保育のコラム

障がい児保育とは?保育士が知っておくべき障がい児との接し方のポイント!

2020/09/08

障がい児保育について悩む保育士が増えていると言われています。

厚生労働省の発表した資料「保育所における障害児の増加」によると、障がいのある児童の障がい児保育について悩む保育士が増えていると言われています。

厚生労働省の発表した資料「保育所における障害児の増加」によると、障がいのある児童の保育園への在籍数も年々増えています。

つまり、障がい児保育の必要性が年々増してきているという事になります。

しかし、一方で障がい児の保育についての知識や経験のない保育士が多数を占め、保育現場ではその指導や配慮について悩みも増えてきています。

一口に障がいといっても、特徴や障がいの程度は人それぞれであり、一律に「こう保育すれば良い」というものでもないからです。

今回の記事では、障がい児保育とは一体何か、ということから実際に保育園で障がい児をお預かりし、健常児と一緒に保育することになった場合に注意しておくべきポイントについてご紹介いたします。

“ずっと保育士編集部”

【記事監修】ずっと保育士編集部

「ずっと保育士」は、保育ひとすじ28年の株式会社明日香が運営する保育専門のキャリアサポートサービスです。結婚や出産、育児など、目まぐるしく変わるライフステージの中で、その時その時にぴったり合うお仕事を紹介したい。そして、保育の仕事でずっと輝き続けるあなたを応援したい、という想いで保育士の就職、転職、復職などのキャリア支援を行っています。また、「ずっと保育士」では保育士さんの疑問や悩みなどを少しでも解決すべくコラムを通した情報発信も積極的に行っています。

障がい児保育とは?

障がい児保育とは、療育手帳を持っている子供に対し行われる保育の事です。

主に障がい児専門の障がい児通所支援サービス施設や障がい児受け入れも行なっている保育施設で実施されています。

障がい児専門の障がい児通所支援サービス施設とは、福祉型児童発達支援センター、医療型児童発達支援センターに分けられます。

日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練などの内容が中心になってくるのが福祉型児童発達支援センターで、一方、上肢、下肢または体幹の機能に障がいを持つ子どもが利用するのが医療型児童発達支援センターです。

保育園では市町村などで設けられた基準に従い障がい児保育が行われます。

障がい児保育の基準は市町村、保育園、障がいの程度などにより異なってきますが、「障がい児3人に対し保育士1人」が一般的です。

また、障がいが重い場合には、1対1の保育となる場合もあります。

最近では障がいを抱えていると気づいていがない、もしくは認めていない保護者も増えてきているため、他の子どもへの他害など明らかに症状がある場合には、園の判断で加配保育士の配置が行われることもあります。

加配保育士の配置を行なった保育園で健常児とともに行う障がい児保育は、「統合保育」とも呼ばれます。

統合保育とは?障がい児保育との違い

統合保育とは、障がい児と健常児を一緒に保育することです。

障がい児と健常児を同時に保育することで、健常児は人を気遣う気持ちや、障がいを持った人を受け入れる気持ちを自然に理解し、また障がい児は健常児からの刺激を受け、社会性を身につけることを学ぶことができるというメリットがあります。

しかし、一方で学習面などは大きくさが出てしまうことから、カリキュラム編成などに課題があります。

障がい児保育のように全てのペースを個人に合わせていくわけにはいかないため、加配保育士による個別での対応が必須となりますが、それだけではまだ十分とは言えません。

加配の保育士はいるものの、子供達が悪意なく行ってしまうからかいや仲間外れなどの発見や対処には十分に保育士が当てられているとは言えないという課題もあります。

さらに、障がいに対する十分な知識を備えた保育士はそれほど多くなく、適切な保育ができないという課題もあります。

障がい児保育への関心は高くなってきている!

保育園の認可基準の緩和に伴い、政府や行政では、障がい児を受け入れる施設の増加も検討しています。

内閣府の発表した「少子化社会対策白書」によれば、特に支援が必要な子どもが健やかに育つように、保育現場でも積極的に障がい児保育に取り組む方針を示しています。

統合保育を行う保育園自体も増えてきたため、たとえ普通の保育施設で働いていたとしても、いつ障がい児の担当になってもおかしくないようになりました。

障がい児保育とは何かを知らないと、「なんとなく怖い」「難しそう」「神経を使いそう」などと思い込みや先入観で怖さや焦りを感じてしまうことにもなってしまいます。

急に障がい児保育を行うことになってしまった場合に怖さや焦りを感じないためには、しっかりと障がい児保育についての知識を持つことが大切です。

障がい児保育に学ぶ!障がい児との接し方や配慮のポイント!

保育士の悩みで多いのが「障がい児への接し方」などです。

腫れ物を扱うようにしてしまったり、または一生懸命に接しようとするばかりに、ガミガミと叱ってしまったり、無理やり矯正させようとしてお互いに消耗してしまうこともあります。

保護者の理解度にもよりますが、家庭との連携ができなかったり、園長などにも相談できない場合、こういった悩みを打ち明けることもできずに、悩んでそのまま退職してしまう保育士もいるほどです。

そこで、障がいを持つ子どもの担当になった場合には、どのようなポイントを抑えて取り組むと良いのでしょうか?

