キャリアアップのためにダブルライセンスが欲しい!保育士の仕事に活かせる資格について教えてください。
2023/09/28
キャリアアップのために、ダブルライセンスの取得を考えている保育士は多いようです。
保育士が活躍する場では、他の資格や知識を取得しておくと視野が広がったり、より専門性が増したり、また、転職やキャリアアップの選択肢が広がったりといったケースも多くあるからです。
この記事では、保育士がダブルライセンスを取得するメリットや、保育士の仕事に活かせる相性の良い資格と、資格を散る方法について詳しく解説いたします。
保育士がダブルライセンスを取得する4つのメリット
保育士がダブルライセンスを取得するメリットが具体的に4つあります。
メリット1:就職先の選択肢が増える
ダブルライセンスを取得すると、就職活動をするにあたり、選択肢が増えます。
例えば、保育士資格だけでなく幼稚園教諭免許も取得すれば、保育園や社会福祉施設等保育士が活躍する現場だけでなく、幼稚園も選択肢に入れる事ができます。
幼保連携型こども園も選択できます。
メリット2:それぞれの資格の知識を活かした保育ができる
それぞれの資格の知識を活かした保育ができる、というメリットがあります。
例えば民間資格ではありますが、臨床発達心理士の資格を取る事で、子どもの発達や心理の知識が広がります。
子ども1人1人の発達について、保育士の視点以上に「発達の専門家」として、より深く見る事ができるとともに、発達障害や気になる子どもに対してのより良いサポートができるようになります。
メリット3:キャリアアップに繋がる
キャリアアップに繋がる可能性があります。
例えば、保育士資格は保育園などを中心に現場で保育をするプロですが、社会福祉士は、事情があって援助を必要とする方々の相談や支援窓口となります。
保育現場で子どもや保護者と関わっていく中で、支援を必要とする子どもや保護者に対してもっとできることはないか、保育士としてできる事には限界がある、などと考えた時、キャリアアップに大変役立つ資格と言えます。
また、働く場によっては保育士より年収アップも期待できます。
メリット4:転職先が見つかりやすくなる
転職を考えた時、保育士資格だけよりも、ダブルライセンスを取得していた方が、圧倒的に転職先を見つけやすくなります。
例えば、介護福祉士の資格も取得していれば、最近多くなってきている、保育園と介護施設が一体化した幼老複合施設等で大変重宝されるでしょう。
幼保連携型のこども園の職員は、幼稚園教諭と保育士のダブルライセンスが条件となっています。
保育士の仕事に活かせる!保育士と相性が良い主な資格
ダブルライセンスのメリットがわかったところで、保育士の仕事に活かせる相性の良い資格をいくつかご紹介します。
【1】幼稚園教諭
一般的に、保育士との区別がつきづらい幼稚園教諭ですが、幼稚園で働く職員であり、大きく違うのは、文部科学省管轄ということです。
文部科学省管轄の幼稚園教諭免許状取得が必要です。
保育士は厚生労働省管轄であり社会福祉の観点からの資格、幼稚園教諭は教育現場の教諭であり幼児教育を担う、という違いです。
幼稚園教諭免許状も取得しておけば、保育園の他幼稚園で働くこともできます。
また、こども園への就職や転職の選択肢も広がります。
こども園とは、幼稚園と保育園の良いところが合体したような、保育と教育の両方を提供できる施設で、近年増加傾向にあります。
こども園には、幼稚園と保育園の機能を合わせ持った「幼保連携型」、認可幼稚園が保育園の機能を兼ね備えた「幼稚園型」、認可保育園が幼稚園の機能を兼ね備えた「保育所型」、幼稚園でも保育園でもなく認可もない教育・保育施設が認定こども園として機能する「地方裁量型」と4つのタイプがあります。
そして、保育士の資格だけで子ども園で働く事ができるのは、幼保連携型以外で満3歳未満を担当する場合のみに限られます。
