60代でも保育士として働くことは可能?60歳以上からの復職や資格取得のすすめ
2020/12/11
保育園で働く60代の保育士が増えているのをご存知ですか?
待機児童問題などで次々に新設される保育園、保育士確保に悩む保育園で注目されているのが60代保育士です。
ずっと保育士を続けてきたキャリア保育士だけではなく、出産や子育てなど様々な理由で一旦保育の仕事からは外れてしまったけれど、もう一度保育士として働きたいと復職する保育士が増えてきているのです。
なぜ60代で保育士として復帰する保育士が増えているのでしょうか。
本記事では60代の保育士の実情についてご紹介いたします。
【記事監修】ずっと保育士編集部
「ずっと保育士」は、保育ひとすじ30年の株式会社明日香が運営する保育専門のキャリアサポートサービスです。結婚や出産、育児など、目まぐるしく変わるライフステージの中で、その時その時にぴったり合うお仕事を紹介したい。そして、保育の仕事でずっと輝き続けるあなたを応援したい、という想いで保育士の就職、転職、復職などのキャリア支援を行っています。また、「ずっと保育士」では保育士さんの疑問や悩みなどを少しでも解決すべくコラムを通した情報発信も積極的に行っています。
60代で保育士として働き始める人が増えている!?
以前は60歳で定年し、その後引退することも多かった社会ですが、年金受給年齢の引き上げと共に、再雇用などの制度を取り入れながら、生涯現役での働き方を求める人が増えてきました。
中でも、厚生労働省が発表した『60歳以上の保育士に係る求人・求職状況』によると、60歳以上で保育士に再就職を希望する人や、資格を持っていないが、子どもたちと関わる仕事を希望する人が増加傾向にあるということがわかりました。
細かく見てみると、保育園で働くことを希望する保育士の数は2,978人、無資格だが保育園で働きたいと希望している人も含めると3,494人にも登ります。
保育士不足に悩む保育園側は、この動きを歓迎し、60歳以上でも働ける環境の整備を整え始めています。
なぜ60代で保育士として働くのか?その理由とは?
なぜ60代から保育士として働くことを希望する人が増えているのでしょうか。
60代は、子育てが終盤を迎えたり、子どもが自立したりすることで、時間の余裕が出てくる時期でもあります。
また、金銭的にも退職金が入ったり、子どもの自立によって自分たちに使えるお金が増えたりする時期です。
仕事を金銭的な理由や家計補助、教育費のために働くことより、自分のやりがいや好きなこと、社会に貢献して働きたいという気持ちが高くなる時期が50〜60代なのです。
その中で、改めて60代になり、自分が何をやりたいのか、どういった社会貢献をしたいのかを考えた時に、保育士という選択肢が出てくるのかもしれません。
そもそも60代の保育士に求人はあるの?
一般的な職業であれば、60代の求人はとても少ないのですが、保育士業界は別です。
待機児童問題や保育士不足が深刻で、保育士の確保に躍起になっている園も少なくありません。
そのため、年齢不問で求人を行うことも多く、実際に年齢制限をかけた求人に比べて充足率に大きな成果を上げています。
この背景には、60代など高齢の保育士の確保がされたためと言ってもよいでしょう。
図1:年齢不問の保育士求人の充足率と年齢制限が設けられた保育士求人の充足率
参考元:厚生労働省「60歳以上の保育士に係る求人・求職状況」
また現在、国が高齢者の再雇用を促進しているため、その支援や補助金等が雇用の追い風になっています。
未経験、無資格でも働ける?
未経験、無資格の場合、正職員としての就業はかなり厳しいと言えます。
60代で保育士になる場合、30代の働き盛りにある保育士に比べ、体力的には厳しいことは否定できません。
経験のある保育士であれば、うまく子どもと折り合いをつけられますが、未経験、無資格となると、保育園側も正職員としての採用に不安が残ることは仕方ないと言えるでしょう。
しかし、パートやアルバイトなどの保育補助を中心とした仕事であれば、未経験、無資格でも働ける求人はあります。
パートやアルバイトの採用であれば、時間を自由に選べたり、自身の希望や体力を考えたり、残業がない働き方ができるようになっているため、60代以上の方は向いているかもしれません。
60代で新たに保育士資格を取得することは可能?
