【保育士110名の本音を調査】3人に1人の保育士が、園長との関係性が「良好ではない」と告白 園長との関係性が仕事への「満足度」や「ストレス」に影響も〜77.3%の保育士が、園長との関係性が「転職・退職に影響する」と回答〜
株式会社明日香(本社:東京都文京区、代表取締役:萩野 吉俗、以下 明日香)が運営する子どもと未来、そしてすべての人がConnect(繋がり、結びつき)する保育研究プロジェクト「子ねくとラボ」は、現役保育士の方110人を対象に、「チームビルディング」に関する実態調査を行いましたので、結果を発表致します。
■サマリー
■調査概要
調査概要:「チームビルディング」に関する実態調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2021年10月14日〜同年10月16日
有効回答:現役保育士の方110人
■3人に1人の保育士が、園長との関係性が「良好ではない」と回答
「Q1.現在、あなたと園長の関係性は良好ですか。」(n=110)と質問したところ、「全く良好でない」が6.5%、「あまり良好でない」が24.5%という回答となりました。
・全く良好でない:6.5%
・あまり良好でない:24.5%
・やや良好:46.4%
・非常に良好:22.6%
■園長との関係構築における課題、「コミュニケーションが少ない」「意見を聞いてくれない」がそれぞれ50%
「Q2.Q1で「全く良好でない」「あまり良好でない」と回答した方に質問します。園長との関係構築において具体的にどのような課題がありますか。(複数回答)」(n=34)と質問したところ、「コミュニケーションが少ない」が50.0%、「園長が意見を聞いてくれない」が50.0%、「仕事を正当に評価してくれない」が44.1%という回答となりました。
・コミュニケーションが少ない:50.0%
・園長が意見を聞いてくれない:50.0%
・仕事を正当に評価してくれない:44.1%
・園長にリーダーシップがない:41.2%
・園長が現場を把握できていない:41.2%
・園の運営方針が合わない:20.6%
・その他:2.9%
■「園児の育成方法の意思統一が図れていない」や「一貫性のない理想論に振り回されている」などの課題を指摘する声も
「Q3.Q1で「全く良好でない」「あまり良好でない」と回答した方に質問します。園長との関係構築においてQ2以外の課題があれば教えてください。(自由回答)」(n=34)と質問したところ、「園児の育成方法の意思統一が図れていない」「園長の一貫性のない理想論に振り回されている」など24の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・30歳:園児の育成方法の意思統一が図れていない。
・37歳:園長の一貫性のない理想論に振り回されている。園長が自身を振り返るような制度、また保育士が園長を評価できるような、保育士や保護者から匿名で意見できる、透明性のある制度の構築が必要。
・32歳:諦めている。
・43歳:本音がわからない。もっとコミュニケーションが取れたら、違うのかもしれない。
・24歳:園長が現場の声や日々の子どもとの信頼関係を無視して、保育に対して口出しをしてくる。
・27歳:全員に対等な態度をとるべき。
・44歳:仕事の量がおおすぎる。
・56歳:仕事以外の会話がない。
■園長との関係性が、「仕事の満足度へ影響する」80.9%、「ストレスへ影響する」80.0%
「Q4.園長との関係性は、仕事の満足度・ストレスに影響がありますか。」(n=110)と質問したところ、満足度「非常に影響がある」「やや影響がある」が80.9%、ストレス「非常に影響がある」「やや影響がある」が80.0%という回答となりました。
・満足度「非常に影響がある」:33.6%
・満足度「やや影響がある」:47.3%
・満足度「あまり影響がない」:18.2%
・満足度「全く影響がない」:0.9%
・ストレス「非常に影響がある」:41.8%
・ストレス「やや影響がある」:38.2%
・ストレス「あまり影響がない」:16.4%
・ストレス「全く影響がない」:3.6%
■約8割が、園長との関係性が「自身の転職・退職に影響がある」と回答
「Q5.園長との関係性は、ご自身の転職・退職に影響がありますか。」(n=110)と質問したところ、「非常に影響がある」が31.8%、「やや影響がある」が45.5%という回答となりました。
<自由回答・一部抜粋>
・非常に影響がある:31.8%
・やや影響がある:45.5%
・あまり影響がない:18.2%
・全く影響がない:4.5%
■勤め先の園長のタイプ、「民主型」が24.5%、「強制型」が16.4%
「Q6.あなたがお勤めの園長のタイプを教えてください。」(n=110)と質問したところ、「民主型(職員からの意見や提案を受け入れ、組織の方針に反映するタイプ)」が24.5%、「強制型(全ての決定権をリーダーが握り、目標達成を目指すタイプ)」が16.4%という回答となりました。
・ビジョン型(目標やビジョンを明確にし、それに向かってメンバーを導くタイプ):13.6%
・コーチ型(職員1人1人をよく把握し、各自の能力向上を支援するタイプ):15.5%
・関係重視型(目標達成のために、信頼関係構築を重視しているタイプ):11.8%
・民主型(職員からの意見や提案を受け入れ、組織の方針に反映するタイプ):24.5%
・ペースセッター型(目標達成の際、自らが進んで手本を見せ、メンバーを導くタイプ):5.5%
・強制型(全ての決定権をリーダーが握り、目標達成を目指すタイプ):16.4%
・あてはまるものはない:12.7%
■まとめ
今回は現役保育士の方110人を対象に、「チームビルディング」に関する実態調査を実施しました。
まず、3人に1人の保育士が「園長との関係性が良好ではない」ことが判明。そこで、良好ではないと回答した保育士に、園長との関係構築における課題について尋ねたところ、「コミュニケーションが少ない」「意見を聞いてくれない」がそれぞれ50%と最多の結果になりました。他にも、「園児の育成方法の意思統一が図れていない」や「園長の一貫性のない理想論に振り回されている」など、園長の意図が伝わらないという具体的な課題を指摘する声も挙がりました。
園長との関係性については、80.9%が「仕事の満足度へ影響する」、80.0%が「ストレスへ影響する」と回答しました。更に、約8割が、園長との関係性が「自身の転職・退職に影響がある」と回答しており、「園長との関係性」が現場の満足度や離職に大きく影響することがわかりました。
最後に、勤め先の園長のタイプを尋ねてみたところ、「民主型(職員からの意見や提案を受け入れ、組織の方針に反映するタイプ)」が24.5%、「強制型(全ての決定権をリーダーが握り、目標達成を目指すタイプ)」が16.4%、「コーチ型(職員1人1人をよく把握し、各自の能力向上を支援するタイプ)」が15.5%と、様々なタイプの園長がいらっしゃることがわかりました。
多くの園長が職場環境をより良くし、保育の質を向上させようと日々努力されています。しかし、それが実を結ぶためには、現実(調査結果)と向き合うことも必要かもしれません。保育士の採用・定着は各園の課題となっており、その多くが園長と現場の保育士のコミュニケーション不全にあります。今回の調査でも、園長と保育士のより良い関係構築が、仕事に対する満足度や離職率に大きく影響することが明らかになりました。園長と保育士が充分なコミュニケーションを取ることで、双方が抱くギャップを埋めることができ、結果として保育士にも保護者にも選ばれる保育園を築き上げることができるかもしれません。