【保育のヒントに!発達障がいの子どもを持つ親に調査】 約6割が、「こちらを見てきたときに笑みを返すこと」を意識 96.0%から、障がいを1つの個性・多様性として捉える「インクルーシブ保育」を求める声
〜保育士に期待したいこと、第1位「無意識のうちに差別しないこと」〜
子どもと未来、そしてすべての人がConnect(繋がり、結びつき)する保育研究プロジェクト「子ねくとラボ(https://konnect-labo.jp/)」を運営する株式会社明日香(本社:東京都文京区、代表取締役:萩野 吉俗、https://www.g-asuka.co.jp/index.htm)は、0歳〜5歳の発達障がいを抱えている子どもを持つ親100名を対象に、発達障がいの子どもへの接し方に関する意識調査を実施しましたので、お知らせいたします。
■調査サマリー
▼本調査のレポートダウンロードはこちら
https://bit.ly/3QBKoD9
■調査概要
調査概要:発達障がいの子どもへの接し方に関する意識調査
調査方法:IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
調査期間:2024年4月8日〜同年4月8日
有効回答:0歳〜5歳の発達障がいを抱えている子どもを持つ親100名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
≪利用条件≫
1 情報の出典元として「子ねくとラボ」の名前を明記してください。
2 ウェブサイトで使用する場合は、出典元として、下記リンクを設置してください。
■発達障がいを持つ子どもへの接し方で意識していること、「こちらを見てきたときに笑みを返すこと」「傾聴を大切にし、子どもが伝えようとすることに耳を傾けること」など
「Q1.発達障がいをお持ちのお子様への接し方で意識していることを教えてください。(複数回答)」(n=100)と質問したところ、「こちらを見てきたときに笑みを返すこと」が59.0%、「傾聴を大切にし、子どもが伝えようとすることに耳を傾けること」が45.0%、「その時々の子どもの感情を察すること」が44.0%という回答となりました。
・こちらを見てきたときに笑みを返すこと:59.0%
・傾聴を大切にし、子どもが伝えようとすることに耳を傾けること:45.0%
・その時々の子どもの感情を察すること:44.0%
・積極的に話しかけること:40.0%
・絵や文字などで視覚的に伝えること:32.0%
・適切に触れて安心感を与えること:31.0%
・否定や叱責をせず、肯定してから求める行動を伝えること:31.0%
・例を用いたり具体的に伝えること:18.0%
・物事を簡潔に伝えるようにすること:18.0%
・その他:0.0%
■「表情豊かに伝えること」や「予定や1日の見通しを立てて行動する」などを意識している人も
「Q2.Q1で回答した以外に、発達障がいをお持ちのお子様への接し方で意識していることがあれば、自由に教えてください。(自由回答)」(n=100)と質問したところ、「表情豊かに伝えること」や「予定や1日の見通しを立てて行動する」など100の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・34歳:見守る気持ちで。
・45歳:ゆっくり喋ること、相手が理解しているか確認しながら喋ること。
・41歳:イライラしないように適度な距離をとる。
・33歳:気持ちをしっかり汲み取ること。
・43歳:自由にさせながらも、危険なことなどはその都度伝えるようにしている。
・35歳:表情豊かに伝えること。
・38歳:予定や1日の見通しを立てて行動する。忘れないように紙に書いて、見えるところに貼っておく。良い行動は具体的に何が良いか話して褒める。
■発達障がいを持つ子どもを保育園に預ける場合、保育士に期待したいこと、第1位「無意識のうちに保育士自身が差別しないこと」
「Q3.発達障がいをお持ちのお子様を保育園に預ける場合、保育士に期待したいことを教えてください。(複数回答)」(n=100)と質問したところ、「無意識のうちに保育士自身が差別しないこと」が45.0%、「障がいを個性と捉え、分け隔てない対応をすること」が44.0%という回答となりました。
・無意識のうちに保育士自身が差別しないこと:45.0%