保育士資格の取得に年齢制限はありません。
ただし、最終学歴やこれまでの児童福祉施設での経験などで、受験資格が決まることもあるため注意は必要です。
ご自身に受験資格があるかどうかは「一般社団法人 全国保育士養成協議会」のホームページにて確認が必要です。
60代から新たに保育士として働くにあたり、保育士資格の取得を目指す方も増えています。
保育士資格は、厚生労働省の指定する指定保育士養成施設(大学・短大・専門学校)の養成課程を経て卒業するか、独自に資格試験を受験して合格する方法があります。
勉強方法としては、本や通信講座、予備校などがありますが、最近ではシニア専門に資格取得の支援をする会社もありますので、資格取得までの近道になるでしょう。
60代から同じように保育士を目指す仲間とともに学び、励まし合えることは、資格取得の大きな糧になるはずです。
60代の保育士が考えるべきは働き方
60代で保育士になると、一番の問題は体力です。
20代〜30代の働き盛りの若い職員と一緒に働くと、子どもたちと同じように走り回ることに体力的な差を感じることもあるでしょう。
また、保育士の職業病といえば「腰痛」。
子どもたちの抱っこやおんぶ、中腰姿勢で行う作業や立ち座りで、体への負担は積み重なるもの。
ただ、せっかく働くのであれば、全力で子どもたちと遊びたいという希望もあるでしょう。
そういった場合は、時間を短縮して働くなど、自分の体に負担にならないように、働き方についても考えていかなければなりません。
60代から保育士として復職、就職する場合には、身体的な負担やライフスタイルに合わせた働き方を考えておくべきです。
60代の保育士の求人の傾向と探し方
60代の保育士の求人は、決して多いわけではありません。
保育士としての経験が過去にあり、復職という形であれば、まだ採用の余地があるかもしれませんが、無資格や過去の経験が全く無い場合には、求人を見つける事がさらに難しくなります。
求人を見つけるときには、「年齢不問」の求人の中から、ご自身のライフスタイルや状況に合わせた仕事を見つけることになりますが、昨今は求人票に年齢制限を行うことを禁じる傾向にあるため、年齢不問の求人であっても60代が歓迎されているかどうかは見極めが必要です。
ただ、年齢不問の求人の中でも、60代も歓迎している求人を見つける方法が幾つかあります。
その目安の一つは、求人票が出されている場所です。
インターネットでの求職活動が一般的になっている昨今では、シニアの転職を主に支援するサイトも出てきています。
そう言ったサイトは、基本的にシニア募集を前提としているため、年齢不問の求人の中でもシニア層を採用したい求人と考えるのが自然です。
一方、シニア層はまだまだインターネットに疎い傾向にあります。
シニア層を集めたい保育園であれば、シニアの求職者がより身近に読んでいる新聞などに求人広告を出していることが多いでしょう。
また、求人本文内に「産休・育休取得可能!」「20代が活躍中!」などの文字が散見される場合は、採用したいのは残念ながらシニア層ではなく、若手の保育士だと考えられます。
ただし、どうしても応募したい保育園があった場合は、応募を躊躇する必要はありません。
保育園側もシニア層を想定していなかっただけで、これまでの人生経験や人柄、保育経験、働く時間帯などを踏まえて採用になる可能性は十分あります。
たとえ、20〜30代の保育士に体力的に負けたとしても、シニア層の強みは過去の経験と働く時間の柔軟性です。
子育てがひと段落して時間に余裕があることや、人生経験を含めて子どもに接してきた強み、過去に保育士としての経験があれば、即戦力としての強みがシニア層にはあります。
小さな子どもがいて、常に不安定な働き方になってしまう若手の保育士に比べて、しっかりと働くことができることは、保育園側にとっても採用のメリットがあります。
ご自身の強みをしっかりとアピールすることで、採用につながる可能性が高まります。
保育士として60代からの新たなセカンドライフを!
日本人の平均寿命は延び、健康に生活できる期間を表す健康寿命は、女性で75.38歳とされています(内閣府「令和4年版高齢社会白書(全体版)」)。
社会制度としての定年は、60歳を区切りに考えられることも多いですが、まだまだ元気に働くことができ、やりがいを持って生き生きと働いている60代も増えています。
社会全体が働くシニア世代を受け入れ、積極的に支援する傾向にもある昨今。
60代から保育士に復職したり、保育補助として働き始めたりすることは、決して遅いことではありません。
カテゴリ
保育士キャリア
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保育園で働く60代の保育士が増えているのをご存知ですか?
