【2023年保育現場調査】新型コロナ5類移行で、約2割の保育士が「脱マスク」保育、作対比11.4ポイントアップ
脱マスクによるコミュニケーションの変化、約7割が「子どもに喜怒哀楽を伝えやすくなった」と回答 「表情を真似してくれる子がいる」や「歌唱指導がしやすい」などの声
子どもと未来、そしてすべての人がConnect(繋がり、結びつき)する保育研究プロジェクト「子ねくとラボ(https://konnect-labo.jp/)」を運営する株式会社明日香(本社:東京都文京区、代表取締役:萩野 吉俗、https://www.g-asuka.co.jp/index.htm)は、現役保育士109名を対象に、【定点調査2023】マスク着用による保育の変化にまつわる調査を実施しましたので、お知らせいたします。尚、本調査は2022年に発表した同内容の調査(※)の定点観測調査です。
■調査サマリー
■調査概要
調査概要:【定点調査2023】マスク着用による保育の変化にまつわる調査
調査方法:IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
調査期間:2023年6月16日〜同年6月18日
有効回答:現役保育士109名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
※比較調査:2022年8月29日〜2022年9月2日|【定点調査2022】マスク着用による保育の変化にまつわる調査|https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000080.000043389.html
≪利用条件≫
1 情報の出典元として「子ねくとラボ」の名前を明記してください。
2 ウェブサイトで使用する場合は、出典元として、下記リンクを設置してください。
■約2割の現役保育士が「脱マスク」、昨対比11.4ポイントアップ
「Q1.あなた自身は、お勤めの保育園でマスクを着用していますか。」(n=109)と質問したところ、「職場規定上は任意のため、個人判断でしていない」が12.8%、「職場規定上、していない」が2.8%という回答となりました。
・職場規定上、している:37.6%
・職場規定上は任意のため、個人判断でしている:44.0%
・職場規定上は任意のため、個人判断でしていない:12.8%
・職場規定上、していない:2.8%
・あてはまるものはない/わからない:2.8%
■マスク着用による保育上の懸念、「表情が伝わらないため子どもが表情から感情を学びとることができない」が69.7%で最多
Q1で「職場規定上、している」「職場規定上は任意のため、個人判断でしている」と回答した方に、「Q2.保育中にマスクを着用することで生じる、問題や懸念と考えることを教えてください。(複数回答)」(n=89)と質問したところ、「表情が伝わらないため子どもが表情から感情を学びとることができない」が69.7%、「口の動きがわからないことで言語面での成長に影響がありそう」が50.6%、「読み聞かせなどの際に声が通りにくく、子どもたちが上手く聞き取れていない」が42.7%という回答となりました。
・表情が伝わらないため子どもが表情から感情を学びとることができない:69.7%
・口の動きがわからないことで言語面での成長に影響がありそう:50.6%
・読み聞かせなどの際に声が通りにくく、子どもたちが上手く聞き取れていない:42.7%
・昼食時に咀嚼方法を学ぶことができない:30.3%
・その他:4.5%
・特にない:5.6%
■「熱中症になりやすい」や「運動の際、呼吸が苦しくなる」などのマスク着用による保育上の懸念点も
Q2で「特にない」以外を回答した方に、「Q3.Q2で回答した内容以外にマスク着用で生じる問題や懸念があれば教えてください。(自由回答)」(n=84)と質問したところ、「熱中症になりやすい」や「運動の際呼吸が苦しくなる」など55の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・28歳:熱中症になりやすい。
・31歳:運動の際呼吸が苦しくなる。
・38歳:表情が乏しくなり、園児からの信頼が得にくい。
・58歳:保育者の指示が子供に伝わりにくい。
・37歳:声が届きにくい気がする。
・57歳:乳幼児はマスクをする事で顔を覚えづらい。
・31歳:保育士同士のコミュニケーションが取りづらい。
■76.4%が、マスクを着用した上での子どもとのコミュニケーションは「十分にとれている」と実感、昨年より8.3ポイントアップ
Q1で「職場規定上、している」「職場規定上は任意のため、個人判断でしている」と回答した方に、「Q4.マスクを着用したうえで子どもたちと十分にコミュニケーションがとれていると思いますか。」(n=89)と質問したところ、「とても思う」が25.8%、「やや思う」が50.6%という回答となりました。
・とても思う:25.8%
・やや思う:50.6%
・やや思わない:22.5%
・全く思わない:1.1%
■コミュニケーション上の工夫、半数以上が「喜怒哀楽に合わせて声を使い分けている」と回答、昨対比6.9ポイントアップ
「Q5.あなた自身もしくはあなたの職場では新型コロナウイルスの感染予防を行ったうえでどのようなコミュニケーション上の工夫をしていますか。(複数回答)」(n=109)と質問したところ、「喜怒哀楽に合わせて声を使い分けている」が53.2%、「ボディーランゲージを多用することで感情を伝えている」が31.2%、「昼食時にマスクではなく透明なフェイスシールドに変え、咀嚼方法を見せている」が15.6%という回答となりました。
・喜怒哀楽に合わせて声を使い分けている:53.2%
・ボディーランゲージを多用することで感情を伝えている:31.2%
・昼食時にマスクではなく透明なフェイスシールドに変え、咀嚼方法を見せている:15.6%
・表情が見えるようにマスクではなく終日透明なフェイスシールドを使っている:14.7%
・その他:8.3%
・特にない:19.3%
■コミュニケーション上で工夫していること、「動きや声色で感情を伝える」や「イラストや写真を用いる」などの声も