その他は、保育士資格に加えて幼稚園教諭免許が必要となります。
そのため、ダブルライセンスを取得している方が圧倒的に有利と言えるでしょう。
【2】介護福祉士
デイケアセンター・介護老人保健施設・特別養護老人ホーム・訪問介護サービス事業などで働く、高齢者や障がい者のお世話をする専門職の方です。
介護福祉士国家試験に合格する必要があります。
介護の知識が身につく介護福祉士は、保育士が療育園や障がい児施設など、介護を必要とする子どもの保育を行なう現場で大いに役立ちます。
また、最近増えている、保育園と介護施設が一体化した幼老複合施設の就職に大変有利になります。
【3】社会福祉士
社会福祉士とは、事情があって援助を必要とする方々の相談を受けて、アドバイスをしたり適切な支援を行なったり等、支援窓口となる福祉の専門家です。
社会福祉士国家試験に合格する必要があります。
保育士は、子どもの発達をサポートする仕事でもあり、保護者に対しても保育のプロとして、保護者に対して育児に関するお悩みに寄り添ったり、時にアドバイスしたり、という役目があります。
そのため、家庭環境や子どもの発達などに対しての適切な対応やサポートをするための知識や技術が必要です。
いっぽう、社会福祉士は、病院や介護施設で働く場合もありますが、児童養護施設や児童相談所で働く場合は、特に発育発達に関する知識や子どもたちと直接関わるためのコミュニケーション技術等が必要になってきます。
このように、保育士と社会福祉士では、子どもと保護者のサポートにおいて重なる部分が多いのです。
ダブルライセンスを取得する事によって、子どもや保護者へのより良い支援が可能になります。
【4】看護師
看護師は、病院などに従事し、医師のサポートや患者のケアを行います。
受験資格を満たす、所定の教育課程を卒業の上、厚生労働省の看護師国家試験に合格する必要があります。
看護師は、特に乳児保育園等では、かつては乳児が9人以上在籍している場合必ず1名の保健師か看護師を配置するのが義務付けられていたこともあります。
現在では、准看護師も可能、など緩和されていますが、自治体によって違い、ほとんどが努力義務になっています。
そのため、看護師が不在の保育園もあります。
しかし、子どもたちの健康と、園の衛生を管理する専門知識を持った人材は、安心して保育が出来る事からとても重宝されます。
保育に入ることもできて、看護師としての知識と技術もある保育士がいたら、とても重宝されるのではないでしょうか。
また、小児科や病児保育など、看護師と保育士のダブルライセンスが活かせそうな職場の選択肢が広がります。
【5】民間資格
◆臨床発達心理士
保育士も発達に関する事や発達心理学について学びますが、それら発達に関する知識をさらに深めていくイメージです。
発達支援を行う知識や技術を学んで資格を取得し、発達に関する悩みに寄り添う子育て支援や、発達障害を持つ子どもと保護者へのサポートを行います。
保育園で、発達障害を持つ子どもや気になる子どもに関して、よりプロフェッショナルな対応ができます。
また、転職や就職の幅も広がるでしょう。
しかし、資格を取得するには、幼稚園教諭のように保育士養成校で同時に取れるわけではないので、難易度が高めと言えます。
発達心理学隣接諸科学の大学修士課程在学中または、終了後3年未満、臨床経験3年以上などの条件を満たして一般社団法人臨床発達心理士認定機構による一次審査、二次審査に合格する必要があります。
◆認定子育てアドバイザー
保護者支援のプロとして、妊娠初期から思春期まで、子育てに不安な親に寄り添いサポートするのが認定アドバイザーです。
保育園や地域・企業などで、育児に関する相談にのることができ、アドバイスやサポートを行います。
保育園は、子どもを預かり保育するだけでなく、保護者に寄り添い子育てについてアドバイスしたり、相談にのったりといった役割を求められています。
