保育のコラム

【保育士の給料事情が丸っとわかる!】保育士給料ガイド

2020/06/02

保育士の平均給与額は年々上がり続けています。

保育士ごとの差はありますが、昨今の保育士不足を受けて平均年収額は上がり続けています。

保育士の給料の差は「都道府県」「職種」「働く施設の規模」という違いによって生まれます。

保育士の給与の大部分は国や自治体からの補助金で賄われています。

保育士が活躍する場所は保育園だけではなく、職種によっては夜勤があるところや、給料体系が大きく異なるところもあるので、そこでばらつきが生じます。

保育士の給料を決定する軸となるのは「経験年数」と「役職」です。

役職手当や、賞与、住宅手当や通勤手当がもらえる職場もあります。

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「保育士は給料が低い」という話は保育士ならばよく聞くのではないでしょうか。

実際国会でも問題になるほどの処遇の悪さは、現場で苦労しながらも報われない保育士の実態についてよく表していました。

とは言え、保育士として働いている方からはこんな言葉も聞こえてきます。

「低いひくいとは思っているけれど、実際他の保育士がどのくらいもらっているのかも知らないし、どれぐらいが適正なお給料と言えるのかわからない。今後についても、いろんな施策でお給料が上がると聞いているが、いつ上がるのか、どのくらい上がるのかわからないので転職も考えると躊躇してしまう」

そこで、今回は保育士の給料相場について気になる数字を具体的に解説します。

あくまで一般的な、とはなりますが、今のあなたと比較して保育士の給料相場がどうなっているのか確認してみてください。

“ずっと保育士編集部”

【記事監修】ずっと保育士編集部

「ずっと保育士」は、保育ひとすじ28年の株式会社明日香が運営する保育専門のキャリアサポートサービスです。結婚や出産、育児など、目まぐるしく変わるライフステージの中で、その時その時にぴったり合うお仕事を紹介したい。そして、保育の仕事でずっと輝き続けるあなたを応援したい、という想いで保育士の就職、転職、復職などのキャリア支援を行っています。また、「ずっと保育士」では保育士さんの疑問や悩みなどを少しでも解決すべくコラムを通した情報発信も積極的に行っています。

保育士の給料相場はどれぐらい?

厚生労働省が平成29年に発表した賃金構造基本統計調査によると、保育士の平均給与は、平成29年には約342万円となっています。

同じ調査の全職種を対象とした平均収入は約441万円のため、保育士の年収は低く見えるでしょう。

しかし、保育士単体でみてみるとどうでしょうか。

下記の図は平成25年以降の平均給与を示したグラフです。

図1:保育士の平均年収の推移

保育士の平均年収の推移

-出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査

国会などでも保育士の処遇について問題になった平成25年より政府がいくつかの対策を行い、その成果が確実に現れていることを示しています。

その結果、微増ではあるもの、毎年確実に年収ベースで増えています。

>>「保育士の平均年収や給料相場ってどれくらい?」の記事を見る

もちろん、保育士の年収相場は都道府県や、職場の種類、役職、雇用形態によっても大きく変わります。

その違いについて、違いの現れるケースを下記にまとめていきます。

男女による給料の違い

保育士の男女による年収は下記の表の通りになっています。

性別

年収

女性

約382万円

男性

約356万円

- 出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」

年収ベースで約26万円程度、約1ヶ月分の月給程度の違いがあることがわかります。

実は、保育士という仕事自体は、男女平等なので一般保育士の給与自体に違いはありません。

なぜこれほどに違いがあるかというと、男性保育士の勤務する保育園の差です。

一般的にはまだまだ男性保育士自体少なく、また保育士の給与水準では家庭生活を成り立たせることが難しいということもあり、男性保育士として勤務している人の多くが公務員、もしくは役職者です。

そのため、男女比で統計を取った時に給与差が発生していると考えられています。

都道府県別による給料の違い

まずは各都道府県が定めている最低賃金に差があることが根底にあるため、人口や雇用状況、産業、経済力に地域差があるため、賃金の差はどの業種でも起こり得ているという前提があります。

