保育士の資格が活かせる保育園以外の仕事の種類と就職先
2020/09/01
保育士の資格を活かして働ける職場は、保育園のみではありません。
実は、保育園以外にも保育士の資格を活かせる仕事や職場はたくさんあります。
また、待機児童問題や、共働きの増加によって、保育士資格保有者が活躍できる仕事や職場の種類も年々広がってきています。
保育士の資格取得者は、資格取得の過程で子どもの成長に必要な高度な知識を持っています。
保育園以外にもたくさんの場所でその専門性が必要とされてきているのです。
では、保育園以外にどのような仕事や職場で、保育士資格を活かして働くことができるのでしょうか。
本記事では、保育園以外で、保育士資格を活かして活躍できる仕事や職場の種類についてご紹介していきます。
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【記事監修】ずっと保育士編集部
「ずっと保育士」は、保育ひとすじ28年の株式会社明日香が運営する保育専門のキャリアサポートサービスです。結婚や出産、育児など、目まぐるしく変わるライフステージの中で、その時その時にぴったり合うお仕事を紹介したい。そして、保育の仕事でずっと輝き続けるあなたを応援したい、という想いで保育士の就職、転職、復職などのキャリア支援を行っています。また、「ずっと保育士」では保育士さんの疑問や悩みなどを少しでも解決すべくコラムを通した情報発信も積極的に行っています。
保育士資格を活かせる就職先とは?
保育士の仕事というと、保育園で働くイメージが強いと思います。
しかし、近年、待機児童問題や共働きの増加、子どもへの教育の多様化にともない、保育園以外にも、保育士資格を活かせる仕事や職場が増えてきています。
保育士資格を活かして働ける仕事や職場は、下記のように多種にわたり、今後はこれら以外にも、ますます広がっていくでしょう。
表1:保育士の資格が活かせる職場
ここからは、それぞれの施設で具体的にどのような仕事をしているのか、詳細をご紹介していきます。
保育園・保育所
保育園とは未就学児童を対象に、保育を行う施設です。
就業、病気、介護など様々な事情で家庭での保育が難しいお子さんをお預かりする福祉施設の一つですので、厚生労働省の管轄になります。
お預かりする子供は0歳から6歳までと幅広く、子どもの成長を保護者とともに見守り、支援していきます。
保育園や保育所での仕事内容については、仕事内容をまとめた記事をご紹介しますので、ご覧ください。
>>「保育士の仕事内容や1日のスケジュールは?仕事時間はどれぐらい?」の記事を見る
幼稚園
幼稚園で働くために必要な資格は幼稚園教諭免状です。
現在保育士として働いている方でも、保育士養成機関で学んだ際に、幼稚園教諭免状とともに取得されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
保育園と、幼稚園は似て非なるところはある就業先ではありますが、現在は延長保育などを含めて、子どもを保育する時間がどんどん伸びている幼稚園。
保育士の経験を生かして働くことも可能です。
また、幼稚園は幼保一体型の園が増えています。
詳しくは次項のこども園にてご紹介しますが、「保育士だから保育園だけ」ではなく、幼稚園という選択肢も、経験を活かせる場になっています。
こども園
こども園とはこれまで文部科学省が管轄していた幼稚園と、厚生労働省が管轄していた保育園を一体化させ、「教育と保育」を融合させた施設のことです。
保育自体は同時に行いますが、内部では幼稚園コースと保育園コースに分かれている園が多いです。
こども園で働くメリットは、幅広いお子さんを見る機会を得ることができるという点です。
また、「保育」という観点以外にも「教育」という観点で子どもたちを指導する立場になることは、スキルアップに繋がるでしょう。
こども園では、子どもたちにお昼寝の時間がない場合もあります。
そのため預かり時間が短くお昼寝がない場合は、これまでお昼寝中に行っていた事務作業や工作の準備、お便りの作成などが勤務内に行うことができなくなることもあります。
また幼稚園型のこども園では、保護者会の結束も強く、協力をしていただける一方で園の方針について、丁寧に理解を求める必要もあります。
これまで保育士としてのキャリアを積んできた方にとっては、様々な意見が飛び交う新鮮なやり取りになるかもしれません。