保育士も、子育てアドバイザーの知識や技術があれば、より良い支援に繋げることができるでしょう。
保育士として学んだ知識や普段からおこなっている事がより深くなり、子育て専門カウンセラーとしての知識と技術も備わったイメージです。
NPO法人日本子育てアドバイザー協会の実施する養成講座を受講後、認定試験に合格すると取得できるので、受講料と受験料はかかりますが、大学等に行く必要はなく、比較的難易度は低いと言えます。
◆認定病児保育スペシャリスト
保育園や病児・病後児保育施設等で、病気や体調不良の子どもを看病、または快復期の子どものお世話をするスペシャリストです。
体調管理・服薬の管理とサポート・水分補給サポート・快復期の保育・緊急時の対応など、幅広くケアを行います。
看護師が配置されている保育園であれば、看護師が担う業務ですが、看護師がいない保育園では、このような知識と技術は重宝されることでしょう。
また、病児・病後児保育施設への就職など、選択肢の幅も広がります。
一般財団法人 日本病児保育協会が行う講座を受講し、認定試験に合格する事で取得できます。
こちらも受講料と受験料は必要ですが、受講資格のハードルは低く高卒18歳以上であることや、数ヶ月オンライン講座を受講して合格すれば良いため、比較的難易度は低めです。
その他にも、おもちゃコンサルタント・おもちゃインストラクターや、キッズ英語、手遊びわらべ歌、リトミックインストラクター、食育インストラクター、子育てコーチング、などなど、民間資格で保育士としての技術が高まりスキルアップできそうな資格はたくさんあります。
ぜひ、「保育士を活かせる資格」などでネット検索してみて興味のある分野があればチャレンジしてみてください。
参考:
日本子育てアドバイザー協会 (kosodate.gr.jp)
病児保育の資格「認定病児保育スペシャリスト」の(財)日本病児保育協会 (sickchild-care.jp)
ダブルライセンスを取得するためにはどうすればいいの?ケース別の選択肢
それでは、ダブルライセンスを取得するためにはどうすれば良いのでしょうか?
ここでは、国家資格や養成校で学ぶ資格について解説していきます。
ケース1:保育士の資格を取得していない場合は、専門学校・大学に通って資格を取得する
まだ保育士の資格を取得していない場合、これから進路を選ぶ場合は、目指したい資格により2通りの道があります。
2つの資格が両方取得できる専門学校・大学に通う
幼稚園教諭を取得するなら、両方取得できる専門学校・大学が多いため、こちらをおすすめします。
学ぶ教科も似ているため、その方が効率良いです。
また、社会福祉士も同時取得が可能です。社会福祉に強い大学で、両方学ぶという方法を選択できます。
「社会福祉士 保育士 大学」などで検索してみてください。
ただし、保育士は必要な単位を取って卒業すれば資格を取得できますが、社会福祉士は卒業だけでは資格は得られません。
決められた受験資格(福祉系4年制大学を卒業、または福祉系短大卒業後相談実務経験1~2年など)を得て、社会福祉士国家試験に合格することで取得できます。
資格ごとに別の専門学校・大学に通う
介護福祉士・看護師の場合、一度に両方の資格を取得する事は出来ません。
資格ごとに別の専門学校や大学に通って資格を取得する必要があります。
しかしながら、介護と保育は対象となるのが大人と子どもという違いはありますが、非常に似た部分があります。
そのため、介護福祉士から保育士養成校に通う場合や、保育士が介護福祉士養成校に通う場合の履修科目免除や、それぞれ資格試験を受ける場合に受験免除される科目があります。
介護福祉士が保育士を目指す場合
介護福祉士が保育士養成校に通う特「福祉職の基盤に関する科目」に対応する試験科目(社会福祉・児童家庭福祉・社会的養護)は、履修や受験が免除されます。
