保育のコラム

保育士から一般企業に転職できる?メリット・デメリットはどんなところ?

2024/07/12

毎日子どもたちの笑顔に囲まれ、成長を見ることができる保育士。

でも、ふと「このまま保育士を続けていいのかな?」と思うことはありませんか?

 

実は、保育士として同じ悩みを抱えている人は少なくありません。

そんな中で、一般企業への転職を考える人も増えています。

 

「でも、保育士以外の仕事なんてできるのかな……」

 

そんな不安も当然ありますよね。

保育士としての経験しかない場合、未知の業界や業種に飛びこむことは勇気のいることです。

 

そこで今回は、保育士から一般企業への転職をテーマに、メリットやデメリットについて詳しく解説していきます。保育士から一般企業への転職を考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

保育士でも一般企業に転職できる?

まず、保育士でも一般企業に転職できるものなのでしょうか?

結論から言うと、保育士から一般企業に転職できるチャンスは十分あると言っていいでしょう。

 

今まで保育士で培ってきた能力や経験を活かすことができる仕事はたくさんあります。

ただし、保育士とまったく関連のない仕事を選ぶ場合は、転職へのハードルが高くなるかもしれません。

 

保育士が一般企業に転職したい理由

冒頭でもお伝えしたように、保育士から一般企業への転職を考える人が増えています。

では、保育士が一般企業に転職したい理由は何なのでしょうか。

 

実は、この理由には深い背景があるのです。

それでは、以下から詳しく見ていきましょう。

 

理由1:給料アップさせたいから

1つ目の理由は、給料アップさせたいからです。

 

令和4年における民間の給与所得者1人あたりの平均給与は「458万円」となっています。

(国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」)

 

これに対して、保育士の平均給与額は「382万円」でした。

(厚生労働省「令和4年 賃金構造基本統計調査」)

 

※保育士の平均給与額は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より「(きまって支給する現金給与額×12ヶ月)+年間賞与その他特別給与額」で計算。

 

保育士の平均給与額は、日本の平均給与額より76万円も低いことになります。

このことから、保育士が一般企業へ転職することで、収入アップを期待していると言えます。

 

理由2:異業種に興味があるから

2つ目の理由は、異業種に興味があるからです。

 

「自分の可能性を広げたい」 

「新しいスキルを身につけたい」

 

などの思いがある人には、異業種への転職は魅力的に映ります。

 

特にSNSをはじめとするネット社会では、情報が溢れ、保育士以外の業種に興味を持つことは無理のないことなのかもしれません。

 

そして、保育士の仕事にやりがいを持ちながらも、同じ環境で長年働くとマンネリを感じることもあるでしょう。そんな時は、異業種への転職は新鮮な刺激になります。

 

理由3:保育士は責任感が強すぎるから

3つ目の理由は、保育士の仕事は責任感が強すぎるからです。

 

保育士は、子どもの命を預かる大切な仕事。

場合によっては、保護者からのクレームに対応しなければならないこともあります。

 

それゆえに、大きなプレッシャーを感じてしまう保育士の方も少なくありません。

一方、一般企業では責任はチームで分担することが多く、個人の負担が軽くなることもあります。

 

強すぎる責任から解放されることで、より長く働き続けられる環境へ移りたいと思うことは自然であるとも言えるでしょう。

 

理由4:土日に休める仕事に就きたいから

4つ目の理由は、土日に休める仕事に就きたいからです。

 

保育園は、月曜日から土曜日まで開園していることが一般的です。

しかし最近では、働き方の多様化で、日曜日や祝日も保育を実施している園も出てきました。

 

そのため、家族と休日の日程が合わず、自分だけ家族や子どもの行事などに参加できないケースが少なくありません。いくら仕事とはいえ、家族と一緒に過ごせる時間がないというのは辛いことではないでしょうか。

 

保育士が一般企業に転職するメリット・デメリット

ここからは、保育士から一般企業に転職するメリット・デメリットについて解説していきます。

メリットとデメリットをしっかり把握することで、一般企業に転職する際の大きな判断材料になるでしょう。

 

保育士が一般企業に転職するメリット

保育士が一般企業に転職するメリットはいくつかあります。

 