Q5で「特にない」以外を回答した方に、「Q6.Q5で回答した内容以外にコミュニケーション上で工夫していることがあれば教えてください。(自由回答)」(n=88)と質問したところ、「動きや声色で感情を伝える」や「イラストや写真を用いる」など56の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・27歳:動きや声色で感情を伝える。
・38歳:イラストや写真を用いる。
・42歳:目を見て話す。
・36歳:マスクを外して顔を見せる。
・36歳:目で表情を表す。
・38歳:声量に気をつけている。
・34歳:声のトーンを変えている。
■マスクで表情が伝わらず実際に生じた問題、「怒っていてもわかりにくい」や「意思疎通しにくい」などの声
「Q7.マスクで表情が伝わらないことで実際に生じた問題があれば自由に教えてください。(自由回答)」(n=109)と質問したところ、「怒っていてもわかりにくい」や「意思疎通しにくい」など71の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・39歳:怒っていてもわかりにくい。
・42歳:意思疎通しにくい。
・35歳:無愛想に見えるので伝わらない。
・57歳:乳幼児は特にマスクのまま言葉で話しても伝わりづらい。
・24歳:笑っているか怒っているか子供がわかっていないことがある。
・55歳:子どもに口元を見せれないので、感情や言葉、食事など伝えにくかった。
・29歳:幼ければ幼いほど食事や表情で伝える際に不自由さを感じた。
■マスクを外すようになったきっかけ、「暑くなってきて熱中症が心配だから」が52.9%で最多
Q1で「職場規定上、していない」「職場規定上は任意のため、個人判断でしていない」と回答した方に、「Q8.あなた自身が、お勤め先でマスクを外すようになったきっかけを教えてください。(複数回答)」(n=17)と質問したところ、「暑くなってきて熱中症が心配だから」が52.9%、「新型コロナウイルスが5類型感染症に移行されたから」が23.5%、「マスクを外す保育士が増えたから」が23.5%という回答となりました。
・暑くなってきて熱中症が心配だから:52.9%
・新型コロナウイルスが5類型感染症に移行されたから:23.5%
・マスクを外す保育士が増えたから:23.5%
・職場の規定として決定したから:17.6%
・世間的にマスクの着用者が減ってきたから:11.8%
・保護者からマスクを外して子どもと関わってほしいと言われたから:5.9%
・保護者からマスクを着用してほしいという要望が減ったから:0.0%
・新型コロナウイルスが5類型感染症に移行する前にマスクを外していた:0.0%
・その他:11.8%
・わからない/答えられない:5.9%
■マスクを外したことによる保育への影響、「子どもに喜怒哀楽を伝えやすくなった」が70.6%で最多
Q1で「職場規定上、していない」「職場規定上は任意のため、個人判断でしていない」と回答した方に、「Q9.お勤め先でマスクを外したことによる、保育への影響を教えてください。(複数回答)」(n=17)と質問したところ、「子どもに喜怒哀楽を伝えやすくなった」が70.6%、「子どもたちの表情が生き生きとして、笑顔が増えた」が52.9%、「言葉や歌を教えやすくなった」が47.1%という回答となりました。
・子どもに喜怒哀楽を伝えやすくなった:70.6%
・子どもたちの表情が生き生きとして、笑顔が増えた:52.9%
・言葉や歌を教えやすくなった:47.1%
・マスクの付け外しが無くなり気疲れが減った:29.4%
・職員間のコミュニケーションが取りやすくなった:23.5%
・子どもが積極的に話しかけてくれるようになった:17.6%
・子どもが話を聞いてくれるようになった:5.9%
・その他:11.8%
・特になし:0.0%
・わからない/答えられない:5.9%
■マスクを外したことによる保育への影響、「表情を真似してくる子がいる」や「歌唱指導がしやすい」などの変化も
Q9で「特になし」「わからない/答えられない」以外を回答した方に、「Q10.Q9で回答した以外に、お勤め先でマスクを外したことによる、保育への影響があれば、自由に教えてください。(自由回答)」(n=16)と質問したところ、「表情を真似してくれる子がいる」や「歌唱指導がしやすい」など12の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・29歳:表情を真似してくれる子がいる。
・34歳:歌唱指導がしやすい。
・25歳:暑さが軽減された。
・32歳:感染への恐怖がある。
・42歳:コミュニケーションがとりやすくなった気がする。
・41歳:配膳時の付け外しが面倒。
■まとめ
今回は、現役保育士109名を対象に、【定点調査2023】マスク着用による保育の変化にまつわる調査を実施しました。
まず、「職場規定上の任意」も含め、約2割の保育士が”脱マスク”をしている実態が明らかになりました。一方、まだ多くの保育士がマスクを着用した上での保育をしており、昨年と同様「表情が伝わらないため感情を学びとることができない」(69.7%)といった懸念点を抱えているようです。しかし、昨年と比較すると、マスクを着用した上での子どもとのコミュニケーションが「十分とれている」と感じている保育士が8.3ポイント上昇する結果となりました。また、”脱マスク”をしたことによるコミュニケーションの変化として、約7割の保育士が「子どもに喜怒哀楽を伝えやすくなった」と実感しており、他にも「表情を真似してくれる子がいる」、「歌唱指導がしやすい」などの声が挙がりました。
新型コロナ5類移行により、保育現場でも少しずつ”脱マスク”が進んでいます。”脱マスク”によって、以前に比べてコミュニケーションが取りやすくなったメリットも見受けられ、保育における表情を伝えることの重要性が改めて際立ちました。今後さらに”脱マスク”は進むと考えられますが、これをきっかけとした保育の質向上を期待すると共に、子どもたちや保育士自身の安全を守るために、引き続き、感染予防対策も合わせて考えていく必要がありそうです。