ただ、保育士ならではの事情もあります。

保育士の給与の大部分は国や自治体からの補助金です。

国からの補助金は、人口が多かったり物価が高かったりする地域にはより多くの補助金が支給されます。

そのため、勤務する都道府県やエリアは保育士の給与を左右する大きな要因です。

また、保育は福祉の分野に当たりますので、各自治体が福祉にどれくらいの予算を割いているかによっても異なってきます。

>>「保育士の給料が高い地域・都道府県ってあるのでしょうか?」の記事を見る

現在、保育士の給料が高い地域とその理由は下記の表を参考にしてみてください。

都道府県

給料相場と給料が高い理由

【1】愛知県

愛知県には民間の「社会福祉施設運営補助金」などをはじめ保育士の民間保育園と公立保育園と処遇改善を実施。

世界的自動車メーカーをはじめ、メーカー系大企業が多く、自治体の財源である税収がしっかりと確保されている。

【2】京都府

京都式保育人材キャリアパスという制度実施。

保育士の今後のキャリアパスのロードマップを可視化し、生涯にわたってのキャリアを明確にするなど保育士が長く勤められる仕組みを根底から改善する取り組みをしている。

【3】東京都

最低賃金が最も高く、求人数も多い。

人口も多く、税収が多いため福祉にかける予算も他都道府県よりも多い。

復職支援などを積極的に行い、保育士の待遇改善施策を独自に進めている。

職種による給料の違い

保育士が活躍する場所は保育園だけではなく、幼稚園や乳児を保育する乳児院や児童福祉施設、学童保育など実に様々な活躍場所があります。

職種によっては夜勤があったり、給料体型が大きく異なるため給料にばらつきがでることもありますので、特に高いとされている次の職種について給料相場と、給料がなぜ高いのかの理由を次の表にまとめていきます。

職種

給料相場と給料が高い理由

【1】公立保育士(公務員)

一般行政職という公務員に該当するため、給料が高くなります。

>>「公務員の保育士の給料はどれくらいですか?他の保育士と比べて高いですか?」の記事を見る

【2】院内保育士

看護師と同等の給与水準になることが多く、給料は高めに設定されていることが多い。

>>「院内保育が保育士に人気な理由とは?気になる仕事内容や給料について」の記事を見る

【3】企業内保育士

運営元企業によりバラツキはあるが、大手企業が多く、給与テーブル自体が高めに設定されていることが多い。

>>「企業内保育所で働く保育士の仕事内容とは?給料や求人は?」の記事を見る

【4】乳児院保育士

夜勤などが恒常的に発生するため、深夜割増手当を含む給与になる。

>>「乳児院の保育士の仕事内容とは?求人の傾向や探し方について」の記事を見る

それぞれについて、詳しく書いた記事もありますので、参考にしてみてください。

>>「保育士資格が活かせる仕事の中で給料の高い仕事は何ですか?」の記事を見る

>>「幼稚園教諭と保育士ってどれくらい給料額が違ってくるのでしょうか?」の記事を見る

雇用形態による給料の違い

保育士の給料の違いに最も影響を与えるのが雇用形態です。

正職員、派遣、バイト、パートなど雇用形態によってそれぞれ異なります。

また同じ給料であっても、ボーナスの有無や手当の有無などで年収ベースでは差が出ることがあります。

雇用形態

給料相場

正職員(正社員)

月給制。

新卒初任給は19万程度からとなります。

また、給与以外にも交通費、諸手当、ボーナス、役職手当などが付与されます。

臨時職員

月給もしくは日給制

報酬相場は下記の通りです。
月給制16万円〜18万円前後
日給制7000円〜9000円前後

諸手当やボーナスの付与は契約内容に従うため、就業前の確認が必要

契約職員

月給もしくは日給制

報酬相場は下記の通りです。
月給制16万円〜18万円前後
日給制7000円〜9000円前後

諸手当やボーナスの付与は契約内容に従うため、就業前の確認が必要

派遣保育士

時給制。

時給1,300円〜1,700円程度が相場です。

>>「保育士の派遣の時給相場はどれくらいですか?普通の保育士に比べて給料は高いですか?」の記事を見る

>>「派遣保育士の給料は高い!?派遣保育士の給料体系と年収相場」の記事を見る

パート・アルバイト(有資格)

時給制。

時給1,000円前後が相場です。

諸手当やボーナスの付与は契約内容に従うため、就業前の確認が必要

パート・アルバイト(無資格)