なお、こども園では、保育士資格と幼稚園教諭免状の両方を持っていることが求められます。
とくに幼保一体型と言われる形態のこども園は両方を持っていることが必須です。
令和12年までは、保育士資格を持ち保育士として「3年かつ4320時間の勤務経験」があれば幼稚園教諭の免状の取得ができる特例措置がありますので、令和12年3月31日までに取得を検討しておくと、のちのち活躍の場が増えるかもしれません。
>>「保育士資格だけで働ける?知っておきたい「認定こども園」について」の記事を見る
病児保育室(病棟保育室)
病棟保育室とは、病気や怪我などで入院する子どもたちの保育を行う保育施設のことで、そこで働く保育士のことを、病児保育士、病棟保育士と呼びます。
主には小児科病棟で勤務することが多く、医療保育士とも呼ばれることがあります。
院内保育士と混同する場合がありますが、院内保育士とは院内で働く医師や看護師などの子どもを対象にした保育所の保育士のため、異なります。
病棟保育士の仕事は、0歳から18歳までの幅広い年齢の子どもを対象にしており、プレイルームで遊んだり、学習支援まで多岐にわたります。
プレイルームにまで来ることができない子には、病室まで足を運んで紙芝居や折り紙など、体の負担にならないよう配慮した保育が必要です。
中でも病棟保育士には、入院や治療により様々な制限を受けたり、生活環境が変わって不安な気持ちでいる子どもたちの、心に寄り添った保育が求められるでしょう。
病児保育士は、病棟内で働きますが、医療行為には携わりません。
夜間の医療ケアなども医師や看護師が行うため、夜勤もありません。
ただし、保育時間中は保育している子どもたちの病状を把握して、緊急時には適切な処置や保育、介助が求められます。
病状を理解する程度には、医療知識を身につけておく必要があります。
2007年には「医療保育士」という認定資格が日本医療保育学会より発行されており、病棟保育士の専門性が求められるようになりました。
不安なお子さんの気持ちに寄り添い、楽しい時間を過ごすことで、子ども達は前向きに治療に取り組むことができるかもしれません。
元気になって退院する時には、苦しい治療を共に乗り越えた達成感や、大きなやりがいを感じることができるでしょう。
>>「病棟保育士(医療保育士)の仕事内容とは?求人の傾向についても解説!」の記事を見る
院内保育所
院内保育所とは、病院に付属する保育所のことで、病院で働く医療従事者の子どもを院内で保育するところです。
院内保育所が作られた背景には、医師や看護師の24時間365日体制の働き方が大きく関係しています。
病院では、医師や看護師などが24時間365日体制で働いています。
しかし、一般的な保育園は通常7時半から18時半の預かりが多く、延長保育があったとしても24時間の対応があるとことはほとんどありません。
そのため、子どもが幼い頃は一時的に仕事を離れなければならなかったり、働く時間を変えて働いたり、医師や看護師に仕事と家庭の両立をして、仕事を続けてもらいたい病院側にとっては大きな損失につながっていました。
それを解消する目的で設立しているのが院内保育です。
ただ、院内保育といっても、子どもを保育するという仕事自体には違いありませんが、院内保育は一般的な保育園に比べて、保育する人数が少ないのが特徴です。
また、保護者の勤務時間によってお預かりする子どもの人数が異なるため、年齢ごとにクラスを分けることが難しく、異年齢をまとめた形での異年齢保育を実施することが多くなります。
発達の違いも考慮した0歳〜2歳、3歳から6歳と分けて保育するケースもあります。
また、病院の規模によって、用意している施設の大きさも異なります。
広い施設内の一角を区切り保育所を別棟で立てている院内保育所から、建物内の空いたスペースを区切って保育所としていることもあります。
詳しくは下記の記事に詳しくまとめてあります。
>>「院内保育が保育士に人気な理由とは?気になる仕事内容や給料について」の記事を見る
企業内保育所
企業内保育所とは、従業員の子どもを保育するための、企業内に設けられた施設のことです。
子どもが保育所に入ることができず、なかなか復職できない従業員や、子どもの預け先確保のために奔走している従業員のために企業側が提供するいわゆる福利厚生の一環のような形で提供されています。
