小児科の看護師から、保育士資格を取得して保育園で働くことは可能でしょうか?
2023/09/28
小児科の看護師として、子どもたちに接するうちに
「もっと子どもと関わる仕事がしたい」「保育園で働いてみたい」
といったような保育の仕事に興味を持つ看護師は少なからずいるようです。
「完全なキャリアチェンジは可能なのか?」
「今から保育士資格を取得すべきか?」
「取得して保育園で働く事は可能なのか?」
本記事では、看護師が保育の仕事に興味を持った時の様々な疑問にお答えします。
看護師から保育士になることはできる?ダブルライセンスの取得は可能?
看護師から保育士になる事は可能です。
ダブルライセンスを目指しても良いでしょう。
保育の仕事に携わるには、いくつかのルートがありますので順番にご紹介していきます。
保育士と看護師のダブルライセンスを取得するメリット
まずは、保育士と看護師のダブルライセンスを取得するメリットからお伝えします。
メリット1:就職先に困らない
保育の仕事に興味を持つ看護師は、とても子ども好きなのでしょう。
子どもと多く関わる仕事がしたいと考えた時、看護師として働く場合、小児科病棟やクリニック、子どもが多く来院する歯科クリニック、乳児院、病児保育室、保育園看護師、重症心身障害児施設や医療的ケアが必要な子どもが通う施設などがあげられます。
しかし、中には求人が少ない狭き門の場合もあります。
保育士資格も取得すれば、看護師の求人のない保育園や児童養護施設、障がい児施設など、その選択肢は一気に広がり、就職先に困らないでしょう。
メリット2:急なケガにも対応できる
保育士資格を取得して、保育士として転職したとしても、子どもの急なケガや病気に対して、すぐに対応する事ができます。
看護師の知識と経験が活きて適切な処置ができるため、保育園にとって安心できる貴重な存在であり、重宝されるはずです。
メリット3:看護の知識を活かした保育ができる
看護の知識と経験を活かすことで、子どもたちの健康管理や保健指導、環境衛生管理ができます。
例えば、体調の悪い子どものお世話、アレルギーを持つ子どものサポート、服薬管理、病後児保育などです。
子どもたちの健康を守りながら保育ができることは、保育の質の向上にもつながるのではないでしょうか。
看護師が保育士資格を取得するための2つの方法
保育士は、看護師と同じく国家資格です。
看護師が保育士資格を取得するためには、2通りの方法があります。
どちらが自分に適しているか考えてみてください。
【1】保育士試験を受験する
独学や通信講座で勉強した後、保育士資格試験を受験する、という方法です。
保育士試験は年2回行われ、筆記試験を土日の2日間で、実技試験は別日の日曜日で実施されます。
筆記試験は下記の8科目です。
- 保育原理
- 教育原理及び社会的養護
- 子ども家庭福祉
- 社会福祉
- 保育の心理学
- 子どもの保健
- 子どもの食と栄養
- 保育実習理論
「子どもの保健」は看護師であれば得意なところでもありますね。
すべての科目を「60%以上正解すると合格」となり、筆記試験に合格すると実技試験を受ける事ができます。 実技試験は、音楽、造形、言語の3科目中2科目を選択します。
保育士試験は、合格をした年を含めて合格となった科目が3年間有効のため、不合格となった科目のみ再受験をして、3年以内の全科目合格を目指す事が可能です。
つまり、3年かけて全科目合格して保育士資格を取得しても良いという事です。
働きながら勉強するなど、なかなか勉強時間が取れない場合は、科目を絞って集中して勉強し、筆記試験に挑むという事も出来ますね。
ただし、 『教育原理』と『社会的養護』においては、同時合格する必要がありますのでご注意ください。
受験資格については、保育士とは関係のない学科でも、大学・短大・専門学校(2年以上)を卒業していれば可と定められているので、看護師はすでに受験資格があります。
参考:保育士試験を受ける方へ|一般社団法人全国保育士養成協議会 (hoyokyo.or.jp)
【2】指定保育士養成施設を卒業する
保育士になるもうひとつの方法として、指定保育士養成施設(大学・短大・専門学校)を卒業する、という方法があります。
前述した保育士試験は、実は合格率が低いと言われて、管轄となる厚生労働省の発表によると、近年おおむね20%前後とのこと。5人に1人と考えると、難易度は高めと言えるのではないでしょうか。
一方、指定保育士養成施設の場合、決められた単位を取って卒業すれば、保育士資格を取得できます。
働きながら資格取得を目指したい方には、保育士資格試験の受験はオススメですが、働きながら独学や通信講座でコツコツ学ぶのは相当の体力と精神力を必要とします。
そのため、仲間ができ、実習で現場のノウハウを学べる指定保育士養成施設への進学も検討してみてはいかがでしょうか?
