【ベビーシッタースキルアップ研修レポート】3秒で泣き止む、3分で眠るまぁるい抱っこ
去る6月26日、株式会社明日香 東京営業所の研修ルームにて、ベビーシッターのスキルアップ研修を行いました。
今回、登壇をお願い致しましたのは『3秒で泣き止み、3分で寝る まぁるい抱っこ』の著者であり、育母塾代表理事の辻 直美先生です。
参加したベビーシッターさんは総勢30名。
少し緊張の面持ちで始まりました。
しかし、メディアなどでも「まぁるい抱っこ」について数多く取り上げられる辻先生は、初めのご挨拶から参加者を惹きつけるユーモアに溢れ、会場は一気にリラックスムードで始まりました。
まず、初めに辻先生からは抱っこの意義について、ご説明がありました。
「抱っこは人と人とをつなぐ、人と人とのあり方である」「赤ちゃんは一人の人である」「泣き止ませると泣き止むの違い」と言った、基本的なベビーとの向き合い方、あり方についての説明に、参加者たちの頷きはどんどん深くなります。
次に参加者たち同士のワークが始まります。お隣に座る方と互いにベビーにするように背中をさすったり、首を支えてみたりを行います。
手のひらの使い方、叩く速度、支え方など、初めてのお相手ということもあり、参加者はどこか遠慮がちで、筋肉もお互いに固まっています。
先生からのアドバイスや「相手が今何を考えているのかを考えてみて」という言葉を受け、それぞれが改善していきます。
すると、いつの間にか参加者同士の遠慮は溶け、お互いに接する手のひらの柔らかい使い方を学習していくのがわかります。
「赤ちゃんは肌で感じているのよ」「赤ちゃんは心の硬さをわかっているわ」という先生のお言葉をかみしめるように、相手を知ろうとする手の使い方を覚えていき、指先まで神経を張り巡らせていくのがわかるようでした。
その後、実際に人形を使ったり、バックを使ったりしながら「まぁるい抱っこ」をする姿勢を学びます。
また、当日は明日香社員のベビー(10ヶ月)が実際に参加しており、実際のベビーをまぁるい抱っこをするデモンストレーションが、先生から披露されました。
初めから抱っこをするのかと思っていた参加者も多くいましたが、抱っこをする前に、初めて会ったベビーとどのように距離を詰めていくのか、ベビーはどんなことを考えているのか、ベビーのタイプをどのように見極めていくのかなど、信頼関係の作り方がまず披露されます。
その後、ベビーからの信頼を受けた先生が、まぁるい抱っこをすると、あっという間に笑顔になるベビー。
参加者からは「おぉー」といったどよめきが起こります。
気がつけば1時間半の研修はあっという間に終了時間を迎え、最後に先生から次のようなお言葉で研修は終了しました。
「抱っこは心を受け止めればできる」「抱くという字は手偏に包むと書きます。つまり、手で包んであげること」
研修後には、サイン会も行われ、優しい言葉を受けたシッターたちのなかには涙を流す方もいらっしゃるなど、普段の業務の中で感じている不安や、ベビーとの向き合い方を改めて見つめ直すことになったようです。
研修に参加者した方からは、終了後のアンケートで次のような感想もいただきました。
「ベビーの気持ちになる体験で、抱っこされている側の不安定さを知り、ベビーの心地のよいポジションで抱っこすることが大切と理解しました。すぐに実践していきます。」
「辻先生に手を添えていただき、包みこんでいるイメージが体験できました。
たくさんのベビーちゃんと触れ合っていきたいです。」
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昼食を挟んだのち、午後は渋谷区の保健師である田村様にお越しいただきました。
お話いただいたテーマは「児童虐待」について、渋谷区の取り組みやベビーシッターへどのような期待をしているのかなどです。
今、ご家庭ではどのようなことが起きているのか、家庭に潜む注意点などベビーシッターとしては当然のことでも、子育てが初めてのお母様方が無知識にやってしまって、引き起こす事故などを事例を交えてご紹介いただきました。
そして、本題の児童虐待について話は進みます。
驚くことに昨年度は、渋谷区内でも200件近い児童虐待の通報があったそうです。
先日、目黒区にてお子様が亡くなるという悲しいニュースがあり、ベビーシッターの多くがこのニュースに心を痛めたことと思います。しかし、実は全国の児童相談所が2016年度に児童虐待の相談・通報を受けて対応した件数は、前年度よりも増えて、12万件を超えたという現実も率直にお話しいただきました。
そして、その虐待発見においてベビーシッターの役割に期待していることなども述べられました。ベビーシッターが虐待の疑いを察知した時、どのように対応すれば良いか、直接110番へ通報する方法、児童相談所の全国共通ダイヤル(189:いちはやく)の方法を教わり、ベビーの安全のためにシッターがセイフティーネットとしてどのように役割を果たすべきか、改めて仕事の意義を感じとるシッターの顔は真剣そのものです。
その他、渋谷区子ども家庭支援センターの支援内容をごお話しいただき、ベビーシッターの渋谷区での活動の幅が広がることなどもご紹介いただきました。
ご家庭からも区への支援は大きな期待を寄せられていますので、シッターの皆さんへ今後もご協力を依頼するものでした。
虐待の話はついつい暗い話で避けたくなるお話しでもあります。
しかし、田村様の率直なお話しに、ベビーシッターとして救える命や救える子どもたちの笑顔を思い、シッター一人ひとりがこの仕事への責任を感じるとともに、子どもたちの真に最後の砦となるかもしれない自覚を持つことができました。
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明日香では、ベビーシッターとして勤務する方へ定期的なスキルアップ研修を行っています。通常、一人でお客様の元へ行き、保育することの多いシッター業務は、孤独や自己流での保育に悩むこともあります。
ベビーシッターとして働く方が自信を持って保育に向き合えるよう、明日香は今後も永続的、積極的に支援してまいります。