「定員割れ」または「定員と同数の児童抱える」保育園の7割以上が「保育士の採用のしにくさ」を実感 待機児童発生の原因、「共働き世帯の多い地域であること」が約7割
<令和5年待機児童数2680人>約8割の保育園が、「新卒保育士の減少」を実感
子どもと未来、そしてすべての人がConnect(繋がり、結びつき)する保育研究プロジェクト「子ねくとラボ(https://konnect-labo.jp/)」を運営する株式会社明日香(本社:東京都文京区、代表取締役:萩野 吉俗、https://www.g-asuka.co.jp/index.htm)は、保育施設の運営事業者・採用担当者・園長70名を対象に、保育施設の定員割れに関する実態調査を実施しましたので、お知らせいたします。
■調査サマリー
▼本調査のレポートダウンロードはこちら
https://drive.google.com/file/d/1LDVCokAJM7dS9fFV9WaOW1bp_WJJsfyX/view
■調査概要
調査概要:保育施設の定員割れに関する実態調査
調査方法:IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
調査期間:2023年10月23日〜同年10月25日
有効回答:保育施設の運営事業者・採用担当者・園長70名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
≪利用条件≫
1 情報の出典元として「子ねくとラボ」の名前を明記してください。
2 ウェブサイトで使用する場合は、出典元として、下記リンクを設置してください。
■「令和5年4月時点での待機児童数が2680人」という発表に対し、74.3%が「多いと感じる」と回答
「Q1.あなたは、「令和5年4月時点での待機児童数が2680人」という発表に対して、どのように感じていますか。」(n=70)と質問したところ、「非常に多いと感じる」が28.6%、「やや多いと感じる」が45.7%という回答となりました。
・非常に多いと感じる:28.6%
・やや多いと感じる:45.7%
・やや少ないと感じる:12.9%
・非常に少ないと感じる:1.4%
・多いとも少ないとも感じない:4.3%
・わからない/答えられない:7.1%
■勤務先保育園の定員に対する現在の児童数、「定員とほぼ同数の児童がいる」が44.3%で最多
「Q2.お勤め先の保育園の定員に対する、現在の児童数を教えてください。」(n=70)と質問したところ、「定員とほぼ同数の児童がいる」が44.3%、「定員を超え、待機児童を抱えている」が25.7%という回答となりました。
・定員割れしている:24.3%
・定員とほぼ同数の児童がいる:44.3%
・定員を超え、待機児童を抱えている:25.7%
・わからない/答えられない:5.7%
■約9割の保育園が、少子化が続くことによって、「今後経営難に陥る危険がある」と回答
Q2で「定員割れしている」「定員とほぼ同数の児童がいる」と回答した方に、「Q3.少子化が続くことによって、あなたの園は今後経営難に陥る危険があると思いますか。」(n=48)と質問したところ、「非常にそう思う」が22.9%、「ややそう思う」が64.6%という回答となりました。
・非常にそう思う:22.9%
・ややそう思う:64.6%
・あまりそう思わない:12.5%
・全くそう思わない:0.0%
・わからない/答えられない:0.0%
■7割以上が、児童数が定員割れしていることによって、保育士の「採用がしにくい」と回答
Q2で「定員割れしている」と回答した方に、「Q4.児童数が定員割れしていることによって、保育士の採用がしにくいと感じたことはありますか。」(n=17)と質問したところ、「非常に感じたことがある」が52.9%、「やや感じたことがある」が17.6%という回答となりました。
・非常に感じたことがある:52.9%
・やや感じたことがある:17.6%
・あまり感じたことはない:11.8%
・全く感じたことはない:5.9%
・わからない/答えられない:11.8%
■待機児童が発生している要因、「共働き世帯の多い地域であること」が66.7%、「保育士の採用が困難であること」が50.0%
Q2で「定員を超え、待機児童を抱えている」と回答した方に、「Q5.あなたの園で待機児童が発生している要因として挙げられるものを教えてください。(複数回答)」(n=18)と質問したところ、「共働き世帯の多い地域であること」が66.7%、「保育士の採用が困難であること」が50.0%、「園が子どもの多い地域にあること」が44.4%という回答となりました。
・共働き世帯の多い地域であること:66.7%
・保育士の採用が困難であること:50.0%
・園が子どもの多い地域にあること:44.4%
