保育のコラム

公立保育園の保育士をしています。公務員を辞めるのはもったくて、なかなか踏ん切りがつきません。

2023/01/23

保育士の中で一番給料が安定しており、待遇面で優遇されていて、保育士を目指す人にとっては一番人気の高い職業と言えるのが、公立保育園保育士、つまり公務員保育士ですね。

その人気は公務員保育士試験の採用倍率にも表れており、20倍を超える所もあるようです。

 

それだけに、辞めたいと思っても踏ん切りがつかない、周囲に反対されるなどでお悩みの方も多いかと思います。

「せっかく公務員になったのにもったいない。でも辞めたい。でもこの待遇を捨てていいのか?辞めて生活できるのか?」そんなふうに不安になりますよね。

 

本記事では、公立と私立の給与・待遇・環境等の違いを分析し、公務員保育士を辞めたいと悩む方が「自分が甘いのでは?」と後ろめたさを感じずに1歩すすめるような具体的な選択肢もお伝えします。

ずっと保育士編集部

【記事監修】ずっと保育士編集部

「ずっと保育士」は、保育ひとすじ28年の株式会社明日香が運営する保育専門のキャリアサポートサービスです。結婚や出産、育児など、目まぐるしく変わるライフステージの中で、その時その時にぴったり合うお仕事を紹介したい。そして、保育の仕事でずっと輝き続けるあなたを応援したい、という想いで保育士の就職、転職、復職などのキャリア支援を行っています。また、「ずっと保育士」では保育士さんの疑問や悩みなどを少しでも解決すべくコラムを通した情報発信も積極的に行っています。

公立保育園の保育士が辞めたいと思う主な理由は人間関係にある!

公務員保育士は、基本的に行政の管理、ということもあり、保育園保育士の配置基準がしっかり守られています。

 

また、労働環境もしっかりと管理されているため、サービス残業や持ち帰り仕事は基本的になく、事務処理や行事の準備等も勤務時間中にこなすよう工夫されています。

 

そのため、公立保育園の保育士が辞めたいと思う理由は、労働制度や環境よりも人間関係や人事異動よるストレスのケースが多いようです。

 

1、ベテラン保育士とそりが合わずうまく付き合っていくのが難しい

公立保育園は、公務員・行政管理ですから、待遇面では、法律にそって制度や環境が守られています。そのため、産休育休等の制度も充実しており、長く務めている先輩保育士が多いというのも特徴です。

 

ベテラン保育士がいることがすべて働きづらいということではありませんが、新しい考え方ややり方に挑戦したり発言したりできる環境ではなく、また理不尽に怒られたりなど、やりづらいと感じるケースが多いようです。

 

中には古い考え方を変えない、若手の意見を取り入れない保育士がいたり、感情的に後輩に接する保育士がいたり、世代間ギャップや仕事のやり方などの面でつらくなり、辞めたいと感じます。

 

2、園長が変わるたびに保育方針が大きく変わってついていくのがしんどい

公立保育園には、おおよそ3年に1回の異動がありますが、管理職も同じように異動があります。

園長が変わるたびに保育方針が大きく変わり、園の雰囲気が一新されることもしばしば。

そのため、毎回毎回春の異動後、慣れるまでが大変でしんどいと感じる職員もいます。

 

3、数年ごとに異動があり、新しい人間関係に馴染むまでがしんどい

保育士ももちろん若手・ベテラン関係なく異動があります。

せっかく良い人間関係を築けても異動すればまた新しい環境になり、また信頼関係を築くのに時間と労力がいるでしょう。

 

自分の異動だけでなく、入れ替わりが激しいとなると、なかなか良い関係を構築するのはハードルが高いと言わざるを得ません。

 

異動のたびに、新しい環境と人間関係に馴染むまでに一苦労するのがしんどいと感じ、異動の時期のたびに辞めたいと悩むのです。

 

4、保護者から公務員としての振る舞いを求められてつらい

公務員保育士が勤務する公立保育園は、各自治体が運営していることがほとんどです。

そのため、保護者からは行政機関としての役割を期待されています。

 

公務員といえば税金で雇われているお役所仕事の人というイメージを、良くも悪くも持っているわけです。

 

服装、立ち居振る舞い、言動等を厳しい目で見ている保護者もいます。

公務員保育士に限ったことではないのですが、公立であるがゆえにより多く期待されている、とも言えます。

 

また、公立保育園は、ありとあらゆる事情を抱えたご家族の見守りや保護機関(児童相談所・保健所など)との連携をし、地域の子育て支援の中心としての存在を担っています。

 

そういった立ち位置の中、保育士一人の発言や態度は、保護者の目には、一保育士ではなく行政としての対応と見られ、こういった事が大きなプレッシャーとなることがあります。

 

でも公立保育園を辞めるのはもったいないから……と、辞めることをためらってしまう主な理由

辞めたいと思った時、誰かに相談すれば、必ず「せっかく公務員になったのにもったいない」と言われるでしょう。

自身も、公務員試験に合格して晴れて採用になったこれまでの道のりを思い起こし、安定や待遇を考えたら、ためらってしまうのも無理はありません。

 

理由1:私立保育園の保育士と比べて給料が高いと思われているから

一般的に公務員の公立保育園保育士は、私立保育園の保育士と比べて給料が高いと言われており、辞めることをためらう大きな要因となります。

実際はどうなっているのか比較してみましょう。

 