企業内保育所は、ほとんどの場合その企業の施設内に設けられ、企業の営業時間のみ保育を行なっています。
普通の保育園の場合は、「月曜日から土曜日の7時半頃から18時半頃」までの保育時間が一般的ですが、親がなかなか迎えに来ないために延長保育が実施されるケースが多く見られます。
しかし、企業内保育所については、「月曜日から金曜日の8時半頃から18時半」と完全土日週休二日制となっている場合もあれば、「月曜日から日曜日までの24時間」の中でシフト勤務制になる場合もあり、保育時間が企業の営業時間により変わってくるという点が普通の保育園と違います。
企業内保育所での保育士の仕事は、小規模保育園に近いと考えて良いと思います。
0歳から3歳のお子様が多いため、赤ちゃんから、少し自由に遊べるようになった幼児までいます。
「企業内保育所だから」という特別な仕事はありません。
ただし、保護者の方が近いということもあり、普通の保育園ではない密接なコミュニケーションが取れることは特徴の1つです。
例えば、休憩中に少し抜け出して、授乳をしにくるお母さんがいたりなどは、普通の保育園では出会うことのない光景です。
また、企業内保育所に預けるのは何も母親が働いている従業員とは限りません。
父親の働く会社の保育所という場合もあれば、両親ともに働いているということもあります。
普通の保育園ではどうしても母親主体で送迎や話し合いがなされることがありますが、父親の参加も非常に多いのが企業内保育所の特徴です。
保護者とともに子どもの成長を支援するという意味においては、親の「無関心」などの心配は必要なさそうです。
企業内保育士の仕事については、次の記事で詳しくまとめてあります。
>>「企業内保育所で働く保育士の仕事内容とは?給料や求人は?」の記事を見る
託児所
託児所とは国や自治体によって認可されていない保育施設のことです。
いわゆる「認可外保育施設」ですが、一般的に言う認可外保育園というよりは、企業内に設置されていたり、子どもを一時的に預かって面倒を見る施設と分類されることが多いでしょう。
最近では特色ある託児所も増えてきたため、一概には言えませんが、一般的な託児所では、短時間での一時預かりなども多いため、保育指針やねらいなどの年間計画、週報、連絡帳、お便りなど事務作業に時間が取られることはありません。
また、時間帯によっては外出もしないためお散歩や外遊びなどもありません。
屋内にて、手遊びや歌、本読みなど比較的穏やかに保育できるでしょう。
託児所は保育士資格を持っていなくても働くことができます。
そのため、保育士資格を持っているということであれば、保護者からの信頼も厚くなり、優遇されるでしょう。
ただし託児所で働く場合、保育士資格を持っていない人が中心になるため、我流の子育てをしている人たちと働くことになります。
保育士にとって常識であることが通用しないなど、保育方針に隔たりが生じてしまうこともある可能性もあります。
仕事のやり方や施設の方針は事前に確認をしておくと良いでしょう。
児童福祉施設
児童福祉施設とは、1998年に施行された改正・児童福祉法に規定された下記の14の施設を指し、児童福祉施設で働く保育士を「施設保育士」と呼びます。
施設保育士になるためには保育士資格は必須です。
表2:児童福祉施設一覧
中でも、児童養護施設は数が多く、よく知られた施設になるのではないでしょうか。
児童養護施設は、保護者のない児童、虐待されている児童その他環境上擁護を擁する児童を入所させて、これを擁護し、あわせて退所したものに対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設です。
24時間365日、まさに子どもにとって「家」と言える施設での仕事は、保護者に近い役割が求められます。
仕事内容は、日常生活の介助に加え、将来的な自立に向けた生活に必要な知識を学ばせていくといった仕事が中心になるでしょう。
また、虐待等で心に傷を負った子どもたちのケアは保護者以上の専門知識と、愛情を持って接する必要があります。
施設保育士の働き方は、シフト制で夜勤や休日出勤など、過酷であることは間違いありません。
しかし、子どもの保護者として、生活やメンタルを支えるやりがいも非常に高い仕事です。