これは、社会福祉士、精神保健福祉士から保育士資格を受験する場合も同様です。
保育士が介護福祉士を目指す場合
介護福祉士になるためには、通常介護福祉士養成校へ高卒後2年以上通うのですが、保育士養成校に通い保育士資格を取得していると、優遇され1年で済みます。
また、介護福祉士養成校を卒業後、筆記試験は受験する必要がありますが、実技試験は免除されます。
つまり、保育士養成校に通ったのち、社会福祉士養成校に通うのが最短ルートと言えます。
資格取得をする順番を間違えると、余分な時間や学費がかかってしまうため、注意しましょう。
看護師と保育士
看護師になるには、看護系の大学や短大、専門学校で単位を取得して卒業後、国家試験に合格する必要があります。
保育士は、養成校に通い、必要な単位を取得して卒業すれば保育士資格を取得する事ができます。
または通信制や独学で学んだあと国家試験を受ける事でも保育士資格を取得できます。
ダブルスクールは実質上不可能ですが、看護学校に通いながら、または卒業してから独学で学び、保育士試験も受験して取得する、というのが最短ルートと言えます。
ただし、独学での保育士資格試験は合格率も低く難関と言われているので、保育士養成校にも通う、というのも検討しましょう。
履修科目や受験科目の優遇はないものの、小児保健等の共通点もあるため、学びやすいかもしれません。
参考:
福祉系国家資格所有者等の保育士資格取得への対応について(概要) (mhlw.go.jp)
[介護福祉士国家試験]受験資格:福祉系大学等:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター (sssc.or.jp)
ケース2:保育士が幼稚園教諭以外の資格を取得する場合は、目的の資格が取得できる専門学校・大学に進学する
すでに保育士の資格を持っていて、幼稚園教諭以外の資格を取得する場合は、目的の資格が取得できる専門学校・大学に進学します。
前述したように、保育士養成校を卒業した保育士が介護福祉士になる場合、介護福祉士養成校に通うのは通常の2年ではなく、優遇され1年で済みます。
また、実技試験は免除されます。
ケース3:保育士が幼稚園教諭を取得する場合は、「保育士に対する幼稚園教諭免許の特例制度」を利用する
保育士が幼稚園教諭を取得する場合は、「保育士に対する幼稚園教諭免許の特例制度」を利用すると良いでしょう。
この制度は、2025年3月31日までのため、早めに実行することをおすすめします。
「保育士に対する幼稚園教諭免許の特例制度」とは、保育士に対して、保育施設での勤務経験を評価し、幼稚園教諭免許状の授与を受けるために修得する事が必要な単位数を軽減する、というものです。
2013年、認定こども園法一部改正法のもと、教育と保育を一体化した「幼保連携型認定こども園」が創設されました。この幼保連携型認定こども園の職員は、保育と教育の両方を兼ね備える「保育教諭」であることを原則としています。
保育教諭とは幼稚園教諭免許状と保育士資格のいずれも有している人材の事です。
しかし、当時両方の資格を有する人材が不足していたため、特例措置として、2025年3月31日までは、幼稚園教諭免許状又は保育士資格のいずれかを有していれば、保育教諭になることができると定められています。
つまりは、幼稚園教諭免許状しか持たない場合、保育士資格しか持たない場合、いずれも両方の資格取得を目指す場合に軽減措置がとられるということです。
2025年3月31日を過ぎると、制度は利用できませんのでご注意ください。
出典:幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例:文部科学省 (mext.go.jp)
ダブルライセンスは保育士にとってメリットが多い!
いかがでしたでしょうか。
ダブルライセンスは、保育士にとってメリットが大きいのがご理解いただけましたでしょうか?