時給制。

時給900円〜が相場です。

諸手当やボーナスの付与は契約内容に従うため、就業前の確認が必要

働く施設の規模による給料の違い

保育士といえど、公務員であったり会社員であったり、所属する施設によっても給料は異なります。

一概には言えませんが、施設規模の大きな保育園と小さな保育施設の規模によっても給料が変わってくることがあります。

施設規模の違いによっての給料の違いを次の表にまとめました。

施設の規模(従業員数)

平均年収

10〜99人

約360万円

100〜999人

約357万円

1,000人以上

約327万円

- 出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」

意外ですが、企業規模の小さい保育園の方が実際には給料が多い結果になっています。

保育士に対する補助金の額が増えたことや保育士確保のための企業努力などが考えられます。

また一方で1,000人以上の保育園については、年収では見えない福利厚生などの待遇の良さなどもあります。

就業を希望する場合は、求人票で確認すると良いでしょう。

保育士の給料体系と昇給の仕方

保育士の給料を決定する上で主な軸となるのが、経験年数と役職です。

経験年数が長く、役職があると最もわかりやすく給料は上がります。

では、実際保育士はどのようなキャリアパスを辿っていくのでしょうか。

具体的なポジションを確認してみましょう。

キャリアポジション

経験年数

仕事内容

クラス担任、副担任

0〜2年

日常の保育業務

保育指導計画の立案・評価

2年目以降は初任者の保育指導など

職務分野別リーダー

3年以上

職務分野のリーダー業務

*担当する職務分野の研修を修了し、発令を受けたもののみ

副主任保育士、専門リーダー

7年以上

主任保育士の補佐、専門分野でのまとめ役

*職務分野別リーダーを経験、キャリアアップ研修の修了し発令を受けたもののみ

主任保育士

8年以上

園長の補佐、保育士をまとめるリーダー役

園長

10年以上

保育園の運営全般、保育士の管理指導

役職やポジションによっても給料が上がっていきます。

実は職務分野別リーダー職や専門リーダー、副主任保育士などはかつてはほとんどありませんでした。

しかし、保育士の処遇改善に国が力を入れていくことを目的に始まったのがこれらのポジションです。

保育士等キャリアアップ研修を修了することで具体的には下記のような収入が月々手当として支給されます。

役職

支給額

職務分野別リーダー

月額5千円

副主任保育士 専門リーダー

月額4万円

保育士のキャリアはある程度年功序列的に昇進をすることもありますが、研修の受講や資格の取得によってスキルアップをしたり、転職やキャリアアップによって昇給をしていくことも可能です。

給料以外にもらえる手当

保育士は給料以外にも様々な手当がつくことがあります。

主な手当の種類について次の表をみてください。

手当の種類

概要

保育士資格手当

保育士資格を保有していることに対する資格手当です。最近ではパート等で無資格者も働くことがあるため、資格保有者は優遇されています。

特殊業務手当

行事など、特に忙しく労力を使う業務に対して支給される保育士ならではの手当です。

賞与(ボーナス)

年2回、夏と冬の時期に支給されることが一般的です。

役職手当

役職に応じて支給される手当です。

通勤手当

通勤交通費を全額もしくは一部負担してもらう手当です。

住宅手当

家賃等を補助する手当です。

保育園の各運営法人や所属する自治体によってこのほかにも手当が受けられる場合があります。

逆に手当等がほとんどない場合もあります。

就業する際は、お給料だけではなく手当等がどのように支給されるかも確認する方が良いでしょう。

給料を上げるためにはどうすればいい?

給料を上げるためにはどうすればいい?

保育士として働いていくために、お給料が上がるかどうかは大きな問題です。

ただ年功序列の階段が上がるのを待っているだけでは得策とは言えません。

そこで、実際にどのようにすれば具体的にお給料が上がるのかみていきましょう。

保育士の給料の今後!