心身ともに自立を助け、傷ついた子どもの成長を手助けしたい、という強い思いのある方や、福祉に対する熱い思いをお持ちのかたにはうってつけの職場であると言えます。
>>「保育士経験を生かせる児童指導員とは?必要な資格や仕事内容」の記事を見る
>>「児童擁護施設で働く保育士の役割や仕事内容は?」の記事を見る
乳児院
乳児院とは、原則として1歳未満の乳児を主に、必要があれば、小学校入学以前の幼児も療育することができる施設です。
かつての入所者理由は、戦災孤児や捨て子が大半を占めましたが、現在では児童虐待の被害者や父母の精神疾患、親の出産や入院時の一時預かり者の不在などが理由で、入所しています。
乳児院のお仕事とは、保護者に代わって子どもの生活を支えることです。
子どもにとって、乳児院は「家庭」です。
保育所では、日中の一部の時間を保育士のみで支えることに対し、乳児院は24時間を医師や看護師、保健師など他職種と連携しチームとなって養育します。
職員には、定期的な夜勤もあります。
乳児院では、保育士一人に1〜2名の担当乳児がつき、家庭的なイベントや入浴介助、定期健診、予防接種の付き添いなど、一般的な家庭で行われる機能を代行するのが、その仕事の中心です。
入所理由にもあるように、複雑な家庭環境から入所に至る子どもも多いため、愛情を注ぐことや心のケアは最も重要な仕事です。
胸を痛める環境に遭遇(そうぐう)することもありますが、自分の担当した乳児に関しては、児童相談所とのやり取りを行ったり、保護者や里親との定期的な面談を行いながら、子どもにとって最適な環境を作り出していくやりがいのある仕事です。
乳児院で働く場合、給与は一般的な保育所より高い傾向にあります。
夜勤手当等が最低でも5,000円以上が一般的ですし、運営が国や自治体に費用面で支えられていることから、経営も安定しており安心して働くことができます。
乳児院の仕事は、心理的ケアや保護者対応、夜勤など通常の保育所よりも厳しい環境での仕事も多いですが、その分、やりがいが大きく、報酬も十分に手にすることができるといえるでしょう。
>>「乳児院の保育士の仕事内容とは?求人の傾向や探し方について」の記事を見る
学童保育・児童館
学童保育とは、通常小学校1年生〜3年生までの児童が保護者が迎えに来るまでの間を過ごす施設のことで、放課後クラブと言われることもあります。
小学校に併設の場合もありますが、児童館などで設置しているケースもあります。
学童保育で働く人を「学童保育指導員」と呼び、資格自体は必要ありません。
しかし、2015年内閣府が定めた「子ども・子育て支援新制度」では、学童保育施設1カ所に付き職員は2人以上、そのうち1人以上は「放課後児童指導員」でなければならないとしています。
この「放課後児童指導員」は一定の資格を有する者で、研修を受けた者と規定されていて、保育士の資格はその要件を満たす資格のうちの一つです。
また、「放課後児童指導員」は一般の学童保育士より少しお給料も高いようです。
学童保育での仕事の主は、学校が終わった子ども達のおやつを準備したり、遊んだり、宿題をしたりします。
学童保育で特に働きやすいのは、男性保育士です。
学童保育では小学生が対象となりますので、ドッチボールや鬼ごっこも保育園の幼児に比べ、一緒に遊ぶには体力が必要です。
男性保育士は増加しているものの、女児の着替えや排泄介助などにおいて、保護者からの懸念を心配した保育園では、なかなか登用が進まないのも現実です。
その点、学童保育ではすでにそのような生活介助は必要なく、ダイナミックな遊びを提供できる男性保育士は人気もあり、活躍しやすい職場といえるでしょう。
近年では、働く母親の増加とともに、学童保育の不足や民間からの学童事業への参入が相次いでいます。
通常、小学校3年生くらいまでだった預かりも、6年生まで拡大していく動きがみられ、学童保育での活躍の場面は広がりを見せています。
>>「学童保育で働く保育士の仕事内容とは?学童保育士のやりがいと魅力」の記事を見る
介護施設
高齢化や核家族化が進む日本では、「幼老複合施設(介護施設内併設保育所)」という施設が増えてきています。
この幼老複合施設では、高齢者との関わりが減っている子どもにとっても、思いやりや家庭的な暖かさの中で保育されるというメリットがあります。
また、介護士など介護施設で働く職員の子どもを預ける、という企業内保育所のような保育所不足の解消という側面もあります。
