【ニュースリリース】明日香、浜松市と「保育専門通訳システム」の実証実験結果を発表! 保育現場で多言語通訳を実現、 77%の保育者が「業務に役立った」と回答〜AIによる精度向上に期待、インクルーシブ保育を目指す〜
総合保育サービスを提供している株式会社 明日香(本社:神奈川県横浜市、代表取締役 :萩野 吉俗、以下 明日香)は、浜松市協力の下調査していた、保育現場における有用性のある通訳システムについての実証実験結果を発表しました。
<保育専門通訳システムを活用して会話をする保育者と保護者>
■通訳システムの実証実験 背景
昨今のグローバル化は保育現場も例外ではなく、どこの園にもほぼ外国人の子どもがいるようになりました。法務省在留外国人統計によると、日本に住む外国人は2018年6月末で2,637,251人に上り、半数以上が日本国内への永住・定住・長期滞在を希望する傾向が高まっています。外国籍乳幼児の長期的滞在は、すなわち保育所・幼稚園での頻繁な受入れにもつながっていますが、一方で、言葉と文化の違いによる大きな壁が存在するのも事実です。保育者は、国籍に関係なく子どもと緊密なコミュニケーションを取ることで、子どもが何を感じ、何を求めているのかを常に把握し、理解するよう努める必要があります。また、子どもの保護者に対しても、保護者のニーズを理解するとともに、子どもの様子や保育園で起きた出来事などを伝達する必要があります。(参照:法務省在留外国人統計)
今回の実験では、保育現場における有用性のある通訳システムを調査・開発し、効果的なインクルーシブ保育(共生社会)の実現と、 保護者支援を含む保育業務全般の質向上を目指しています。
■実証実験の目的
・入園面談や懇談会、怪我発生時の緊急対応など、園児の体調や健康面等に関する重要事項を外国人保護者と
やり取りする際のコミュニケーションロスを無くす(「安全性の充実」)
・外国人保護者にとって、子育ての相談がしやすい環境を創る(「保護者支援の充実」)
・外国語対応に係る保育者の心的ストレスを軽減し、保育の質を高める(「保育の充実」)
■「保育専門」の通訳システムとは?
保育の現場には、汎用の通訳機では認識しづらい“保育現場に特化した言葉”が存在します(※例「登園・降園」、「園長」など)。そのため、汎用機を使う場合、代用語への言い換えや異訳などの“調整”が必要となりますが、「保育専用の通訳システム」では、保育特有の用語も認識できるため、現場でのスムーズなコミュニケーションが叶います。
今回の実証実験で保育の専門用語を洗い出し、それらを言語データベースにリスト化・集積することで、保育専門の翻訳エンジンを構築。AIによる機械学習を経て、翻訳精度を高めていくことが期待されています。
<保育専門通訳システムの仕組み>
■実証実験アンケート概要
実証実験期間:2019年11月〜2020年4月
実証実験施設:浜松市内公立保育園・公立幼稚園 計12施設
実証実験対象:上記保育施設に勤める保育者
■保育専用通訳機「業務に役立った」77%
「Q1. 通訳機を使ってみて、実際の業務に役立ちましたか?」と質問したところ、「とても役に立った」「役に立った」と回答した保育者は77%という結果になりました。
とても役に立った:8%
役に立った:69%
役に立たない:23%
全く役に立たない:0%
<自由回答>
・通訳機が有って非常に助かった。若い職員が使いこなしてくれた。
・スマートフォンなので使いやすかった。操作が使いやすかった。一方で苦手な人はいざ使いたいときに慣れておらず使いこなせなかった
■32%の保育者が「送迎時」に保育専用通訳機が役立ったと回答
Q1で「とても役に立った」「役に立った」と回答した方に「Q2. 役に立ったのはどんな場面ですか(複数回答)」と質問したところ、「送迎時」が32%で最多、次いで「保護者面談」が23%の順になりました。
送迎時:32%
保護者面談:23%
行事:18%
保育中:14%
保護者会:9%
緊急連絡時:4%
その他:0%
無回答:0%
■訳が正確に伝わらない場面も
Q1で「役立たない」「全く役立たない」と回答した方に「Q3. 回答理由は何ですか(複数回答)」と質問したところ、33%の保育者が「訳が正確に伝わらない」と回答しました。
訳が正確に伝わらない:33%
保育用語が訳されない:17%
音声を認識しない:17%
操作しづらい:0%
その他:33%
<自由回答>
・保護者会などで長時間(15分程度)の会話をするときすべて訳すことが難しい。
・大人数での会話を翻訳するには適していない。
・個人情報の保護の観点からスマホじゃないほうがいいのかもしれない。
■保育者は外国語の習得で、外国人の子どもを安心させたいという意見も
「Q4. 今後、保育者は外国語を習得しなければいけないと思いますか?」(n=13)と質問したところ、「はい」と「いいえ」が同率で38%の結果になりました。
はい:38%
いいえ:38%
どちらともいえない:16%
無回答:8%
<自由回答>
・外国籍の子供が増え、コミュニケーションのために簡単なやり取りは必要。
・保育者が学んであいさつなど声をかけることで外国人の子供が安心して過ごせる。
・多様な外国籍の子供がいるためどの言葉を習得するべきか絞ることが困難。
・保護者自身も日本で生きていく上では日本語を覚えることも大切になる。
■シフト管理や安否確認のツールも欲しい
「Q5. 通訳機以外に、保育園での業務内で「あったらいいな」と思うITシステムやツールはありますか?(自由回答)」と質問したところ、シフト管理や安否確認など様々な意見が挙がりました。
<自由回答>
・手紙や案内状を通訳するアプリや機能
・シフトを自動で作成してくれる機械
・宗教上食べられない子供のための給食や調理法を外国語で見られるアプリ
・災害時の安否確認
・保護者との育児相談
■総括
今回の実証実験では、通訳機ツールが保育現場の先生方のお役に立てる可能性が高いことを確信できました。 実証実験によって洗い出された保育の専門用語については、AIによる機械学習により、より使いやすいツールに“育っていく”ことが期待されます。今回の結果を基に、保育現場で求められるシーンに寄り添った運用方法をご提供することが不可欠であると共に、子どもの年齢や国籍、障がいといった「違い」をすべて受け入れる保育「インクルーシブ保育」を実現していくため、保育の質向上に直結するツールとして、機能向上・開発へと繋げたいと考えています。
■保育専用通訳システム、製品化向け開発中!
今回実証実験で使用した「保育専用通訳システム」は、中国のAIを主力とするIT企業、株式会社AIoTセンター(本社:東京都中央区、代表:龔 欲暁・曲 燕斌)ご協力のもと、製品化に向け開発を進めています。
スマートフォンなどの端末だけでご利用いただけるため、自治体や保育園をはじめ、ご利用のご希望があれば無償で試供も可能です。
<保育専用通訳システム:訳イメージ>
試供についてのお問い合わせはこちら:株式会社 明日香 経営企画室
TEL: 03-6912-0015