・障がいを個性と捉え、分け隔てない対応をすること:44.0%
・いつもと違うことに気付いたら細かく報告すること:39.0%
・できなかったり時間がかかっても怒らずに寄り添うこと:39.0%
・子どもの自発的な行動を大切にしてくれること:38.0%
・自己肯定感を高めてくれる声掛けなどをすること:30.0%
・子どもの得意・不得意を理解した無理のないカリキュラムを作成すること:25.0%
・保護者の声を尊重し、保育に反映すること:22.0%
・その他:1.0%
■「ゆっくり関わってほしい」や「特別扱いするのもおかしいといっても、みんなと同じようにするのが難しいと思う」などの声も
「Q4.Q3で回答した以外に、発達障がいをお持ちのお子様を保育園に預ける場合、保育士に期待したいことがあれば、自由に教えてください。(自由回答)」(n=100)と質問したところ、「ゆっくり関わってほしい」や「特別扱いするのもおかしいといっても、みんなと同じようにするのが難しいと思います」など100の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・29歳:特性の理解。
・41歳:周りのお子さんとうまくできるようにサポートしてくれること。
・43歳:無理なく成長につなげられるような保育を期待する。
・33歳:ゆっくり関わってほしい。
・36歳:自由にやらせる。個性を伸ばす。
・40歳:本人の意見の尊重。
・35歳:特別扱いするのもおかしいし、かといって、みんなと同じようにするのが難しいと思います。できたらみんなと同じようにしてほしいです。
■発達障がい持つ子どもが保育園生活で苦戦すると思う場面、63.0%が「他児とのコミュニケーション」と回答
「Q5.発達障がいをお持ちのお子様が保育園の生活の中で苦戦すると思う場面を教えてください。(複数回答)」(n=100)と質問したところ、「他児とのコミュニケーション」が63.0%、「登園・降園」が53.0%、「保育者とのコミュニケーション」が45.0%という回答となりました。
・他児とのコミュニケーション:63.0%
・登園・降園:53.0%
・保育者とのコミュニケーション:45.0%
・遊びを通した学び:29.0%
・食事:28.0%
・お昼寝:15.0%
・その他:0.0%
■「友だちを作ること」や「演奏会などの行事」などを心配する人も
「Q6.Q5で回答した以外に、発達障がいをお持ちのお子様が保育園の生活の中で苦戦すると思う場面があれば、自由に教えてください。(自由回答)」(n=100)と質問したところ、「友だちを作ること」や「演奏会などの行事」など100の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・29歳:友だちを作ること。
・41歳:演奏会などの行事。
・43歳:生活の仕方を覚えること。
・44歳:言いたいことが伝えられなくて癇癪を起す。
・28歳:運動面。
・38歳:初めてのことに戸惑うこと。
・35歳:集団行動。
■96.0%が、障がいを1つの個性・多様性として捉える「インクルーシブ保育」の必要性を実感
「Q7.障がいを1つの個性・多様性として捉えるインクルーシブ保育についてどのように考えますか。」(n=100)と質問したところ、「非常に必要だと思う」が66.0%、「やや必要だと思う」が30.0%という回答となりました。
・非常に必要だと思う:66.0%
・やや必要だと思う:30.0%
・あまりだと思わない:3.0%
・全く必要だと思わない:1.0%
■インクルーシブ保育が必要な理由、約6割が「「違い」からさまざまな刺激を受け、各児の成長につなげられるから」と回答
Q7で「非常に必要だと思う」「やや必要だと思う」と回答した方に、「Q8.1つの個性・多様性として一人ひとりをみていくインクルーシブ保育が必要だと思う理由を教えてください。(複数回答)」(n=96)と質問したところ、「「違い」からさまざまな刺激を受け、各児の成長につなげられるから」が58.3%、「子どもたちの間で障がいを個性として捉える考え方が浸透するから」が52.1%、「無意識に作り出される偏見や差別がなくなるから」が45.8%という回答となりました。
・「違い」からさまざまな刺激を受け、各児の成長につなげられるから:58.3%