幼老複合施設での仕事は、いわゆる保育所と同様に遊びや給食、おやつの指導、日報の作成などです。
幼老複合施設では、保育士以外にも介護に関わる職員も含めて見守るため、危険回避のための大人の目が多数ありますが、一方でお年寄りの安全にも気を配らなければなりません。
加えて、季節行事などを施設全体で行う場合は、準備などが大規模となり、負担が増えることもあります。
これからの超高齢化社会を迎える日本では介護施設もますます増えることが見込まれています。
幼老複合施設には大手の企業も積極的に取り組んでいるため、就職先としての将来性は明るいといえるでしょう。
保育園の保育士の仕事のみにこだわるだけでなく、「生活支援」という共通項のある介護の現場の仕事を経験することで、子どもたちへの保育の幅も広がり、スキルアップにもつながります。
保育ママ
保育ママとは、主に3歳までの乳児を自宅内にて保育する家庭福祉員のことを言います。
保育ママは地方自治体などで認定され、個人事業主として登録することになります。
各自治体によって保育ママの認定条件はバラバラですが、下記のような条件が設定されていることが多いです。
・25歳~60歳くらいまでの人
・保育士/看護師資格/幼稚園教諭免許があるまたは子育て経験のある人
・同居親族に就学前の児童、看護や介護の必要な人がいない
・保育を専念とし、他に業務を持っていない
・風通しと日当たりの良い6畳以上の保育専用の部屋が確保できる
・ペットを飼っていない
・煙草を吸わない
ただし、中には、保育ママ制度がない場合もあります。
保育ママとして勤務したい方は、まずは自治体に保育ママ制度があるかどうかを確認する必要があるでしょう。
保育ママは一人で最大で3人の子どもの保育を行います。
基本保育時間は8時間で、それ以上の保育には延長料金を頂くことになります。
保育時間や延長保育については保育ママ自身が設定可能です。
自宅内で保育ママとして働く場合は、通勤時間が無く、延長保育を実施しないことも可能なため、ゆとりを持って働くことができるでしょう。
保育ママの報酬は保護者から支払われる保育料(20,000円〜25,000円/月)と自治体からの補助金(70,000円〜120,000円/月)とその他、延長保育料などが中心になります。
年収はおおよそ400万円〜600万円程度になると言われています。
経費を差し引いても、保育園勤務の保育士よりも収入は高いといえるでしょう。
保育ママのやりがいは小規模保育で、きめ細やかなサービスを提供できることにあります。
最大でも3名という人数なので、一人一人に合った保育を提供することで、保育ママへの保護者からの信頼は厚く、卒園後も人に慕われるお付き合いができることが多いようです。
一方で、待機児童問題などで、認可保育園に入所できない子どもの受け皿になっているのが保育ママの現状です。
急な欠員や新設保育園の増加で、年度途中にも担当幼児が転園していくことも多くあります。
せっかく築いた信頼関係が突如終わってしまう心理的な寂しさはもちろん、個人事業主としての収入に、大きな影響があることも覚悟しなければなりません。
ベビーシッター
ベビーシッターとは、依頼主のご要望の場所・時間にて子どもの保育を行う仕事です。
主には依頼主の自宅での保育となりますが、結婚式の会場の客室や、商業施設、映画館の近くなど、様々な場所が勤務先となります。
お預かりするお子さんは1〜3人程度と少人数で、ご両親のご都合がつかない場合にご兄弟でお預かりするケースなどが多いです。
ベビーシッターになるには、シッターを派遣する会社に登録したり、託児施設や託児ルームにて就職することが一般的ですが、中には個人事業主としてベビーシッター業を開業している人もいます。
ベビーシッターには資格は必要ありません。
しかし、大切なお子さんを預かるということから、保育士資格などの保育に関する資格を持っている人は優遇されるでしょう。
ベビーシッターの働き方は、様々です。
毎日、一定の時間の契約をして保育を行うケースもあれば、時にはご家族と共に旅行に行きながらお子様のサポートを行うなど、通常の保育士ではできない、貴重な体験ができることもあります。
ベビーシッターのお仕事は一人一人にきめ細やかな保育の提供が可能です。
画一的な保育ではなく、一人一人に合わせた保育をしたい人にはやりがいのある仕事でしょう。