待機児童問題などで次々に新設される保育園、保育士確保に悩む保育園で注目されているのが60代保育士です。
ずっと保育士を続けてきたキャリア保育士だけではなく、出産や子育てなど様々な理由で一旦保育の仕事からは外れてしまったけれど、もう一度保育士として働きたいと復職する保育士が増えてきているのです。
なぜ60代で保育士として復帰する保育士が増えているのでしょうか。
本記事では60代の保育士の実情についてご紹介いたします。
【記事監修】ずっと保育士編集部
「ずっと保育士」は、保育ひとすじ30年の株式会社明日香が運営する保育専門のキャリアサポートサービスです。結婚や出産、育児など、目まぐるしく変わるライフステージの中で、その時その時にぴったり合うお仕事を紹介したい。そして、保育の仕事でずっと輝き続けるあなたを応援したい、という想いで保育士の就職、転職、復職などのキャリア支援を行っています。また、「ずっと保育士」では保育士さんの疑問や悩みなどを少しでも解決すべくコラムを通した情報発信も積極的に行っています。
60代で保育士として働き始める人が増えている!?
以前は60歳で定年し、その後引退することも多かった社会ですが、年金受給年齢の引き上げと共に、再雇用などの制度を取り入れながら、生涯現役での働き方を求める人が増えてきました。
中でも、厚生労働省が発表した『60歳以上の保育士に係る求人・求職状況』によると、60歳以上で保育士に再就職を希望する人や、資格を持っていないが、子どもたちと関わる仕事を希望する人が増加傾向にあるということがわかりました。
細かく見てみると、保育園で働くことを希望する保育士の数は2,978人、無資格だが保育園で働きたいと希望している人も含めると3,494人にも登ります。
保育士不足に悩む保育園側は、この動きを歓迎し、60歳以上でも働ける環境の整備を整え始めています。
なぜ60代で保育士として働くのか?その理由とは?
なぜ60代から保育士として働くことを希望する人が増えているのでしょうか。
60代は、子育てが終盤を迎えたり、子どもが自立したりすることで、時間の余裕が出てくる時期でもあります。
また、金銭的にも退職金が入ったり、子どもの自立によって自分たちに使えるお金が増えたりする時期です。
仕事を金銭的な理由や家計補助、教育費のために働くことより、自分のやりがいや好きなこと、社会に貢献して働きたいという気持ちが高くなる時期が50〜60代なのです。
その中で、改めて60代になり、自分が何をやりたいのか、どういった社会貢献をしたいのかを考えた時に、保育士という選択肢が出てくるのかもしれません。
そもそも60代の保育士に求人はあるの?
一般的な職業であれば、60代の求人はとても少ないのですが、保育士業界は別です。
待機児童問題や保育士不足が深刻で、保育士の確保に躍起になっている園も少なくありません。
そのため、年齢不問で求人を行うことも多く、実際に年齢制限をかけた求人に比べて充足率に大きな成果を上げています。
この背景には、60代など高齢の保育士の確保がされたためと言ってもよいでしょう。
図1:年齢不問の保育士求人の充足率と年齢制限が設けられた保育士求人の充足率
参考元:厚生労働省「60歳以上の保育士に係る求人・求職状況」
また現在、国が高齢者の再雇用を促進しているため、その支援や補助金等が雇用の追い風になっています。
未経験、無資格でも働ける?
未経験、無資格の場合、正職員としての就業はかなり厳しいと言えます。
60代で保育士になる場合、30代の働き盛りにある保育士に比べ、体力的には厳しいことは否定できません。
経験のある保育士であれば、うまく子どもと折り合いをつけられますが、未経験、無資格となると、保育園側も正職員としての採用に不安が残ることは仕方ないと言えるでしょう。
しかし、パートやアルバイトなどの保育補助を中心とした仕事であれば、未経験、無資格でも働ける求人はあります。
パートやアルバイトの採用であれば、時間を自由に選べたり、自身の希望や体力を考えたり、残業がない働き方ができるようになっているため、60代以上の方は向いているかもしれません。
60代で新たに保育士資格を取得することは可能?