まず、給与水準の向上です。

先ほども触れましたが、保育士の平均年収は、日本の平均より低い傾向にあります。

 

そのため、一般企業に転職することで、給与差を埋められる可能性が高くなるでしょう。

特に、子ども関連の企業なら保育士の経験を評価してもらえるうえ、今まで以上の給与をもらえることもあります。

 

次に、ワークライフバランスの改善です。

先述のとおり、保育園は土曜日だけでなく、最近は日曜日や祝日も開いていることが多くなりました。

 

しかし、基本的に一般企業は、シフト制を除いて土日祝日が休みの場合が多いと言えます。

プライベートの時間が増えることで、自分自身や家族との時間が一気に増えるでしょう。

 

持ち帰り仕事やサービス残業を減らせることもメリットのひとつです。

保育士の平均的な残業時間は、1ヶ月に約3時間とされています。

(厚生労働省「令和4年 賃金構造基本統計調査」)

 

ただし、このデータは残業代が支払われている時間をもとに算出された平均値なので、残業代が発生していない持ち帰り仕事や、サービス残業は含まれていません。そのため、多くの人が平均値よりも長時間仕事をしている可能性があります。

 

一般企業の多くは、タイムカードや勤怠管理システムを導入し、厳格に就業時間を管理しているので、持ち帰り仕事やサービス残業はほとんどありません。転職する職場をしっかり吟味することで、残業するような場合は働いた分の手当をもらうことができます。

 

最後は、精神的・肉体的負担の軽減です。

保育士の仕事は、保護者対応などの精神的負担にくわえて、抱っこや、おんぶなどをする肉体的負担もあります。そのため、一般企業へ転職をすることで、心身の負担を軽減できるかもしれません。

 

たとえば、「体力的にしんどい……」と思うのであれば、デスクワーク中心の事務職に。

逆に「気疲れして……」というのであれば、体を動かす職場が向いていると言えるでしょう。

 

保育士が一般企業に転職するデメリット

保育士から一般企業に転職するメリットがある反面、デメリットも存在します。

 

まずは、保育士特有のやりがいを得られなくなることです。

保育士の仕事をしていると、子どもたちの成長を肌で感じることができます。

 

子どもたちと日々過ごす中で、一人ひとりの成長を垣間見たときなど、保育士としての喜びを実感したこともあったのではないでしょうか。

 

保育士は、子供の命を預かる仕事なので、責任やプレッシャーはありますが、その分やりがいや感謝も多いもの。どんな業種でもやりがいはありますが、一般企業へ転職した場合は、保育士だからこそ得られたやりがいを感じられなくなってしまうこともあります。

 

次は、年齢が高くなると採用されにくくなることです。

年齢が高くなると、どのような業種でも採用されにくくなることは否めません。

特に異業種への転職は、希望条件が叶わないことも覚悟しておきましょう。

 

そして、スキルや業界のルールを一から覚える必要があることもデメリットのひとつ。

各業界には、スキルだけでなく、特有のルールや考え方が存在しているため、保育士時代の常識が通用しない場面も出てくるでしょう。

 

くわえて、何もない状態から新たな人間関係も築いていく必要もあります。

どんな企業に転職するにせよ、保育士の仕事を辞めて、新しい仕事に飛びこむことは決して楽ではありません。

 

【やりたいこと別】保育士が向いている仕事

ここからは、保育士から一般企業に転職する際に、保育士が向いている仕事について解説していきます。

 

あなた自身が「やりたい!」と思えることがあれば、ぜひ参考にしてみてください。

「まだ何をしたいかわからない」という人も、自分の好きや得意を思い出しながらチェックしてみましょう。

 

人と関わる仕事がしたい

人と関わる仕事は、保育士の強みが最も活きる分野と言えるでしょう。

保育士の仕事は、本質的にコミュニケーションが大切だからです。

 

たとえば、以下のような仕事がおすすめです。

 

・営業職

・カウンセラー

・接客業

 

営業職では、保育士時代に培った保護者対応のスキルや、臨機応変さが大いに役立ちます。

相手の気持ちを理解し、適切な提案をすることができるでしょう。

 

カウンセラーは、子どもの心理を理解する能力が活きる仕事です。

特に、子育て相談や学校カウンセラーなどは、保育士の経験が直接活かせる分野です。

 