より良い保育のため、より子どもや保護者を専門的にサポートするために、より深めたいと思った分野でさらに資格を取るのも良いでしょう。
キャリアアップや就職、転職に有利になる、という将来の可能性を広げるためのダブルライセンスも良いでしょう。
勉強する時間やお金と自分の状況に応じて、よく考え、効率よく最短ルートで学ぶことができるよう、ぜひいろいろ調べて検討してみてください。
カテゴリ
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キャリアアップのために、ダブルライセンスの取得を考えている保育士は多いようです。
保育士が活躍する場では、他の資格や知識を取得しておくと視野が広がったり、より専門性が増したり、また、転職やキャリアアップの選択肢が広がったりといったケースも多くあるからです。
この記事では、保育士がダブルライセンスを取得するメリットや、保育士の仕事に活かせる相性の良い資格と、資格を散る方法について詳しく解説いたします。
保育士がダブルライセンスを取得する4つのメリット
保育士がダブルライセンスを取得するメリットが具体的に4つあります。
メリット1:就職先の選択肢が増える
ダブルライセンスを取得すると、就職活動をするにあたり、選択肢が増えます。
例えば、保育士資格だけでなく幼稚園教諭免許も取得すれば、保育園や社会福祉施設等保育士が活躍する現場だけでなく、幼稚園も選択肢に入れる事ができます。
幼保連携型こども園も選択できます。
メリット2:それぞれの資格の知識を活かした保育ができる
それぞれの資格の知識を活かした保育ができる、というメリットがあります。
例えば民間資格ではありますが、臨床発達心理士の資格を取る事で、子どもの発達や心理の知識が広がります。
子ども1人1人の発達について、保育士の視点以上に「発達の専門家」として、より深く見る事ができるとともに、発達障害や気になる子どもに対してのより良いサポートができるようになります。
メリット3:キャリアアップに繋がる
キャリアアップに繋がる可能性があります。
例えば、保育士資格は保育園などを中心に現場で保育をするプロですが、社会福祉士は、事情があって援助を必要とする方々の相談や支援窓口となります。
保育現場で子どもや保護者と関わっていく中で、支援を必要とする子どもや保護者に対してもっとできることはないか、保育士としてできる事には限界がある、などと考えた時、キャリアアップに大変役立つ資格と言えます。
また、働く場によっては保育士より年収アップも期待できます。
メリット4:転職先が見つかりやすくなる
転職を考えた時、保育士資格だけよりも、ダブルライセンスを取得していた方が、圧倒的に転職先を見つけやすくなります。
例えば、介護福祉士の資格も取得していれば、最近多くなってきている、保育園と介護施設が一体化した幼老複合施設等で大変重宝されるでしょう。
幼保連携型のこども園の職員は、幼稚園教諭と保育士のダブルライセンスが条件となっています。
保育士の仕事に活かせる!保育士と相性が良い主な資格
ダブルライセンスのメリットがわかったところで、保育士の仕事に活かせる相性の良い資格をいくつかご紹介します。
【1】幼稚園教諭
一般的に、保育士との区別がつきづらい幼稚園教諭ですが、幼稚園で働く職員であり、大きく違うのは、文部科学省管轄ということです。
文部科学省管轄の幼稚園教諭免許状取得が必要です。
保育士は厚生労働省管轄であり社会福祉の観点からの資格、幼稚園教諭は教育現場の教諭であり幼児教育を担う、という違いです。
幼稚園教諭免許状も取得しておけば、保育園の他幼稚園で働くこともできます。
また、こども園への就職や転職の選択肢も広がります。
こども園とは、幼稚園と保育園の良いところが合体したような、保育と教育の両方を提供できる施設で、近年増加傾向にあります。
こども園には、幼稚園と保育園の機能を合わせ持った「幼保連携型」、認可幼稚園が保育園の機能を兼ね備えた「幼稚園型」、認可保育園が幼稚園の機能を兼ね備えた「保育所型」、幼稚園でも保育園でもなく認可もない教育・保育施設が認定こども園として機能する「地方裁量型」と4つのタイプがあります。
