保育のコラム

サービス残業が多く、体力的にも精神的にも限界で、保育士を辞めたいと思っているのですがどう行動すべき?

2023/02/27

サービス残業が多くて「毎日帰宅が遅い」「休日はぐったり」など、体力的にも精神的にも限界を感じて辞めたいと悩む保育士は多いようです。

 

本記事では、保育士のサービス残業や、持ち帰り業務の実態について詳しく解説します。

 

なぜ、サービス残業が発生するのか、サービス残業が原因で辞めたい時にどう行動すればよいか、気になる方はぜひご覧ください。

 

 

 

ずっと保育士編集部

【記事監修】ずっと保育士編集部

 

「ずっと保育士」は、保育ひとすじ30年の株式会社明日香が運営する保育専門のキャリアサポートサービスです。結婚や出産、育児など、目まぐるしく変わるライフステージの中で、その時その時にぴったり合うお仕事を紹介したい。そして、保育の仕事でずっと輝き続けるあなたを応援したい、という想いで保育士の就職、転職、復職などのキャリア支援を行っています。また、「ずっと保育士」では保育士さんの疑問や悩みなどを少しでも解決すべくコラムを通した情報発信も積極的に行っています。

 

保育士が辞めたいと感じる原因の1つになっているサービス残業の実態

 

保育士が退職する原因の一つに残業の多さがあります。

 

その中には、手当がつかないサービス残業が少なくありません。

 

東京都福祉保健局「令和4年 東京都保育士実態調査」によると、保育士の退職意向の理由として「労働時間が長い」が第3位にランクインしており、全体の35.4%を占めています。

 

実態1:そもそもサービス残業がない日は少ない

 

 

そもそも、保育士にとって残業のない日は、ほとんど無いといっても過言ではありません。

 

なぜ、そんなに忙しいのでしょうか。

 

実は、実際に保育をする時間以外に、やらなければいけない仕事がたくさんあるからです。

 

たとえば、以下のような事務作業があります。

 

・保育計画の作成

 

・園児の成長に合わせた保育指導計画の作成

 

・一人一人の成長の記録である児童表の作成

 

ほかにも、明日の保育準備、保育室の清掃、道具の片づけ・消毒、園行事の準備、室内装飾、会議など、数え上げたらきりがありません。

 

このような業務を時間内にこなすことは難しく、結果的にほぼ毎日残業となるのです。

 

経営主体や園によっても異なりますが、残業手当がつかずサービス残業となってしまう現状が多いのです。

 

 

 

実態2:定時退勤どころか休憩時間もろくに取れない

 

 

定時退勤がなかなか難しい中、休憩時間はどうでしょうか。

 

保育園にもよりますが、保育士の休憩時間に、以下のような業務をこなさなければならない場合があります。

 

・保護者への連絡帳記入などの事務作業

 

・行事準備

 

・会議

 

子どもたちの午睡中を休憩時間とする園が多いようですが、乳幼児突然死症候群(SIDS)や不慮の事故を未然に防ぐために、こまめなチェックが必須です。

 

また、交代で休憩できる人員配置が難しいことから、ほとんど休憩が取れないケースもあります。

 

お昼は、子ども達の食事指導やサポート、後片付けなどがあるため、ゆっくり食事をするどころではありません。

 

トイレ休憩もままならず、膀胱炎になる保育士もいます。

 

 

 

 

 

実態3:持ち帰り業務がかなり多い

 

 

残業をしないように指導する保育園もあります。

 

しかし、業務時間内に事務時間が取れずに仕事が残り、持ち帰るケースがあるのが実情です。

 

また、終わらないサービス残業をさせるような負担の多い園は、さらに仕事を持ち帰って、休日にやる場合も多いようです。

 

一般企業であれば、残業手当や休日出勤手当などに該当するため、保育士の持ち帰り業務の日常茶飯事化はよくない実態と言えます。

 

持ち帰り業務の内容によっては、セキュリティ上のリスクも加わります。

 

一方で、人員に余裕を持ち、交代で時間を確保しながら、時間内に業務を終わらせる取り組みをしている園もあります

 

 

 

統計上では保育士の残業時間は月平均3〜4時間!保育士が残業した時間のほとんどがサービス残業となっている

 

 

厚生労働省「令和5年 賃金構造基本統計調査」によると、保育士の残業時間の平均は、月3時間となっています。

 

これを聞いて、思っていたより少ないと感じたのではないでしょうか? 

 

しかし、これは残業として処理された時間分だけです。

 

つまり、サービス残業でカウントされていない残業時間は、上記のデータには含まれていません。

 

公的なデータはありませんが、あるメディアが実施したアンケート調査によると、1日あたりの残業時間が1~2時間という層が34.8%もいました。

 

少数ですが、中には4~5時間、または5時間以上の保育士もいるようです。

 

残業が全くないという保育士は、わずか5.9%でした。

 

 

 

 

 

保育士がサービス残業で辞めたいと感じる主な理由

では、実際に保育士がサービス残業で辞めたいと感じる主な理由は何なのでしょうか?