保育士資格の取得に年齢制限はありません。
ただし、最終学歴やこれまでの児童福祉施設での経験などで、受験資格が決まることもあるため注意は必要です。
ご自身に受験資格があるかどうかは「一般社団法人 全国保育士養成協議会」のホームページにて確認が必要です。
60代から新たに保育士として働くにあたり、保育士資格の取得を目指す方も増えています。
保育士資格は、厚生労働省の指定する指定保育士養成施設(大学・短大・専門学校)の養成課程を経て卒業するか、独自に資格試験を受験して合格する方法があります。
勉強方法としては、本や通信講座、予備校などがありますが、最近ではシニア専門に資格取得の支援をする会社もありますので、資格取得までの近道になるでしょう。
60代から同じように保育士を目指す仲間とともに学び、励まし合えることは、資格取得の大きな糧になるはずです。
60代の保育士が考えるべきは働き方
60代で保育士になると、一番の問題は体力です。
20代〜30代の働き盛りの若い職員と一緒に働くと、子どもたちと同じように走り回ることに体力的な差を感じることもあるでしょう。
また、保育士の職業病といえば「腰痛」。
子どもたちの抱っこやおんぶ、中腰姿勢で行う作業や立ち座りで、体への負担は積み重なるもの。
ただ、せっかく働くのであれば、全力で子どもたちと遊びたいという希望もあるでしょう。
そういった場合は、時間を短縮して働くなど、自分の体に負担にならないように、働き方についても考えていかなければなりません。
60代から保育士として復職、就職する場合には、身体的な負担やライフスタイルに合わせた働き方を考えておくべきです。
60代の保育士の求人の傾向と探し方
60代の保育士の求人は、決して多いわけではありません。
保育士としての経験が過去にあり、復職という形であれば、まだ採用の余地があるかもしれませんが、無資格や過去の経験が全く無い場合には、求人を見つける事がさらに難しくなります。
求人を見つけるときには、「年齢不問」の求人の中から、ご自身のライフスタイルや状況に合わせた仕事を見つけることになりますが、昨今は求人票に年齢制限を行うことを禁じる傾向にあるため、年齢不問の求人であっても60代が歓迎されているかどうかは見極めが必要です。
ただ、年齢不問の求人の中でも、60代も歓迎している求人を見つける方法が幾つかあります。
その目安の一つは、求人票が出されている場所です。
インターネットでの求職活動が一般的になっている昨今では、シニアの転職を主に支援するサイトも出てきています。
そう言ったサイトは、基本的にシニア募集を前提としているため、年齢不問の求人の中でもシニア層を採用したい求人と考えるのが自然です。
一方、シニア層はまだまだインターネットに疎い傾向にあります。
シニア層を集めたい保育園であれば、シニアの求職者がより身近に読んでいる新聞などに求人広告を出していることが多いでしょう。
また、求人本文内に「産休・育休取得可能!」「20代が活躍中!」などの文字が散見される場合は、採用したいのは残念ながらシニア層ではなく、若手の保育士だと考えられます。
ただし、どうしても応募したい保育園があった場合は、応募を躊躇する必要はありません。
保育園側もシニア層を想定していなかっただけで、これまでの人生経験や人柄、保育経験、働く時間帯などを踏まえて採用になる可能性は十分あります。
たとえ、20〜30代の保育士に体力的に負けたとしても、シニア層の強みは過去の経験と働く時間の柔軟性です。
子育てがひと段落して時間に余裕があることや、人生経験を含めて子どもに接してきた強み、過去に保育士としての経験があれば、即戦力としての強みがシニア層にはあります。
小さな子どもがいて、常に不安定な働き方になってしまう若手の保育士に比べて、しっかりと働くことができることは、保育園側にとっても採用のメリットがあります。
ご自身の強みをしっかりとアピールすることで、採用につながる可能性が高まります。
保育士として60代からの新たなセカンドライフを!
日本人の平均寿命は延び、健康に生活できる期間を表す健康寿命は、女性で75.38歳とされています(内閣府「令和4年版高齢社会白書(全体版)」)。
社会制度としての定年は、60歳を区切りに考えられることも多いですが、まだまだ元気に働くことができ、やりがいを持って生き生きと働いている60代も増えています。
社会全体が働くシニア世代を受け入れ、積極的に支援する傾向にもある昨今。
60代から保育士に復職したり、保育補助として働き始めたりすることは、決して遅いことではありません。