ここからは障がい児への接し方を5つのポイントに分けて説明します。

ポイント1:障がいに関する正しい知識を身につける

障がいと一口に言っても、身体的な障がいから精神的な障がい、知的な障がいまで人によって障がいの種類と程度は様々で、人によって接し方や配慮のポイントは全く違います。

ある程度共通する障がいについては、知識を本やWebサイトなどで学んでおくことは自分でもできます。

障がいの中でも、発達障がいについては本コラムの「保育士として知っておきたい発達障がいの子どもとの関わり方と対応のケーススタディ!」の記事にも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

ポイント2:障がいを持つ子どもの保護者に具体的な接し方や配慮のポイントを聞く

障がいをもつ子どもを普通の保育施設に預けことを一番心配しているのは保護者です。

そのため、保育士が自分でその子の障がいについて正しい知識を勉強するのも大切ですが、一概に「この障がいの子どもはこう接すれば良い」と決めつけるのは危険です。

まずは保護者とのお話の中で、具体的な接し方や配慮のポイントなどを直接聞いてみるのが良いでしょう。

障がいを抱えた子どもは、他の子どもと同じ対応をしていても、時に混乱やパニックを引き起こすこともあります。

保護者からの情報を得て、保育園でも家庭と同一のコミュニケーションをとることは、子どもにとって、家庭も保育園もどちらも安心して過ごせる場になるという効果が期待できます。

また、保護者にとっても、「こんなに配慮してもらえるのか」という安心感にも繋がり、互いにとってより良いコミュニケーションとなるでしょう。

ポイント3:保護者とのコミュニケーションを密に!

障がい児の担当になった場合に大切なのは、まずは障がい児ではなく、その子の保護者とのコミュニケーションです。

保護者自身にとっても障がいをもつ子供の対応には苦慮していることは多いですし、ぱっと見ではわからない障がいは保護者の方でさえ気がついていなかったり、認めたくないという感情を持っている場合もあります。

むやみやたらとに家庭での状況を聞いて「お母さんがしっかり対応を考えなくてはいけません」などと言ったり、「あの子は発達障がいの可能性があります」などと伝えては家庭との信頼関係を築くことは難しいと言えます。

あくまでその子の行動や言動などをベースに、保護者と共に育てるという気持ちの寄り添ったコミュニケーションをしていく必要があります。

ポイント4:あくまで優しく冷静に子どもと向き合う!

障がいのある子どもをむやみに叱ってもなんの解決にもなりません。

下肢が不自由な子供が列に早く並べなくて怒るなどは、言語同断です。

ただし、障がいの症状が分かりづらい発達障がいなどの子供に関しては、指導のつもりでもつい言いすぎてしまうこともしばしばあるかもしれません。

障がいを持つ子どもに対しては冷静に、優しく愛情を持って向き合いましょう。

あくまで障がいではなく、その子の個性として保育士自身が受け入れることが大切です。

他の子供からは「◉◉くん、◉◉ちゃんだけずるい!」と言われることもあるかもしれません。

しかし、障がいを理解し、個性として捉え、「みんなにも苦手なことあるでしょう?◉◉くん、◉◉ちゃんはこれが苦手なんだよ。みんなで助け合おう!」と冷静に優しく理解を促してあげることが大切です。

ポイント5:一人で抱え込まない!時にはSOSを出す!

障がいの子供についてはこれまでほとんど指導や研修の機会もなかったという保育士の方も多いのではないでしょうか。

いざ障がい児保育をすることになってしまえば、どうすればいいか分からず悩んでしまいます。

悩んだ時には一人で抱え込まず、周りの保育士などに「助けてください」とヘルプを出しましょう。

大抵の悩み事は、一人で抱え込んでもなんの解決にならないことがほとんどですし、解決せずに一番困るのは子どもです。

同僚だけではなく、園長先生や、看護師、実際に障がい児保育などをやっている友人の保育士などに相談をしてみるなど、第三者に相談するだけでも負担が軽くなります。

「子供にとって、どうすれば一番良い成長ができるのか」こそが保育士が本当に悩むべきことで、一人で解決する必要などは全くないのです。

障がい児保育に関する研修も受けてみるのもおすすめ!

障がい児保育には障がい児に関する深い知識が必要不可欠です。

「障がい児への接し方や配慮の仕方」などに悩んでいるのであれば、そういった研修も受けてみるのがおすすめです。

自治体が行う保育士等キャリアアップ研修のカリキュラムにも一部に障がい児保育についての項目がありますし、民間での保育セミナーでも、テーマによっては障がい児保育が取り上げられる場合もあります。

特に民間の保育セミナーなどはワークショップ形式やケーススタディ形式のものもありますので、周囲にいる同じく障がい児保育に悩む方とディスカッションすることが可能です。

周りの保育士がどんな風に保育しているのかを聞くだけでも、悩みの解決に向けたヒントになるかもしれません。

障がい児保育に悩んでいる場合には、ぜひ、そういった外部研修に積極的に探して参加してみてください。

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