいと思うから。
・36歳:せっかく覚えてもらうなら正しく教えたいから。
・33歳:日本の文化について自分で把握しておくと相手にも伝えやすいから。
・22歳:文化などを子どもたちに伝えるが、それが正しいのかも分からないし、伝え方も難しい。
・33歳:自分が日本の文化をきちんとわかっているかを知りたい。
・28歳:外国籍の子に向けてだけでなく、日本国籍の子にも正しく日本の文化を伝えていけたらと思う。外国のことを知るにはまず日本の文化をよく知っていきたい。
■まとめ
今回は、外国籍園児を保育した経験がある保育士106名を対象に、外国籍園児への保育課題に関する実態調査を実施しました。
まず、外国籍園児の保育に関して、94.4%の保育士が「難しさ」を実感していることが分かりました。難しさを感じる場面を伺うと、約6割が「保護者との連携が取れない」や「指示が伝わらない」と回答しており、他にも「子育ての考え方の根本が違う」や「子どもが何かを訴えてきても言葉の壁により理解しにくい」などの悩みの声が挙がりました。
また、外国籍園児の保育に関して、84.9%の保育士が、「文化の違い」を感じており、具体的な場面として、「日本食の味付けに慣れていない」が50.0%で最多、次いで「宗教の都合で食べられないものがある」が36.7%と食文化の違いに関する声が多数挙がりました。他にも「本名でなく、ニックネームで呼ぶ」や「スキンシップの多さ」などで、文化の違いを感じるという意見も挙がりました。
なお、約7割の保育士が、「外国籍園児の文化の違いについて学ぶ研修」に参加した経験がなく、研修経験のない保育士のうち、78.1%が、そのような研修を求めていることが分かりました。外国籍園児の文化の違いを学ぶことで、「日本の文化を押し付けるのではなく、お互いに尊重できる」や「外国籍の子でも日本国籍の子と変わらず十分な保育を行いたい」と考えられており、その背景に「外国籍園児が増えてきた」実態があるようです。
同様に、7割以上の保育士が、「日本の文化を正しく伝える研修」を受けた経験もなく、研修経験のない保育士のうち、61.5%からそのような研修を求める声が挙がりました。「外国籍児だけでなく他の子たちにも正しく伝えていきたいため」や「当たり前と思っている文化を伝えることが難しい」などが理由として挙げられています。
今回の調査では、外国籍園児の保育を経験したことのある多くの保育士が、外国籍園児の保育の難しさを実感していることが分かりました。コミュニケーションの難しさが大きな要因として考えられますが、異文化に対する相互理解が不十分なことも挙げられます。外国籍園児にも日本国籍園児と同様に分け隔てなく保育してあげたいという意見の他にも、お互いの文化を尊重しながら保育していきたいという意見があり、そのためには正しく日本文化を伝えたいという保育士の想いが伺えました。外国人の増加により、保育園における外国籍園児も増加傾向にあります。インクルーシブな保育の実現、そして喫緊の課題である「選ばれる園」になるために、双方の文化に対する相互理解を深め、それらとどう向き合うかを考えていくことが求められています。
■明日香の保育施設向け研修・巡回事業
明日香では、保育の専門家や外国文化に精通した専門家による保育施設への研修・巡回・助言サービスを行っています。特に自治体による認可外保育施設向け巡回事業の受託実績数は業界トップクラスです。ご興味のあるご担当者様は以下までお問合せください。
子ねくとラボ事業部:seminar-info@g-asuka.jp