接客業も、子どもや保護者対応で培った、笑顔や丁寧な対応が大きな武器になるでしょう。

ホテルのフロントやアパレルショップなど、幅広い選択肢があります。

 

デスクワーク中心の仕事がしたい

デスクワーク中心の仕事も保育士の能力を活かせる分野です。

保育士の仕事には意外とデスクワークが多いからです。

 

たとえば、以下のような仕事がおすすめです。

 

・事務職

・編集、ライター

・人事、総務

 

事務職では、保育園での書類作成や管理の経験が役立ちます。

特に、細かい気配りや正確性は保育士ならでは。

 

教育関連の会社で働けば、保育の知識を活かしながら事務作業ができるでしょう。

編集やライターの仕事は、連絡帳や園だよりを書いていた経験が活きる仕事です。

子ども向けの本や教材の編集なら、保育の知識が大いに役立つでしょう。

 

人事や総務の仕事は、新人教育や社員のケアなど、人を育てる仕事が中心なので、保育士の経験が直接活きてきます。

 

デスクワーク中心の仕事は、体力的な負担が少なく、長く続けられる仕事が多いのが特徴です。

保育士の経験を活かしつつ、新しいスキルも身につけられる魅力的な選択肢と言えるでしょう。

 

身体を動かす仕事がしたい

身体を動かす仕事も、保育士の特性を活かせます。

保育士の仕事は、かなり身体を動かすことに共感する人もいるのではないでしょうか。

 

たとえば、以下のような仕事がおすすめです。

 

・フィットネスのインストラクター

・介護職

 

フィットネスのインストラクターは、園での体操や運動会の経験が活きます。

特に、子ども向けの体操教室では、保育士の経験が非常に役立つでしょう。

 

介護職は、人の世話をするという点で保育士と共通点が多い仕事です。

体を動かしながら、人の役に立てるというやりがいがあります。

 

保育士経験しかなくても強みはある!一般企業へのアピールポイント

保育士さんの中には、

 

「保育士経験しかないけど、一般企業で雇ってもらえるの?」

「保育士は転職に不利なのでは?」

 

といったような疑問や不安を持つ人もいると思います。

 

しかし、保育士の経験しかなくても強みはたくさんあります。

ここでは、保育士から一般企業への転職を考えるうえでのアピールポイントについて詳しく解説をしていきます。

 

その1:コミュニケーション能力

1つ目のアピールポイントは、コミュニケーション能力です。

 

コミュニケーション能力は、保育士の最大の武器と言っても過言ではありません。

保育士は、子どもたちや保護者だけでなく、職場の同僚とのやり取りが日常茶飯事だからです。

 

例えば、子どもの気持ちを理解する力、保護者への適切な対応、保育園内でのチーム連携など、全て高度なコミュニケーション能力が必要です。

 

特に、言葉をうまく使えない子どもの気持ちを理解する能力は、どんな仕事でも役立ちます。

営業職なら、お客様のニーズを察知できるでしょうし、保護者対応で培った外交力、クレーム対応の経験は、どんな業界でも重宝されるでしょう。

 

その2:企画力・推進力

2つ目のアピールポイントは、企画力・推進力です。

 

保育園には、行事やイベントを企画・実行する機会が多く、季節行事の企画や保育プログラムの立案、保護者会の運営など、全て企画力と推進力が必要な仕事です。

 

子どもが楽しめるような企画を考える能力は、マーケティングの発想にも通じます。

たとえば、商品企画の仕事なら、お客様が喜ぶアイデアを生み出せるでしょうし、限られた予算や時間の中で、行事を成功させる経験は管理能力の証。

 

そのため、企画力と推進力は、ビジネスの現場で常に求められ、保育士の仕事は実践で磨いてきたスキルとも言えます。

 

その3:問題解決能力

3つ目のアピールポイントは、問題解決能力です。

 

保育の現場では、子どものケンカや予期せぬアクシデントへの対応、保護者の要望への対処など、日々様々な問題が起こります。これらは全て高度な問題解決能力が必要なシーンです。

 

子ども同士のトラブル解決は、ビジネスでの交渉術にもつながり、クライアントとの意見の相違をスムーズに解決できるでしょう。日々の小さな問題を素早く解決する能力は、業務の効率化にも貢献します。

