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政府が見直しを検討する保育士の「配置基準」、『保育の質向上に繋がる』など、6割以上の保育士から「期待」の声

2023/04/26
ニュースリリース

〜子どもたちを見る「目」の増加で、「安全な保育」や「手厚いケア」に意欲〜

子どもと未来、そしてすべての人がConnect(繋がり、結びつき)する保育研究プロジェクト「子ねくとラボ(https://konnect-labo.jp/)」を運営する株式会社明日香(本社:東京都文京区、代表取締役:萩野 吉俗、https://www.g-asuka.co.jp/index.htm)は、現役保育士106名を対象に、保育士配置基準見直しと保育の質向上に関する調査を実施いたしましたので、お知らせいたします。

 

■調査サマリー

サマリー

■調査概要

調査概要:保育士配置基準見直しと保育の質向上に関する調査

調査方法:IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査

調査期間:2023年4月7日〜同年4月10日

有効回答:現役保育士106名

※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。

 

≪利用条件≫

1 情報の出典元として「子ねくとラボ」の名前を明記してください。

2 ウェブサイトで使用する場合は、出典元として、下記リンクを設置してください。

URL:https://konnect-labo.jp/

 

■現在勤務する園について、約8割が「配置数」や「処遇」に不十分さを実感

 「Q1.政府より公表された「こども子育て支援加速化プラン」の試案では、配置基準の見直しと保育士等の更なる処遇改善について言及がありました。今現在、勤務している園の配置数と処遇について、どのように感じていますか。」(n=106)と質問したところ、「配置数・処遇ともに十分」が20.8%、「配置数は十分だが、処遇が不十分」が17.9%という回答となりました。

Q1

・配置数・処遇ともに十分:20.8%

・配置数は十分だが、処遇が不十分:17.9%

・処遇は十分だが、配置数が不十分:17.9%

・配置数・処遇ともに不十分:43.4%

 

■配置基準見直しの施策に、6割以上が期待

 「Q2.保育士の配置基準見直しの施策に対して期待していますか。」(n=106)と質問したところ、「非常に期待している」が37.7%、「やや期待している」が22.6%という回答となりました。

Q2

・非常に期待している:37.7%

・やや期待している:22.6%

・あまり期待していない:28.3%

・全く期待していない:9.4%

・わからない:1.9%

 

■具体的には、「保育の質の向上」や「給与の増加」に期待

 Q2で「非常に期待している」「やや期待している」と回答した方に、「Q3.どのような期待をしているか、自由に教えてください。(自由回答)」(n=64)と質問したところ、「保育の質の向上」や「給与の増加」など58の回答を得ることができました。

 

<自由回答・一部抜粋>

・37歳:処遇、配置が充実することでよりよい保育環境をつくることができ、質の向上につながることを期待する。

・36歳:人員配置増で有給が自由にとれるようになってほしい。また、子育てしている保育士が時短や育休などをもっととれるようにしてほしい。

・36歳:加配児への配置を増やしてほしい。

・34歳:現場の状況を把握し、もっと必要なことを理解して改善して欲しい。

・31歳:特別支援児が急速に増加していることに反比例して、保育者の質が下がってきている。保育者の負担も大きくなっているので、給与の増加、増員に期待。

・27歳:大人の目が行き届く安全な保育ができることを期待している。

・40歳:保育士の業務量の多さや支援を要する子どもも増え、多様化しているので、何十年と変わっていない配置基準では目が行き届きません。子どもたちとじっくり関わりたくてもできないので、配置基準が変わり、手厚くなれば、もっと子どもたちに向き合えると思います。

 

■約6割が、「配置基準見直しによって保育の質が向上する」と回答

 「Q4.政府の保育士の配置基準見直しによって保育の質が向上すると思いますか。」(n=106)と質問したところ、「非常にそう思う」が30.2%、「ややそう思う」が29.2%という回答となりました。

Q4

・非常にそう思う:30.2%

・ややそう思う:29.2%

・あまりそう思わない:28.3%

・全くそう思わない:7.5%

・わからない:4.7%

 

■配置基準の見直しで改善されると思う業務、「精神的な負担が減る」が73.0%、「より安全を確保できる」が69.8%

 Q4で「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した方に、「Q5.配置基準が見直しされることによって業務のどのような部分が改善されると思いますか。(複数回答)」(n=63)と質問したところ、「精神的な負担が減る」が73.0%、「より安全を確保できる」が69.8%、「時間外労働が減る」が66.7%という回答となりました。

