子どもの国籍や障がい、年齢、貧困などの違いを受け入れる保育を実施している保育園は60.3% 一方で「インクルーシブ保育」を知っている保育士は37.9%という結果に 〜積極的に受け入れたいとの思いが多い中、現状では厳しいとの意見も 明日香、『インクルーシブ保育に関する実態調査』を実施~
株式会社 明日香(本社:神奈川県横浜市、代表取締役 :萩野 吉俗、以下 明日香)は、「インクルーシブ保育に関する実態調査」を目的にアンケート調査を実施しましたので発表いたします。
■調査概要
調査期間:2020年9月24日〜9月28日
調査方法:インターネット調査
調査目的:インクルーシブ保育に関する実態調査
有効回答:保育士103名
■インクルーシブ保育を知っている保育士は37.9%
「Q1.国籍や障がいなどの有無にかかわらず、様々な子どもを受け入れるインクルーシブ保育が文部科学省より推進されています。あなたはインクルーシブ保育を知っていますか。」(n=103)と質問したところ、「知っている」が37.9%、「知らない」が62.1%という回答となりました。
・知っている:37.9%
・知らない:62.1%
■インクルーシブ保育を知ったときは「保育園が行う研修」が38.5%、「参考書・教科書」が30.8%という結果に
「Q2.Q1で「知っている」と回答した方にお聞きします。どこでインクルーシブ保育を知りましたか。(複数回答)」(n=39)と質問したところ、「保育園が行う研修」が38.5%、「参考書・教科書」が30.8%、「保育士養成校の授業」が28.2%という回答となりました。
・保育園が行う研修:38.5%
・参考書・教科書:30.8%
・保育士養成校の授業:28.2%
・勤めた経験がある保育園:25.6%
・インターネット:25.6%
・TV:23.1%
・実習先施設:17.9%
・友人・家族から:7.7%
・その他:5.1%
■約6割の保育士が国籍や障がいなどの違いを受け入れる保育を行っていると回答
「Q3.あなたがお勤めの保育園では、子どもの国籍や障がい、年齢、貧困などの「違い」をすべて受け入れる保育を行っていますか。」(n=103)と質問したところ、「行っている」が60. 3%、「行っていない」が10.7%という回答となりました。
・行っている:60.3%
・行っていない:10.7%
・わからない:6.8%
・答えられない:2.9%
・保育園で働いていない:19.3%
■外国にルーツを持つ子どもへの対応に難しさを感じる保育士は約半数
「Q4.Q3で「行っている」と回答した方にお聞きします。「違い」のうち、特に外国にルーツを持つ子どもへの対応に難しさを感じますか。」(n=62)と質問したところ、「とても感じる」が12.9%、「感じる」が41.9%という回答となりました。
・ とても感じる:12.9%
・感じる:41.9%
・あまり感じない:32.3%
・全く感じない:1.6%
・外国にルーツを持つこどもはいない:11.3%
■語学や生活環境の違いで対応に難しさを感じた保育士多数
「Q5.Q4で「とても感じる」「感じる」と回答した方にお聞きします。具体的に難しさを感じたエピソードを教えてください。」(n=32)と回答したところ、「中国出身で日本語が話せない人の対応が大変だった」「他の子どもとの調和が難しい」という回答があがりました。
〈一部抜粋・自由回答〉
・33歳:日本語がうまく使えないので、伝えたいことがわからない時がある
・50歳:中国出身で日本語が話せない人の対応が大変だった
・48歳:生活環境の違いで当たり前のことが当たり前じゃないことがある
・54歳:インドネシアの子供は、定時にラマダンがある。
・43歳:他の子どもとの調和が難しい
■76.5%の保育士が「違い」を持つ子どもの親への対応に
難しさを感じたと回答
「Q6.Q4で「とても感じる」「感じる」と回答した方にお聞きします。「違い」のうち、特に外国にルーツを持つ子どもの親への対応に難しさを感じたことはありますか。」(n=34)と質問したところ、「ある」が76.5%、「ない」が23.5%という回答となりました。