参考:厚生労働省「保育士の現状と主な取組」
看護師には保育士資格を取得せず保育園で働く「保育園看護師」という道もある!
ここまで、ダブルライセンスのメリットや保育士資格取得の仕方をお伝えしてきましたが、実は看護師には、保育士資格を取得せずに保育園で働く道があります。
『保育園看護師』という職業をご存知でしょうか?
看護師の資格があれば保育の現場で活躍できるので、保育園の求人で看護師を探してみるのも手です。
社会福祉系のハローワークや、保育園専門の求人サイトなどをチェックしてみるのも良いでしょう。
かつて乳児保育園では、ゼロ歳児9人以上で1人看護師を配置しなければならない基準が定められていました。現在では、看護師不足や運営費の関係などの理由から努力義務のみとなっております。
しかし、園児の安全や質の良い保育を考えれば、看護師の必要性は叫ばれています。
そのため、地域によっては3歳児未満を保育する場合においての看護師の配置を条件付けしている所もあります。
また、積極的な看護師採用のため、各自治体で看護師配置加算制度を取り入れているところもあります。
看護師配置加算を支給されると、保育園にとっても経済的なメリットも大きく、保育士や保護者にとっても安心材料となります。
さらに、乳児(ゼロ歳児)4人以上在籍する保育園では、看護師または保健師1名に限り、「みなし特例」として保育士の配置にカウントする事ができると定められています。
このみなし特例により、保育士の配置基準を満たしつつ、看護師としての知識と資格を持った人材を配置できるのであれば、とても心強い存在として積極的に看護師を採用したい保育園が多くなってきているのです。
このように保育園看護師は、必要とされているのに人材が不足しているので、挑戦してみてはいかがでしょうか?
保育園看護師とは?
それでは、保育園看護師とは、具体的にどのような働き方をしているのか、仕事内容や給料についてお話いたします。
保育園看護師の仕事内容
保育園看護師の主な仕事は、子どもたちの健康管理と保健指導、そして環境衛生管理です。
具体的には、以下のような内容になります。
・日々の子どもたちの体調チェック
・体調不良の子どものお世話
・ケガ人が出た時の処置
・必要な時は病院へ引率
・服薬する子どものサポート
・病児や病後児のサポート
・アレルギーを持つ子どものサポート
・感染症が出た時の対応及び感染拡大予防
・子どもや保護者、保育者への保健指導や情報提供
・健康診断や歯科検診の補助
・施設内や保育室等の環境衛生管理
保育士や保護者との連携も必須のため、コミュニケーションは欠かせません。
また、実際に子どもたちと関わることも多く、乳児クラスから年長クラスまで、園全体の子どもたちの健康管理に努めます。
保育園看護師の給料相場
子ども家庭庁発表の「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果」によると、保育士の平均年収は役職を除いて公立私立ともに360万円前後です。
一方、看護師は常勤の場合、公立保育園で約476万円、私立保育園で約408万円でした。
つまり保育園看護師は、保育士と比較して公立で110万円以上、私立で50万円近く年収が高いという事です。
あくまで平均データであり、雇用形態や経営主体によっても変わりますが、保育士より看護師の方が高い給料という事は、どこの園でも変わりません。
しかし看護師の中で比較すると、病院で働く看護師より年収は低めになります。
保育園勤務の場合、夜勤や終日出勤がなくなるため、その手当てが無くなり手取りが減るというイメージです。
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、看護師の平均年収は約488万円でした。
公立保育園に就職すれば、12万円の年収減になり、私立では80万円も減収になります。
ただし、私立保育園は種類や経営主体によって差に開きがあります。