そして、保育士の資格だけで子ども園で働く事ができるのは、幼保連携型以外で満3歳未満を担当する場合のみに限られます。
その他は、保育士資格に加えて幼稚園教諭免許が必要となります。
そのため、ダブルライセンスを取得している方が圧倒的に有利と言えるでしょう。
【2】介護福祉士
デイケアセンター・介護老人保健施設・特別養護老人ホーム・訪問介護サービス事業などで働く、高齢者や障がい者のお世話をする専門職の方です。
介護福祉士国家試験に合格する必要があります。
介護の知識が身につく介護福祉士は、保育士が療育園や障がい児施設など、介護を必要とする子どもの保育を行なう現場で大いに役立ちます。
また、最近増えている、保育園と介護施設が一体化した幼老複合施設の就職に大変有利になります。
【3】社会福祉士
社会福祉士とは、事情があって援助を必要とする方々の相談を受けて、アドバイスをしたり適切な支援を行なったり等、支援窓口となる福祉の専門家です。
社会福祉士国家試験に合格する必要があります。
保育士は、子どもの発達をサポートする仕事でもあり、保護者に対しても保育のプロとして、保護者に対して育児に関するお悩みに寄り添ったり、時にアドバイスしたり、という役目があります。
そのため、家庭環境や子どもの発達などに対しての適切な対応やサポートをするための知識や技術が必要です。
いっぽう、社会福祉士は、病院や介護施設で働く場合もありますが、児童養護施設や児童相談所で働く場合は、特に発育発達に関する知識や子どもたちと直接関わるためのコミュニケーション技術等が必要になってきます。
このように、保育士と社会福祉士では、子どもと保護者のサポートにおいて重なる部分が多いのです。
ダブルライセンスを取得する事によって、子どもや保護者へのより良い支援が可能になります。
【4】看護師
看護師は、病院などに従事し、医師のサポートや患者のケアを行います。
受験資格を満たす、所定の教育課程を卒業の上、厚生労働省の看護師国家試験に合格する必要があります。
看護師は、特に乳児保育園等では、かつては乳児が9人以上在籍している場合必ず1名の保健師か看護師を配置するのが義務付けられていたこともあります。
現在では、准看護師も可能、など緩和されていますが、自治体によって違い、ほとんどが努力義務になっています。
そのため、看護師が不在の保育園もあります。
しかし、子どもたちの健康と、園の衛生を管理する専門知識を持った人材は、安心して保育が出来る事からとても重宝されます。
保育に入ることもできて、看護師としての知識と技術もある保育士がいたら、とても重宝されるのではないでしょうか。
また、小児科や病児保育など、看護師と保育士のダブルライセンスが活かせそうな職場の選択肢が広がります。
【5】民間資格
◆臨床発達心理士
保育士も発達に関する事や発達心理学について学びますが、それら発達に関する知識をさらに深めていくイメージです。
発達支援を行う知識や技術を学んで資格を取得し、発達に関する悩みに寄り添う子育て支援や、発達障害を持つ子どもと保護者へのサポートを行います。
保育園で、発達障害を持つ子どもや気になる子どもに関して、よりプロフェッショナルな対応ができます。
また、転職や就職の幅も広がるでしょう。
しかし、資格を取得するには、幼稚園教諭のように保育士養成校で同時に取れるわけではないので、難易度が高めと言えます。
発達心理学隣接諸科学の大学修士課程在学中または、終了後3年未満、臨床経験3年以上などの条件を満たして一般社団法人臨床発達心理士認定機構による一次審査、二次審査に合格する必要があります。
◆認定子育てアドバイザー
保護者支援のプロとして、妊娠初期から思春期まで、子育てに不安な親に寄り添いサポートするのが認定アドバイザーです。
保育園や地域・企業などで、育児に関する相談にのることができ、アドバイスやサポートを行います。
保育園は、子どもを預かり保育するだけでなく、保護者に寄り添い子育てについてアドバイスしたり、相談にのったりといった役割を求められています。