・園が都市部の人口密集地域にあること:33.3%
・想定よりも利用者が増えてしまったこと:11.1%
・質の高い保育が評価され、人気が高いこと:5.6%
・その他:0.0%
・わからない/答えられない:0.0%
■「人気のある保育園に集中」や「給料が安い、有給が取れない」などの要因も
Q5で「わからない/答えられない」以外を回答した方に、「Q6.Q5で回答した以外に、待機児童が発生している要因として挙げられるものがあれば、自由に教えてください。(自由回答)」(n=18)と質問したところ、「人気のある保育園に集中」や「給料が安い、有給が取れない」など12の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・43歳:保育園を増やさないから。
・39歳:自治体内で保育園の人気の差が出ている。
・34歳:採用難が本質的な問題だと思います。さらに掘り下げると、なぜ保育士になろうと思わないのか?と言う点において、労働環境や条件などが挙げられると思います。
・36歳:人気のある保育園に集中しすぎている。
・51歳:新興住宅地であるため各家族世帯が多い。
・35歳:給料が安い、有給が取れない。
■待機児童を抱える保育園の55.6%が、「今後、待機児童が解消する見込みはない」と回答
Q2で「定員を超え、待機児童を抱えている」と回答した方に、「Q7.今後、待機児童が解消する見込みはありますか。」(n=18)と質問したところ、「解消する見込みはほとんどない」が50.0%、「解消する見込みはない」が5.6%という回答となりました。
・解消する見込みが十分にある:0.0%
・解消する見込みがややある:22.2%
・解消する見込みはほとんどない:50.0%
・解消する見込みはない:5.6%
・解消する見込みが立てられない:11.1%
・わからない:11.1%
■約8割が、新卒保育士の入職または入職希望者が「減少している」と回答
「Q8.あなたは、新卒保育士の入職または入職希望者が減少していると感じますか。」(n=70)と質問したところ、「非常にそう感じる」が35.7%、「ややそう感じる」が42.9%という回答となりました。
・非常にそう感じる:35.7%
・ややそう感じる:42.9%
・あまりそう感じない:12.9%
・全くそう感じない:5.7%
・わからない/答えられない:2.9%
■まとめ
今回は、保育施設の運営事業者・採用担当者・園長70名を対象に、保育施設の定員割れに関する実態調査を実施しました。
まず、保育施設の運営事業者・採用担当者・園長の74.2%が「令和5年4月時点での待機児童数が2680人」という発表に対し、待機児童数が「多い」と感じており、待機児童が発生している要因として、「共働き世帯の多い地域であること」(66.7%)や「保育士の採用が困難であること」(50.0%)が挙げられ、今後も待機児童は「解消しない」と55.6%が見込みを示しています。また、勤務先保育園の定員に対する、現在の児童数については、24.3%の園で「定員割れしている」実態があり、少子化が続くことによって、今後「経営難に陥る危険」があると約9割が懸念しています。児童数が定員割れしていると「保育士の採用がしにくい」実態もあるようで、約8割が、新卒保育士の入職または入職希望者が「減少している」と回答しています。
日本が抱える社会問題の一つとして、「待機児童」が挙げられてきました。「令和5年4月時点での待機児童数が2680人※」と、直近で最多となった2017年と比べると減少傾向を辿っていますが、慢性的な保育士不足に陥っている園や、人気のある保育園に園児が集中する傾向もあり、保育施設の現場からは「待機児童数が多い」との、ズレが生じていることが明らかとなりました。一方、「少子化」も同時に進行している現在、定員割れしている保育施設は経営が苦しくなることが予想され、保育士の採用に影響するなど、負の連鎖が始まっています。待機児童や少子化の問題解決のためにも、保育士の人材確保は急務であり、政府の人材確保施策に注目が集まります。
※|内閣府子ども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ(令和5年4月1日)及び「新子育て安心プラン」集計結果を公表」https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/f699fe5b-bf3d-46b1-8028-c5f450718d1a/8e86768c/20230901_policies_hoiku_torimatome_r5_01.pdf
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