 

その4:マルチタスクをこなす能力

4つ目のアピールポイントは、マルチタスクをこなす能力です。

保育の現場では、常に複数の作業を同時進行で行います。

 

たとえば、子どもの見守りをしながら次の活動の準備、給食の配膳と子どもの食事の介助など、マルチタスク能力がなければ実行できません。複数の子どもを同時に見守りながら活動を進める能力は、ビジネスでのタスク管理に通じるでしょう。

 

事務職なら複数のプロジェクトを同時進行できます。

緊急度と重要度を瞬時に判断し、優先順位をつける能力は、どんな仕事でも求められ、効率的な業務遂行には欠かせないスキルと言えるでしょう。

 

マルチタスクをこなす能力は、現代のビジネス環境で非常に重要視されていますので、一般企業へ転職してもきっと役立ちます。

 

その5:臨機応変に対応する力

5つ目のアピールポイントは、臨機応変に対応する力です。

 

保育園では、予期せぬトラブルは日常茶飯事。

たとえば、天候の変化による活動の変更、子どもの体調急変、予定外の来客など、全てが臨機応変な対応力が必要な場面です。

 

子どもの突然の行動変化に対応する能力は、ビジネスでの危機管理能力につながるでしょう。

商談中の予期せぬ質問にも柔軟に対応でき、日々変化する状況に合わせて計画を修正する能力は、プロジェクト管理でも重要視されます。

 

変化の激しい現代ビジネスシーンで、臨機応変に対応する力は非常に価値があります。

 

保育士が一般企業への転職を成功させるためのポイント

最後に、保育士が一般企業への転職を成功させるための2つポイントを紹介します。

ポイントをしっかり把握することで、一般企業への転職の可能性を大きく引き上げることができるでしょう。

 

ポイント1:ポジティブな転職理由を考える

ポイントの1つ目は、ポジティブな転職理由を考えることです。

なぜなら、あなたの意欲や前向きさが面接担当者に伝わるからです。

 

たとえば、以下のような理由なら採用側も好印象を持ってくれるでしょう。

 

「新しい分野にチャレンジしたい」

「より広い視野で仕事に関わりたい」

「保育士のスキルを別の形で活かしたい」

 

逆に、「保育園が大変だから」「給料が安いから」といったネガティブな理由は絶対に避けてください。ネガティブな理由だと、「この人はすぐ辞めてしまうのでは」と思われかねません。

 

ポジティブな転職理由は、あなたの熱意を伝える大切な機会です。

自分の言葉で、心から思うことを素直に伝えましょう。

 

ポイント2:未経験OKの求人を選ぶ

ポイントの2つ目は、未経験OKの求人を選ぶことです。

未経験OKの求人を選べば、一般企業の経験がなくても採用のチャンスはあります。

 

その中でも、子ども関連企業の一般職や営業職、人事・総務の補助職といった求人なら、保育士の経験を活かしやすいでしょう。特に、子ども関連企業は、保育士の知識や経験を高く評価してくれます。玩具メーカーや教育関連企業では、即戦力として扱ってくれることも。

 

営業職も未経験者を歓迎する企業は多く、保育士のコミュニケーション能力は、営業の仕事に大いに役立ちます。

 

人事・総務の仕事も、保育士の経験が活き、新人教育や社員のケアなど、子どもの成長を見守ってきた経験が大きな武器になります。

 

ただし、未経験OKの求人を選ぶ際は、自分のスキルや興味とマッチしているかをよく確認しましょう。給与や待遇もしっかりチェックして、納得できる条件かどうかを確認することが大切です。

 

保育士としての経験は一般企業でも活かせる!

いかがだったでしょうか?

 

今回は、保育士から一般企業に転職することをテーマに解説してきました。

一般企業で求められるスキルの多くを、保育士はすでに持っていることがわかったのではないでしょうか。

 

保育士で培ってきたコミュニケーション能力をはじめ、問題解決能力、マルチタスク能力などは、どんな仕事でも欠かせない重要なスキルです。つまり、保育士としての日々の経験は、一般企業でも十分活かせると言えます。

 

あなたのスキルが活かせる一般企業はどこかを吟味して、新しいキャリアに挑戦してみてください!

 

 

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