まず、正職員の保育士の給与相場は下の表1のようになっています。 

 

表1:保育士の給料

 

公立

私立

 

年収

平均勤続年数

年収

平均勤続年数

保育士

約364万円

11.0年

約362万円

11.2年

主任保育士

約674万円

25.1年

約508万円

21.7年

園長(施設長)

約760万円

31.8年

約679万円

25.8年

保育補助者

約178万円

4.9年

約268万円

4.9年

参考:内閣府「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査

※年収:1人当たり給与月額(賞与込み)×12で計算

※すべて常勤 

 

表1を見てみると、保育士の給与額は公立と私立ともに差はほとんどありません。 

しかし、勤続年数が長くなるにつれて、公立保育園の保育士の方が年収は高くなっており、役職に就くころには、私立に比べて主任保育士で166万円、園長(施設長)で81万円高くなっています。

 

公立保育園で働く保育士は地方公務員に該当し、給与体系はほぼ年功序列で定期昇給があり、役職に応じた手当も支給されますが、それらも年功序列となります。

ただし、公立保育園の場合は、実力で昇給やキャリアアップを望めるわけではありません。

 

一方、私立保育園は保育士としての手腕やリーダーシップが問われるため、実力次第で年収アップを目指せる可能性が高いです。 

また、保育補助であれば、むしろ私立の方が年収は高く、私立保育園は公立に比べて90万円も高いことがわかります。

 

理由2:公立保育園は福利厚生が完備されているから

公立保育園の保育士は、地方公務員のため福利厚生が完備されています。

これも辞めることをためらう要因で、周囲に相談した時に「せっかく公務員になったのにもったいない」と言われることが大きく関係しています。

 

公務員保育士は、厚生年金や社会保険、健康保険、労災保険への加入はもちろん、産休や育休の取得は保証されていますし、給与面では地方公務員としての定期昇給制度、賞与の制度があります。 

一方、私立保育園の保育士は、園の経営状況や地域での相場などにより千差万別です。

 

「公立保育園だから安定している」というのはひと昔前の話!現在は私立保育園でも環境や処遇が安定している園は多くある!

以前の私立保育園は、社会保険制度未加入も多く、福利厚生制度もほとんどありませんでしたが、今は保育士の処遇改善がなされています。

社会保険制度の加入はもちろん、産休や育休の取得にも積極的に努力をしている園もあります。

 

育休復帰率100%を誇る園も出てきており、保育士不足解消のために福利厚生面の改善は一層期待できるでしょう。 

保育士不足が深刻な社会問題になっている影響もあり、国を主導に保育士の職場改善や処遇改善の取り組みを行っています。

 

そのため、社会全体で改善の動きが見られ、公立だから安定している、私立だから環境や処遇が公立より悪い、というのは一昔前の話。

現在は、公立・私立は関係なく安定している保育園は増えてきています。

 

公立保育士を辞めたいと感じた時の2つの選択肢

公立保育園の保育士を辞めたいと感じた時、まず考えるのが、今いる現場がつらいだけで保育士は辞めたくないのか、保育士自体をもうやめてキャリアチェンジをするのか、ということです。

保育士を続けたいけど、公務員保育士は難しいと感じているならば、選択肢は「2つ」あります。

 

その1:他の保育園や保育施設に転職する

公務員保育士を辞めたいけれど、保育の仕事は好き、保育士としてのやりがいを感じているのであれば、もしかしたら公務員という立場が合わなかっただけかもしれません。

 

その場合、私立保育園など他の保育施設に転職するという選択肢があります。 

私立保育園は、独自の保育指針に従って運営しているので特色もやり方も様々です。

 

運営主体によっては、古い常識にとらわれない保育や運営をしていて、新しいやり方をどんどん取り入れている園も多いのです。

そのため、自分のやりたい保育や新しいチャレンジも出来る、とてもやりがいがあり働きやすい環境に身を置くことも可能です。

 

その2:派遣保育士など、他の保育士をサポートする立場で仕事ができる働き方に変える

公務員保育士として正職員の仕事量の多さや、プレッシャーを強く感じている方、家庭の事情でなかなか正職員勤務が難しい方は、派遣保育士という働き方があります。 

派遣保育士は、担任となる正職員の保育士をサポートする立場になりますので、現在しんどい、つらいと考えているのであれば、働き方を変える選択肢のひとつとして考えてみましょう。

 

「安定している職場を辞めるのはもったいない」と我慢して働くのはしんどい!自分の体調面とメンタル面を第一に考えて、転職や働き方の変更を視野に入れよう!

環境・給与・待遇・働き方において、公立保育園の方が私立保育園より良い、守られている、と感じていた方も多いのではないのでしょうか。

しかし、実際には保育士待遇改善の波を受け、必ずしも公立保育園が私立保育園よりも良いというわけではないということです。

 

「公立は安泰だから……せっかく安定している職場を辞めるのはもったいない」

「公務員という安定した立場を捨ててよいのか……」

と、つらいのに我慢して働き、取り返しがつかない事態になる前に、自分の体調とメンタル面を第一優先に考えましょう。

 

保育士として、どのように働きたいのか、何を求めているのかを明確にし、公立は安泰などといった概念にとらわれず、私立保育園や他の保育施設への転職、派遣保育士へのチェンジなどを視野に入れ、自分にあった働き場所を見つけていくことが大切です。

 

 

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