保育士の仕事の大変さとお給料のバランスが悪く、年収も低くなる一方であった保育士業界ですが、平成25年から「保育士等のキャリアアップ研修」や「ベースアップ」などが具体的な施策として実行されてきたこともあり、保育士の年収は目に見えて上がってきています。

保育士数と保育士の年収の推移

働く女性が増え、保育園へのニーズがあるにも関わらず、保育士不足により保育所の開設がうまくいかないなどの問題も顕著となり、今国は保育士の待遇改善に最も力を入れてきていることがわかるでしょう。

働き手にとって実感して保育士の給料が上がるようにもなってきています。

そもそも保育士の給料はなぜ安かったのか?

そもそも保育士の給料が安かった理由は、福祉施設であることで主な資金源である税金の公費があまり高くなかったことが原因です。

施設の運営費、保育経費、給食の食材などの必要経費を削ることができないため、しわ寄せが人件費となっていたことも事実で、保育士は少ない金額でたくさん働かなければならないという極限の状態になっていました。

また、この給料のやすさは保育士不足の一因ともなっており、保育士業界が完全な負のスパイラルに入っていたとも言えます。

このことについては、現在国をあげて予算を確保している段階に入っていることから、今後の展望は上向くとも考えられています。

保育士の給料がなぜやすいのかについては、次の記事に詳しく回答しています。

>>「保育士の給料は今後本当に上がるんですか?処遇改善でいつから引き上げが始まるのでしょうか?」の記事を見る

保育士の給料に関するよくある質問

保育士の給料に関するよくある質問

ここまで見てきたように保育士の給料については、働いている環境によっても大きく異なります。

そこで、明日香の保育士キャリアコンサルタントがよく受けるお給料についての質問についてご紹介します。

質問1:学歴によって給料が変わるの?

保育士は、公務員保育士を除き、学歴によって給料に差は出ません。

公務員は保育士であっても、一般行政職として自治体の給与テーブルに従います。

そのため大卒と高卒では基本的な給与テーブルが異なり差があるのです。

また、一般的な保育園でも正社員であれば、大卒と短大卒・専門卒で給与が異なることが多いです。

ただし、パートやアルバイト、派遣保育士については学歴による給与差はほとんどないでしょう。

>>「保育士の給料は短大、大学、専門と、学歴によって違いはあるのでしょうか?」の記事を見る

質問2:産休や育休中の給料は出るの?

保育士も会社員と同じように企業や団体に所属し給与を受けるサラリーマンです。

そのため、雇用条件により雇用保険や社会保険、健康保険等に当然加入しています。

産休や育休中はお勤めの保育園からお給料は出ませんが、これらの保険から支払われる手当によってお給料の一定額が保証されています。

>>「保育士は産休・育休中、給料をもらえるのでしょうか?もらえるとしたらどれぐらい?」の記事を見る

質問3:幼保無償化による保育士の給料への影響は?

幼保無償化が2019年10月より始まりました。

しかしこの政策による保育士の給料への影響はありません。

あくまで保護者の方が保育園へ支払う金額がなくなったということだけで、保育施設への影響はないです。

>>「幼児教育無償化によって保育士の給料はどうなるのでしょうか?」の記事を見る

質問4:保育士の給料は平均水準と比べて高い?低い?

日本人の全職種の平均年収は約432万円(※1)でした。

同調査では、保育士の平均年収は342万円でしたので、実に90万円も差があることになります。

ただし、現在保育士の9割以上が女性です。

女性の平均年収は同調査でも約287万円となっていますので、保育士の給料は低い低いと言われていますが、女性平均から考えると55万円ほど高いとも言えます。

保育士の給料水準は今後さらに向上する

今回は保育士の給与水準を中心にまとめました。

保育士はこれまで収入が低すぎること、残業等仕事時間が長いことなど処遇の悪さで折角保育士資格を取得しているにも関わらず、保育士として働いていない人が多くいるなどの問題を抱えてきました。

しかし、国の政策として処遇改善がなされていることもあり、徐々にその給料水準は上がってきており、待遇も改善してきています。

現在働いている保育士にとっても、保育士等キャリアアップ研修等を受講することで具体的にお給料が上がったり、転職などによっても環境を変化させることができるようになっています。

株式会社明日香ではそういった「今現在の給料に満足していない人」のサポートも行なっており、保育士の地位向上と働く満足度の向上に努めています。

今の環境で保育士としてのお給料に満足ができていないというかたは、ぜひ相談にきてみてください。

※1:参考元:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」

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