公立保育園は、正規職員を目指すなら公務員試験を受けなければなりませんし、定着率が良いため、なかなか空きがないという状況です。
私立保育園や認定こども園なども視野に入れ、求人を探す時はしっかり見極めて納得のいく条件を探すと良いでしょう。
参考:子ども家庭庁発表の「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果」
保育園看護師の求人傾向
前述したように、保育園看護師の需要は高まっていることもあり、求人は豊富にあります。
しかし、働きながらの情報収集や、保育業界は初めてで知人もいない場合、情報を集めるのが難しいのではないでしょうか。
そんな時は、看護師専門転職サイトよりも、保育園専門求人サイトをオススメします。
登録することで、最適な情報が手に入るでしょう。
看護師(正看護師)の他准看護師の求人、正社員の他にパート・アルバイトなど、勤務形態も条件も様々な求人がありますので、ご自分に合った園を探してみてください。
また、保育園看護師向けの研修が充実しているなど、給与以外の条件もしっかりチェックしてみましょう。
研修制度や保育園看護師同士の情報交換など、横のつながりがあると安心です。
保育園看護師として働くメリット
ここで、保育園看護師として働くメリットをご紹介します。
メリット1:夜勤がない
保育園は、当然のことながら夜勤がありません。
夜勤や交代シフト制勤務で体がきつい、家庭との両立が大変だと感じている方には、保育園で定時退社ができる勤務形態は非常に魅力的ではないでしょうか。
メリット2:看護の知識や経験を活かせる
保育園は、看護の知識や経験を充分に活かせる職場です。
注射や点滴と言った医療行為は基本的にありませんが、子どもたちの健康管理や病気・ケガのお世話、環境衛生管理などは、看護師だからこその知識と経験が発揮されます。
しかも、子どもたちにとって、よりよい環境を提供できて保育の質も高まるので、あなたの存在はとても重宝されるでしょう。
メリット3:カレンダー通りに休みが取れる
雇用形態や保育園によっても違いますが、基本的に保育園看護師は土日や祝日が休みで、カレンダー通りの事が多いと言えます。
まれに、保護者会や保護者参加の保育園行事などで、日曜出勤になることがありますが、ほとんどがカレンダー通りとなり、家庭と両立がしやすい環境ではないでしょうか。
保育園看護師として働くデメリット
メリットだけでなく、保育園看護師として働くデメリットもお伝えしておきます。
デメリットも理解したうえで、自分は何を優先するのが良いのか考えてみてください。
デメリット1:医療機関に勤める看護師よりも給料が低い
前述したように、病院で働く看護師より年収は低めになります。
看護師の平均年収は488万円(厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」)に対して、保育園看護師は、正規職員だとしても公立保育園で476万円、私立保育園で408万円ほどです。
公立保育園に就職すれば、12万円、私立保育園では80万円ほどの年収減になり、非正規雇用はさらに年収は低くなります。
雇用形態や勤続年数によっても変わってきますが、今まで病院に勤務する看護師であれば、おそらく減収は避けられないかもしれません。
やりがいや家庭との両立など、いろいろ考えて優先順位を決めるのも良いでしょう。
デメリット2:同じ職種の同僚が少なく相談しにくい
保育園看護師は、1つの園に1人配置されている場合がほとんどです。
大規模な保育園を経営している会社であれば、別の園に配属されている同僚や先輩もいるかもしれませんが、ほとんどの場合は孤軍奮闘しています。
同じ職種の先輩や同僚がいなくて相談相手がいない、相談しにくい、という環境はなかなか厳しいデメリットと言えます。
ただし、これを補填するような、情報交換や交流の場・研修の仕組みが充実している園もあるので、ぜひ探してみてください。
看護師はダブルライセンスを取得しなくても保育の現場で働ける!
いかがでしたでしょうか?