Q5

・精神的な負担が減る:73.0%

・より安全を確保できる:69.8%

・時間外労働が減る:66.7%

・「目」が増えることで、子ども一人ひとりの成長に見合った保育が実践できる:65.1%

・書類業務の見直しに使える時間が増える:55.6%

・保育者同士のコミュニケーションに割ける時間が増える:49.2%

・保護者とのコミュニケーションに割ける時間が増える:46.0%

・その他:3.2%

・わからない/答えられない:0.0%

 

■「新人育成の時間をとることができる」や「保育室や玩具のこまめな消毒」などの改善にも期待

 Q5で「わからない/答えられない」以外を回答した方に、「Q6.Q5で回答した以外に、「保育士の配置見直しによって改善される」と思う業務があれば、自由に教えてください。(自由回答)」(n=63)と質問したところ、「新人育成の時間をとることができる」や「保育室や玩具のこまめな消毒」など40の回答を得ることができました。

 

<自由回答・一部抜粋>

・37歳:ケガが減る。

・37歳:一人ひとりにしっかり目が行き届き、クラスの中でも一人ひとりに合わせて寄り添った関わりができる。

・37歳:精神的な負担が減り、仕事に集中できることによって、より子どもの安全を守ることができる。また、子どもに優しく接することができる。

・31歳:新人育成の時間をとることができる。

・28歳:支援児への手厚い配慮(診断のついていない子を含めて)。

・40歳:勤務時間内にできなかった書類作成や指導案作成、保育準備やおもちゃづくり等が勤務時間内にできるようになる。

・27歳:保育室や玩具のこまめな消毒。

 

■配置基準が見直されても保育の質が向上しないと思う理由、「保育士になりたいという人が少ないから」や「処遇が改善されなければ、やめる人は変わらない」など

 Q4で「あまりそう思わない」「全くそう思わない」と回答した方に、「Q7.なぜ向上が期待できないのか、自由に教えてください。(自由回答)」(n=38)と質問したところ、「保育士になりたいという人が少ないから」や「処遇が改善されなければ、やめる人は変わらない」など34の回答を得ることができました。

 

<自由回答・一部抜粋>

・40歳:保育士になりたいという人が少ないから。

・36歳:処遇が改善されなければ、やめる人は変わらない。負担は変わらないから。

・32歳:政策が出たとしても、実際の現場でそれが実施されることは少ないので期待できない。処遇もよくなると年々言われているが、実際働いている身で実感はない。

・25歳:子ども中心に考えていることは大切だが、そのために大人の数が足りていないこと、不適切保育も問題になっていることなど、先に改善すべきところがあると思う。

・27歳:園ごとに行事や製作物、出退勤時間などが異なり、経営者や園長のやり方、労働時間など、もっと深い所まで国の指示が入らないと何の意味もない。

・29歳:今回でできるなら、今までも出来てると思うから。もっと現場の声を聞いてほしい。

・34歳:園長主任が古い考えから変わらないため。

 

■まとめ

 今回は、現役保育士106名を対象に、保育士配置基準見直しと保育の質向上に関する調査を実施しました。

 まず、現在勤務している園について、約8割が「配置数」や「処遇」に不十分さを感じていることが分かりました。このような状況を踏まえ、政府より公表された配置基準の見直しと保育士等の更なる処遇改善について、約6割が、「配置基準見直しによって保育の質が向上する」と回答しており、「今以上に子どもに寄り添うことができるようになる」や、「ゲガを減らし、安全性を確保できる」といった声も挙げられ、より良い保育実現への期待が高まっています。一方で、約4割からは「配置基準の見直しでは保育の質は向上しない」との否定的な声も挙がっており、「処遇が改善されない限り状況は変わらない」「現場が見えてないような施策」といった長年状況を改善できなかった政府への不信感が垣間見える結果となりました。

 今回の調査では、保育士の配置数や処遇は、多くの場合十分に整備された状態になっておらず、長年変更がなされなかった配置基準の見直しに関して、肯定的な意見と否定的な意見の両方が集まりました。日本の将来を支える子どもたちが、安全な保育を受けられるよう、形式的な改善ではなく、保育現場の「今」に伴った総合的な改善が急務となっています。