保育士も、子育てアドバイザーの知識や技術があれば、より良い支援に繋げることができるでしょう。
保育士として学んだ知識や普段からおこなっている事がより深くなり、子育て専門カウンセラーとしての知識と技術も備わったイメージです。
NPO法人日本子育てアドバイザー協会の実施する養成講座を受講後、認定試験に合格すると取得できるので、受講料と受験料はかかりますが、大学等に行く必要はなく、比較的難易度は低いと言えます。
◆認定病児保育スペシャリスト
保育園や病児・病後児保育施設等で、病気や体調不良の子どもを看病、または快復期の子どものお世話をするスペシャリストです。
体調管理・服薬の管理とサポート・水分補給サポート・快復期の保育・緊急時の対応など、幅広くケアを行います。
看護師が配置されている保育園であれば、看護師が担う業務ですが、看護師がいない保育園では、このような知識と技術は重宝されることでしょう。
また、病児・病後児保育施設への就職など、選択肢の幅も広がります。
一般財団法人 日本病児保育協会が行う講座を受講し、認定試験に合格する事で取得できます。
こちらも受講料と受験料は必要ですが、受講資格のハードルは低く高卒18歳以上であることや、数ヶ月オンライン講座を受講して合格すれば良いため、比較的難易度は低めです。
その他にも、おもちゃコンサルタント・おもちゃインストラクターや、キッズ英語、手遊びわらべ歌、リトミックインストラクター、食育インストラクター、子育てコーチング、などなど、民間資格で保育士としての技術が高まりスキルアップできそうな資格はたくさんあります。
ぜひ、「保育士を活かせる資格」などでネット検索してみて興味のある分野があればチャレンジしてみてください。
参考:
日本子育てアドバイザー協会 (kosodate.gr.jp)
病児保育の資格「認定病児保育スペシャリスト」の(財)日本病児保育協会 (sickchild-care.jp)
ダブルライセンスを取得するためにはどうすればいいの?ケース別の選択肢
それでは、ダブルライセンスを取得するためにはどうすれば良いのでしょうか?
ここでは、国家資格や養成校で学ぶ資格について解説していきます。
ケース1:保育士の資格を取得していない場合は、専門学校・大学に通って資格を取得する
まだ保育士の資格を取得していない場合、これから進路を選ぶ場合は、目指したい資格により2通りの道があります。
2つの資格が両方取得できる専門学校・大学に通う
幼稚園教諭を取得するなら、両方取得できる専門学校・大学が多いため、こちらをおすすめします。
学ぶ教科も似ているため、その方が効率良いです。
また、社会福祉士も同時取得が可能です。社会福祉に強い大学で、両方学ぶという方法を選択できます。
「社会福祉士 保育士 大学」などで検索してみてください。
ただし、保育士は必要な単位を取って卒業すれば資格を取得できますが、社会福祉士は卒業だけでは資格は得られません。
決められた受験資格(福祉系4年制大学を卒業、または福祉系短大卒業後相談実務経験1~2年など)を得て、社会福祉士国家試験に合格することで取得できます。
資格ごとに別の専門学校・大学に通う
介護福祉士・看護師の場合、一度に両方の資格を取得する事は出来ません。
資格ごとに別の専門学校や大学に通って資格を取得する必要があります。
しかしながら、介護と保育は対象となるのが大人と子どもという違いはありますが、非常に似た部分があります。
そのため、介護福祉士から保育士養成校に通う場合や、保育士が介護福祉士養成校に通う場合の履修科目免除や、それぞれ資格試験を受ける場合に受験免除される科目があります。
介護福祉士が保育士を目指す場合
介護福祉士が保育士養成校に通う特「福祉職の基盤に関する科目」に対応する試験科目(社会福祉・児童家庭福祉・社会的養護)は、履修や受験が免除されます。
これは、社会福祉士、精神保健福祉士から保育士資格を受験する場合も同様です。
保育士が介護福祉士を目指す場合
介護福祉士になるためには、通常介護福祉士養成校へ高卒後2年以上通うのですが、保育士養成校に通い保育士資格を取得していると、優遇され1年で済みます。