・ある:76.5%
・ない:23.5%
■85.4%の保育士が保育の現場で外国にルーツを持つ子どもが増加している背景から、保育者向けの通訳機があれば使ってみたいと回答
「Q7.近年、日本国内における外国人労働者数が増加し、保育の現場でも外国にルーツを持つ子どもが増加しています。保育者向けの通訳機があれば使ってみたいですか。」(n=103)と質問したところ、「とても使ってみたい」が22.3%、「使ってみたい」が63.1%という回答となりました。
・とても使ってみたい:22.3%
・使ってみたい:63.1%
・あまり使いたくない:11.7%
・使いたくない:2.9%
■保育者向けの通訳機があれば使ってみたい理由として「多国籍の子どもが入園した際のコミュニケーションをとるため」「提出書類についての説明など難しいことがあるから」など
「Q8.Q7で「とても使ってみたい」「使ってみたい」と回答した方にお聞きします。使ってみたいと思った理由を、使ってみたい場面/シーンとともに教えてください。」(n=81)と質問したところ、「多国籍の子供が入園してきた際に子供や保護者とコミュニケーションをとるため」「日々の保育の中で今何をするときか伝えたいときや、日本語で話すのが難しい時に使いたい。親への伝言などにも使いたい」などの回答があがりました。
<自由回答・一部抜粋>
・39歳:多国籍の子供が入園してきた際に子供や保護者とコミュニケーションをとるため
・45歳:子どもの困りごとがわかれば、子どもが安心しそう。
・33歳:日々の保育の中で今何をするときか伝えたいときや、日本語で話すのが難しい時に
使いたい。親への伝言などにも使いたい
・48歳:子どもや保護者と言葉が通じず理解し会えないことがあるから
・36歳:提出書類についての説明など難しいことがあるから
・31歳:英語/日本語以外の言語を母国語としている保護者とのコミュニケーションとして
利用したい。
■まとめ
今回の調査ではインクルーシブ保育に関する実態調査を実施しました。子どもの国籍などの「違い」を受け入れる保育の実施率は60.3%でしたが、その保育方法が「インクルーシブ保育」であると認知している保育士は37.9%と、インクルーシブ保育の認知度が進んでいない実態が浮き彫りになりました。
また、外国にルーツを持つ子どもへの対応に難しさを感じる保育士は約半数いることや、外国にルーツを持つ子どもの保護者の方への対応に難しさを感じたことがある保育士は76.5%でした。子どもの「違い」を受け入れる保育に対する意見では、「いろいろな個性を認め、認めてもらうことで、自己肯定感が高まると思う」という積極的な意見がありつつも、「受け入れるには、スタッフの人数や体制を変えないといけないことが考えられ、現状では無理だと思う。」という現実的な課題が表面化しました。
そして近年、保育の現場で外国にルーツを持つ子どもが増加している背景から、外国にルーツを持つ子どもの保護者向けの通訳機について、利用したいと回答した保育士が85.4%いることが判明しました。
本調査より、インクルーシブ保育のうち国籍に関することは、保育専用通訳機によって円滑なコミュニケーションや保育の安全性向上を実現するでしょう。現在はコロナの影響により控えられていますが、今後も日本での外国人の来訪や移住は増えるでしょう。ますます増えると予想される外国にルーツを持つ子どもとの関わりや保護者への支援を充実させるためにも、通訳機のようなツールを通じて保育環境を充実させる必要があると言えます。
■保育専用通訳システム、製品化向け開発中!
明日香は、AIを主力とするIT企業、株式会社AIoTセンター(本社:東京都中央区、代表:龔 欲暁・曲 燕斌)ご協力のもと、「保育専用通訳システム」の製品化に向け開発を進めています。
スマートフォンなどの端末だけでご利用いただけるため、自治体や保育園をはじめ、ご利用のご希望があれば無償で試供も可能です。
<保育専用通訳システム:訳イメージ>
試供についてのお問い合わせはこちら:株式会社 明日香 経営企画室
TEL: 03-6912-0015