・子どもたちの間で障がいを個性として捉える考え方が浸透するから:52.1%
・無意識に作り出される偏見や差別がなくなるから:45.8%
・自分とほかの子どもとの違いを知り、対人関係を学べるから:31.3%
・状況に応じた対応力を身につけられるから:24.0%
・立場の違う友だちとのかかわり方を学べるから:19.8%
・障がいの有無に左右されずにみんなで遊びに参加できるから:16.7%
・その他:0.0%
■十分なインクルーシブ保育実現のため、「外部の関係機関と連携した援助体制の整備」「保育士の障がいへの理解と対応への知見」を重要視
Q7で「非常に必要だと思う」「やや必要だと思う」と回答した方に、「Q9.インクルーシブ保育を十分に実現するために、重要だと思う取り組みや制度を教えてください。(複数回答)」(n=96)と質問したところ、「外部の関係機関と連携して援助の体制が整っていること」が55.2%、「保育士の障がいへの理解と対応への知見があること」が54.2%、「一人ひとりをみていくため個別の計画などの取り組みがあること」が49.0%という回答となりました。
・外部の関係機関と連携して援助の体制が整っていること:55.2%
・保育士の障がいへの理解と対応への知見があること:54.2%
・一人ひとりをみていくため個別の計画などの取り組みがあること:49.0%
・十分な職員配置がされていること:31.3%
・施設と保護者の間で子どもの発達を共有し合う機会が十分にあること:21.9%
・その他:0.0%
■まとめ
今回は、0歳〜5歳の発達障がいがある子どもを持つ親100名を対象に、発達障がいの子どもへの接し方に関する意識調査を実施しました。
まず、発達障がい持つ子どもへの接し方で意識していることとしては、「こちらを見てきたときに笑みを返すこと」(59.0%)、「傾聴を大切にし、子どもが伝えようとすることに耳を傾けること」(45.0%)が上位になりました。また、子どもを保育園に預ける場合、保育士に期待したいことについては、第1位「無意識のうちに保育士自身が差別しないこと」(45.0%)、第2位「障がいを個性と捉え、分け隔てない対応をすること」(44.0%)の結果となりました。さらに、子どもが保育園生活で苦戦すると思う場面に関して、63.0%が「他児とのコミュニケーション」、次いで53.0%が「登園・降園」と回答しました。最後に、96.0%が障がいを1つの個性・多様性として捉える「インクルーシブ保育」の必要性を実感しており、インクルーシブ保育を十分に実現するために、「外部の関係機関と連携して援助の体制が整っていること」(55.2%)、「保育士の障がいへの理解と対応への知見があること」(54.2%)などを重要視しています。
今回の調査では、発達障がいがある子どもを持つ親の意識の流れとして、障がいのある子も無い子も同じ場で活動するという障がいの有無ありきの「統合保育」から、個人差や多様性を認めて子ども同士が育ちあう「インクルーシブ保育」へ要望が強まっていることが明らかになりました。保育士に対しても、子どもたち一人一人の個性やニーズに敏感に反応し、適切なサポートを提供することが求められており、保育士自身が差別せず、分け隔てなく対応してほしいと期待する声も多くありました。一方で、”違い”を認めることから始まるインクルーシブ保育の本質とは逆に、 “みんなと同じように” を理想としているが難しい実態も理解しているという声もあり、まだまだ理想とのギャップに葛藤する様子も見られました。
インクルーシブ保育は、障がいのある子もない子も大切な存在としてその子らしく輝き、子ども同士が共感し合いながら育ち合うことを目指す保育です。しかし、少子化に起因する利用者の減少や保育人材の不足なども影響し、保育現場にとって、ときに一筋縄でいかないこともあるでしょう。そういった現状を受け止めながらも、すべての子どもたちが伸び伸びと過ごせる保育環境を目指すためには、引き続き研修などを通した主体的な学びが保育士に求められます。さらに、これらをすべて保育士や保育現場に求めて孤立させるのではなく、関連機関との連携含め、国や行政からの継続した支援体制のさらなる強化が求められています。
▼本調査のレポートダウンロードはこちら
https://bit.ly/3QBKoD9