保育士の資格取得のメリットや取得の方法とともに、看護師はダブルライセンスを取得しなくても保育の現場で働けるということをお伝えしました。
資格取得には時間もお金もかかります。
今のあなたが保育園で重宝されるのであれば、保育士の資格取得にこだわらずチャレンジしてみるのも1つの手です。
保育士になりたいのか、看護師のままでも子どもと関わることが好きなのか、ぜひ考えてみてください。
カテゴリ
保育士キャリア
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小児科の看護師として、子どもたちに接するうちに
「もっと子どもと関わる仕事がしたい」「保育園で働いてみたい」
といったような保育の仕事に興味を持つ看護師は少なからずいるようです。
「完全なキャリアチェンジは可能なのか?」
「今から保育士資格を取得すべきか?」
「取得して保育園で働く事は可能なのか?」
本記事では、看護師が保育の仕事に興味を持った時の様々な疑問にお答えします。
看護師から保育士になることはできる?ダブルライセンスの取得は可能?
看護師から保育士になる事は可能です。
ダブルライセンスを目指しても良いでしょう。
保育の仕事に携わるには、いくつかのルートがありますので順番にご紹介していきます。
保育士と看護師のダブルライセンスを取得するメリット
まずは、保育士と看護師のダブルライセンスを取得するメリットからお伝えします。
メリット1:就職先に困らない
保育の仕事に興味を持つ看護師は、とても子ども好きなのでしょう。
子どもと多く関わる仕事がしたいと考えた時、看護師として働く場合、小児科病棟やクリニック、子どもが多く来院する歯科クリニック、乳児院、病児保育室、保育園看護師、重症心身障害児施設や医療的ケアが必要な子どもが通う施設などがあげられます。
しかし、中には求人が少ない狭き門の場合もあります。
保育士資格も取得すれば、看護師の求人のない保育園や児童養護施設、障がい児施設など、その選択肢は一気に広がり、就職先に困らないでしょう。
メリット2:急なケガにも対応できる
保育士資格を取得して、保育士として転職したとしても、子どもの急なケガや病気に対して、すぐに対応する事ができます。
看護師の知識と経験が活きて適切な処置ができるため、保育園にとって安心できる貴重な存在であり、重宝されるはずです。
メリット3:看護の知識を活かした保育ができる
看護の知識と経験を活かすことで、子どもたちの健康管理や保健指導、環境衛生管理ができます。
例えば、体調の悪い子どものお世話、アレルギーを持つ子どものサポート、服薬管理、病後児保育などです。
子どもたちの健康を守りながら保育ができることは、保育の質の向上にもつながるのではないでしょうか。
看護師が保育士資格を取得するための2つの方法
保育士は、看護師と同じく国家資格です。
看護師が保育士資格を取得するためには、2通りの方法があります。
どちらが自分に適しているか考えてみてください。
【1】保育士試験を受験する
独学や通信講座で勉強した後、保育士資格試験を受験する、という方法です。
保育士試験は年2回行われ、筆記試験を土日の2日間で、実技試験は別日の日曜日で実施されます。
筆記試験は下記の8科目です。
- 保育原理
- 教育原理及び社会的養護
- 子ども家庭福祉
- 社会福祉
- 保育の心理学
- 子どもの保健
- 子どもの食と栄養
- 保育実習理論
「子どもの保健」は看護師であれば得意なところでもありますね。
すべての科目を「60%以上正解すると合格」となり、筆記試験に合格すると実技試験を受ける事ができます。 実技試験は、音楽、造形、言語の3科目中2科目を選択します。
保育士試験は、合格をした年を含めて合格となった科目が3年間有効のため、不合格となった科目のみ再受験をして、3年以内の全科目合格を目指す事が可能です。
つまり、3年かけて全科目合格して保育士資格を取得しても良いという事です。
働きながら勉強するなど、なかなか勉強時間が取れない場合は、科目を絞って集中して勉強し、筆記試験に挑むという事も出来ますね。
ただし、 『教育原理』と『社会的養護』においては、同時合格する必要がありますのでご注意ください。
受験資格については、保育士とは関係のない学科でも、大学・短大・専門学校(2年以上)を卒業していれば可と定められているので、看護師はすでに受験資格があります。
参考:保育士試験を受ける方へ|一般社団法人全国保育士養成協議会 (hoyokyo.or.jp)
【2】指定保育士養成施設を卒業する
保育士になるもうひとつの方法として、指定保育士養成施設(大学・短大・専門学校)を卒業する、という方法があります。
前述した保育士試験は、実は合格率が低いと言われて、管轄となる厚生労働省の発表によると、近年おおむね20%前後とのこと。5人に1人と考えると、難易度は高めと言えるのではないでしょうか。
一方、指定保育士養成施設の場合、決められた単位を取って卒業すれば、保育士資格を取得できます。
働きながら資格取得を目指したい方には、保育士資格試験の受験はオススメですが、働きながら独学や通信講座でコツコツ学ぶのは相当の体力と精神力を必要とします。
そのため、仲間ができ、実習で現場のノウハウを学べる指定保育士養成施設への進学も検討してみてはいかがでしょうか?