 

 

 

理由1:そもそも残業代が支払われないこと自体に疑問を感じるから

 

 

経営者が従業員に対して、仕事をした分だけ報酬を支払うのは当然です。

 

しかし、現状は、正当な賃金が支払われないケースが往々にしてあります。

 

・保育をしている時間が業務時間で、それ以外はサービス残業

 

・タイムカードを切ってから残業

 

このようなことから、そもそも残業代が支払われないことに疑問を感じて辞めたいと思うようです

 

 

 

理由2:休息時間が少ないため精神的にも体力的にもきついから

 

 

昼食もままならず、それ以外の休息時間もほとんど取れず、トイレすらなかなか行けないような状態では、いずれ身体を壊すでしょう。

 

そのような環境で我慢して働いていても、いずれ精神的にも体力的にもきつくなり、辞めたいと感じます

 

 

 

理由3:ワークライフバランスが崩れているから

 

 

自分の趣味や家族との時間、休息は、疲れを癒すのと同時に、仕事への活力にもつながります。

 

しかし、毎日残業、休日も持ち帰り仕事では、自分の時間はほぼ取れません。

 

平日は当然のことながら、休日すら自分や家庭のための時間が取れず、ワークライフバランスが崩れてしまいます

 

 

 

サービス残業が原因で保育士を辞めたいと思った時に取るべき行動

 

 

それでは、保育士が実際にサービス残業が原因で退職を考えた時、どのように行動していくのが良いでしょうか?

 

実際に取るべき行動について解説します。

 

 

 

【1】上司に相談できる場合は、まずは体調やメンタルが限界であることを相談し、休職や転職を検討する

 

 

上司に相談できる状況であれば、まずは相談してみましょう。

 

自分が限界であることや、身体やメンタルに響いていることを正直に伝えます。

 

園全体の問題として真剣に耳を傾け、業務改善に向けて取り組んでくれる場合もあります。

 

しかし、改善するにはかなりの時間と労力を費やし、一朝一夕とはいきません。

 

もし限界を感じているならば、一度休職をして現場を離れ、体調を回復させることが最優先です。

 

今後の復職や転職について考えるのは、休養してから考えましょう

 

 

 

【2】上司に相談できない場合は、メンタルクリニックで診断を受け、休職または転職をする

 

 

上司に相談しづらい、職場の環境や人間関係があまり良くない場合は、直接メンタルクリニックを受診しましょう。

 

医師の診断を受け、自分自身に限界が来ているのであれば、いったん休職して療養するか、または転職を検討すると良いでしょう。

 

診断書を発行してもらうと、その後の職場への相談はスムーズになります。

 

 

 

サービス残業が原因で保育士を辞めたいと思った時は、体力や精神力にまだ余力のある段階で行動を起こすことが大切!

 

 

休職を申し出たり、退職や転職を検討したりするには、それなりのパワーが必要です。

 

「サービス残業で疲弊している」今の現状を打破したくても、日々の業務で精一杯になり、なかなか一歩を踏み出せない保育士は多くいます。

 

そのため、メンタルや体を壊してしまう前に行動を起こすことが大切です

 

 

 

保育士が辞める一般的なフロー

 

 

それでは、保育士が辞める時の一般的な流れについて解説します。

 

まずは退職の意思を伝えることから始まります。

 

退職の意思は、法的には退職希望日の14日前までに申告をするよう定められていますが、一般的には1ヶ月程度前に申告するのが良いとされています。

 

 

 

また、保育園の場合は、クラス担任などの人員配置に影響がでるため、年度末退職を視野に入れ、年末までに(12月頃)伝えるケースもあります。

 

まず直属の上司に退職意思を伝え、その後園長に伝えます。

 

園長に伝えた後に、保育園側から退職に関する書類などが発行されるので提出します。

 

退職日には保険証や貸与品の返却を行い退職となります。

 

一緒に働く同僚に伝えるタイミングは、保育園側の指示に従いましょう。

 

職場の環境などに配慮して、情報の解禁日を設ける保育園もあります。

 

 

 

引き継ぎについても、後任が困らないようにしっかりと行いましょう。

 

最後まで責任を持つことで、あなた自身の今後へつながります。

 

子どもたちや保護者へ伝えるかどうかも保育園の方針によります。

 

直接自分から伝えたい思いがあっても、今後の影響を考えて退職後にプリントで伝えるなど保育園側にも方針があります。

 

周囲の混乱を招かないためにも、退職の伝え方は園長や上司に確認して進めましょう。

 

 

 

サービス残業は当たり前ではない!我慢せずに体調面や精神面を尊重して行動しよう!

 

 

サービス残業を余儀なくされ、多くの保育士が悩んでいます。

 

「昔からそうだから」「みんながそうだから」と言われても我慢する必要はありません。

 

残念ながら、当たり前のようにさせる経営者もいますが、サービス残業は今や当たり前ではないのです。

 

人員配置や業務を効率化する工夫をして、サービス残業や持ち帰り仕事をさせないようにしている園もあります。

 

何よりも、無理をして体調を壊しては取り返しがつきません。

 

我慢せずに、たった一つの自分の身体を尊重して行動しましょう

 

 

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