また、介護福祉士養成校を卒業後、筆記試験は受験する必要がありますが、実技試験は免除されます。
つまり、保育士養成校に通ったのち、社会福祉士養成校に通うのが最短ルートと言えます。
資格取得をする順番を間違えると、余分な時間や学費がかかってしまうため、注意しましょう。
看護師と保育士
看護師になるには、看護系の大学や短大、専門学校で単位を取得して卒業後、国家試験に合格する必要があります。
保育士は、養成校に通い、必要な単位を取得して卒業すれば保育士資格を取得する事ができます。
または通信制や独学で学んだあと国家試験を受ける事でも保育士資格を取得できます。
ダブルスクールは実質上不可能ですが、看護学校に通いながら、または卒業してから独学で学び、保育士試験も受験して取得する、というのが最短ルートと言えます。
ただし、独学での保育士資格試験は合格率も低く難関と言われているので、保育士養成校にも通う、というのも検討しましょう。
履修科目や受験科目の優遇はないものの、小児保健等の共通点もあるため、学びやすいかもしれません。
参考:
福祉系国家資格所有者等の保育士資格取得への対応について(概要) (mhlw.go.jp)
[介護福祉士国家試験]受験資格:福祉系大学等:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター (sssc.or.jp)
ケース2:保育士が幼稚園教諭以外の資格を取得する場合は、目的の資格が取得できる専門学校・大学に進学する
すでに保育士の資格を持っていて、幼稚園教諭以外の資格を取得する場合は、目的の資格が取得できる専門学校・大学に進学します。
前述したように、保育士養成校を卒業した保育士が介護福祉士になる場合、介護福祉士養成校に通うのは通常の2年ではなく、優遇され1年で済みます。
また、実技試験は免除されます。
ケース3:保育士が幼稚園教諭を取得する場合は、「保育士に対する幼稚園教諭免許の特例制度」を利用する
保育士が幼稚園教諭を取得する場合は、「保育士に対する幼稚園教諭免許の特例制度」を利用すると良いでしょう。
この制度は、2025年3月31日までのため、早めに実行することをおすすめします。
「保育士に対する幼稚園教諭免許の特例制度」とは、保育士に対して、保育施設での勤務経験を評価し、幼稚園教諭免許状の授与を受けるために修得する事が必要な単位数を軽減する、というものです。
2013年、認定こども園法一部改正法のもと、教育と保育を一体化した「幼保連携型認定こども園」が創設されました。この幼保連携型認定こども園の職員は、保育と教育の両方を兼ね備える「保育教諭」であることを原則としています。
保育教諭とは幼稚園教諭免許状と保育士資格のいずれも有している人材の事です。
しかし、当時両方の資格を有する人材が不足していたため、特例措置として、2025年3月31日までは、幼稚園教諭免許状又は保育士資格のいずれかを有していれば、保育教諭になることができると定められています。
つまりは、幼稚園教諭免許状しか持たない場合、保育士資格しか持たない場合、いずれも両方の資格取得を目指す場合に軽減措置がとられるということです。
2025年3月31日を過ぎると、制度は利用できませんのでご注意ください。
出典:幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例:文部科学省 (mext.go.jp)
ダブルライセンスは保育士にとってメリットが多い!
いかがでしたでしょうか。
ダブルライセンスは、保育士にとってメリットが大きいのがご理解いただけましたでしょうか?
より良い保育のため、より子どもや保護者を専門的にサポートするために、より深めたいと思った分野でさらに資格を取るのも良いでしょう。
キャリアアップや就職、転職に有利になる、という将来の可能性を広げるためのダブルライセンスも良いでしょう。
勉強する時間やお金と自分の状況に応じて、よく考え、効率よく最短ルートで学ぶことができるよう、ぜひいろいろ調べて検討してみてください。