参考:厚生労働省「保育士の現状と主な取組」
看護師には保育士資格を取得せず保育園で働く「保育園看護師」という道もある!
ここまで、ダブルライセンスのメリットや保育士資格取得の仕方をお伝えしてきましたが、実は看護師には、保育士資格を取得せずに保育園で働く道があります。
『保育園看護師』という職業をご存知でしょうか?
看護師の資格があれば保育の現場で活躍できるので、保育園の求人で看護師を探してみるのも手です。
社会福祉系のハローワークや、保育園専門の求人サイトなどをチェックしてみるのも良いでしょう。
かつて乳児保育園では、ゼロ歳児9人以上で1人看護師を配置しなければならない基準が定められていました。現在では、看護師不足や運営費の関係などの理由から努力義務のみとなっております。
しかし、園児の安全や質の良い保育を考えれば、看護師の必要性は叫ばれています。
そのため、地域によっては3歳児未満を保育する場合においての看護師の配置を条件付けしている所もあります。
また、積極的な看護師採用のため、各自治体で看護師配置加算制度を取り入れているところもあります。
看護師配置加算を支給されると、保育園にとっても経済的なメリットも大きく、保育士や保護者にとっても安心材料となります。
さらに、乳児(ゼロ歳児)4人以上在籍する保育園では、看護師または保健師1名に限り、「みなし特例」として保育士の配置にカウントする事ができると定められています。
このみなし特例により、保育士の配置基準を満たしつつ、看護師としての知識と資格を持った人材を配置できるのであれば、とても心強い存在として積極的に看護師を採用したい保育園が多くなってきているのです。
このように保育園看護師は、必要とされているのに人材が不足しているので、挑戦してみてはいかがでしょうか?
保育園看護師とは?
それでは、保育園看護師とは、具体的にどのような働き方をしているのか、仕事内容や給料についてお話いたします。
保育園看護師の仕事内容
保育園看護師の主な仕事は、子どもたちの健康管理と保健指導、そして環境衛生管理です。
具体的には、以下のような内容になります。
・日々の子どもたちの体調チェック
・体調不良の子どものお世話
・ケガ人が出た時の処置
・必要な時は病院へ引率
・服薬する子どものサポート
・病児や病後児のサポート
・アレルギーを持つ子どものサポート
・感染症が出た時の対応及び感染拡大予防
・子どもや保護者、保育者への保健指導や情報提供
・健康診断や歯科検診の補助
・施設内や保育室等の環境衛生管理
保育士や保護者との連携も必須のため、コミュニケーションは欠かせません。
また、実際に子どもたちと関わることも多く、乳児クラスから年長クラスまで、園全体の子どもたちの健康管理に努めます。
保育園看護師の給料相場
子ども家庭庁発表の「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果」によると、保育士の平均年収は役職を除いて公立私立ともに360万円前後です。
一方、看護師は常勤の場合、公立保育園で約476万円、私立保育園で約408万円でした。
つまり保育園看護師は、保育士と比較して公立で110万円以上、私立で50万円近く年収が高いという事です。
あくまで平均データであり、雇用形態や経営主体によっても変わりますが、保育士より看護師の方が高い給料という事は、どこの園でも変わりません。
しかし看護師の中で比較すると、病院で働く看護師より年収は低めになります。
保育園勤務の場合、夜勤や終日出勤がなくなるため、その手当てが無くなり手取りが減るというイメージです。
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、看護師の平均年収は約488万円でした。
公立保育園に就職すれば、12万円の年収減になり、私立では80万円も減収になります。
ただし、私立保育園は種類や経営主体によって差に開きがあります。
公立保育園は、正規職員を目指すなら公務員試験を受けなければなりませんし、定着率が良いため、なかなか空きがないという状況です。
私立保育園や認定こども園なども視野に入れ、求人を探す時はしっかり見極めて納得のいく条件を探すと良いでしょう。
参考:子ども家庭庁発表の「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果」
保育園看護師の求人傾向
前述したように、保育園看護師の需要は高まっていることもあり、求人は豊富にあります。
しかし、働きながらの情報収集や、保育業界は初めてで知人もいない場合、情報を集めるのが難しいのではないでしょうか。
そんな時は、看護師専門転職サイトよりも、保育園専門求人サイトをオススメします。
登録することで、最適な情報が手に入るでしょう。
看護師(正看護師)の他准看護師の求人、正社員の他にパート・アルバイトなど、勤務形態も条件も様々な求人がありますので、ご自分に合った園を探してみてください。
また、保育園看護師向けの研修が充実しているなど、給与以外の条件もしっかりチェックしてみましょう。
研修制度や保育園看護師同士の情報交換など、横のつながりがあると安心です。
保育園看護師として働くメリット
ここで、保育園看護師として働くメリットをご紹介します。
メリット1:夜勤がない
保育園は、当然のことながら夜勤がありません。
夜勤や交代シフト制勤務で体がきつい、家庭との両立が大変だと感じている方には、保育園で定時退社ができる勤務形態は非常に魅力的ではないでしょうか。
メリット2:看護の知識や経験を活かせる
保育園は、看護の知識や経験を充分に活かせる職場です。
注射や点滴と言った医療行為は基本的にありませんが、子どもたちの健康管理や病気・ケガのお世話、環境衛生管理などは、看護師だからこその知識と経験が発揮されます。
しかも、子どもたちにとって、よりよい環境を提供できて保育の質も高まるので、あなたの存在はとても重宝されるでしょう。
メリット3:カレンダー通りに休みが取れる
雇用形態や保育園によっても違いますが、基本的に保育園看護師は土日や祝日が休みで、カレンダー通りの事が多いと言えます。
まれに、保護者会や保護者参加の保育園行事などで、日曜出勤になることがありますが、ほとんどがカレンダー通りとなり、家庭と両立がしやすい環境ではないでしょうか。
保育園看護師として働くデメリット
メリットだけでなく、保育園看護師として働くデメリットもお伝えしておきます。
デメリットも理解したうえで、自分は何を優先するのが良いのか考えてみてください。
デメリット1:医療機関に勤める看護師よりも給料が低い
前述したように、病院で働く看護師より年収は低めになります。
看護師の平均年収は488万円(厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」)に対して、保育園看護師は、正規職員だとしても公立保育園で476万円、私立保育園で408万円ほどです。
公立保育園に就職すれば、12万円、私立保育園では80万円ほどの年収減になり、非正規雇用はさらに年収は低くなります。
雇用形態や勤続年数によっても変わってきますが、今まで病院に勤務する看護師であれば、おそらく減収は避けられないかもしれません。
やりがいや家庭との両立など、いろいろ考えて優先順位を決めるのも良いでしょう。
デメリット2:同じ職種の同僚が少なく相談しにくい
保育園看護師は、1つの園に1人配置されている場合がほとんどです。
大規模な保育園を経営している会社であれば、別の園に配属されている同僚や先輩もいるかもしれませんが、ほとんどの場合は孤軍奮闘しています。
同じ職種の先輩や同僚がいなくて相談相手がいない、相談しにくい、という環境はなかなか厳しいデメリットと言えます。
ただし、これを補填するような、情報交換や交流の場・研修の仕組みが充実している園もあるので、ぜひ探してみてください。
看護師はダブルライセンスを取得しなくても保育の現場で働ける!
いかがでしたでしょうか?
保育士の資格取得のメリットや取得の方法とともに、看護師はダブルライセンスを取得しなくても保育の現場で働けるということをお伝えしました。
資格取得には時間もお金もかかります。
今のあなたが保育園で重宝されるのであれば、保育士の資格取得にこだわらずチャレンジしてみるのも1つの手です。
保育士になりたいのか、看護師のままでも子どもと関わることが好きなのか、ぜひ考えてみてください。