一方で、シッティングの依頼が毎日一定であるわけではありません。
収入が毎月変動してしまう可能性があることや、希望時間以外でのご要望があることも理解しておくことが必要です。
>>「ベビーシッターに転職するメリット・デメリット!保育士や幼稚園教諭からの転職は実際どうなの?」の記事を見る
プリスクール
プリスクールとは英語で保育を行う施設のことです。
英語が教育になる前に英語の環境に浸って生活することで、ゆくゆくは英語で自己表現できるようになって欲しい、ということが主なねらいになっています。
プリスクールは一般的な保育園よりも教育に力を入れた多彩なカリキュラムを取り入れており、保育時間は4時間〜5時間程度と、幼稚園に近いイメージです。
ただし、プリスクールはいわゆる「認可外保育施設」に分類され、その届け出が出ておらず、単なる英語塾であるところも実在します。
プリスクールで働く保育士は、保育士として保育する役割を担うというよりは、主にネイティブ講師と保護者間での通訳や、保護者対応の代行などが多いようです。
インターナショナルスクールとは異なり、プリスクールに通う子どもたちの親は日本人が多く、日常の伝達事項を全て英語で行うと、ネイティブ講師の保育方針や指示をうまく理解できないこともあります。
言葉や文化の違いを理解し、ネイティブ講師や保護者を上手にサポートしていくことが求められます。
プリスクールで働きたい方に必要とされる英語力は、スクールによっても違います。
日常会話レベルを必須にするプリスクールが多い一方で、「英語が好き!」のみで、特に現時点の英語力を問わないプリスクールもあります。
英語力に自信がある場合はもちろん優位になりますので、積極的にアピールしましょう。
ベビーホテル
ベビーホテルとは、認可外保育施設のうち、次の三つの条件のいずれかを満たす施設のことを言います。
①午後8時以降の保育
②宿泊を伴う保育
③一時預かりの子どもが利用児童の半数以上を占めている保育施設
ホテルというと、宿泊イメージが強いですが、必ずしも深夜の時間帯の保育や宿泊機能を備えているわけではありません。
子ども家庭庁の調査によると、ベビーホテルの利用開始・終了時刻は次の表の通りです。
表3:ベビーホテルの利用開始・終了時刻
参考:子ども家庭庁「令和4年 地域児童福祉事業等調査結果の概況」
この表からも分かる通り、施設利用開始時刻については9:00~9:59、施設利用終了時刻は17:01~18:00の割合が高いと言えます。
一時期、ベビーホテルは認可外保育園で、ほぼ無法状態にその運営がなされていることが社会問題になりました。
現在は国からの行政指導が年に1度は入ることになっていますので、改善し適切な保育施設の運営がなされるようになりました。
しかし、一部では従来ほどの環境ではありませんが、まだまだ劣悪なところもあるようです。
ベビーホテルへの転職をお考えの場合は施設ごとの方針や労働体系、保育姿勢などをよく見極めた方が良さそうです。
幼児教室
幼児教室とは、未就学児を対象とした、知育、情操教育、語学教室、受験対策などを行う、いわゆる「お稽古事」「習い事」教室と言われるものです。
2022年に民間の教育関連企業が発表した調査によると、半数以上の56.1%の未就学児が何らかの習い事をしていることがわかりました。
少子化の中で、子どもに習い事をさせる傾向は今後も高まっていくといわれています。
幼児教室での仕事に、保育士の資格は必要ありません。
しかし、大手幼児教室の求人を見ると、「保育士の資格をもった方優遇」という求人がたくさんあることがわかります。
保育士が求められる理由は、その専門性です。
幼児教室は種類やジャンルは様々ですが、共通することは心、身体、知能という三つの分野を伸ばすことにあります。
保育士はこれらの分野の専門知識に長け、経験が豊富であることから、特に求められる人材ということになります。
幼児教室に通う子どもの保護者は、どちらかというと教育熱心で、子どもの可能性を伸ばすことに惜しみない協力をする傾向があります。
保護者と連携し、子どもの将来を見据えた能力を伸ばす仕事は、やりがいに満ちたものであることは言うまでもありません。
保育の専門性に加え、音楽や語学、受験対策などさらなる専門知識を身につける必要はありますが、求人も増えている注目の分野です。
ピアノ講師
子どもの習いごととして根強い人気があるのがピアノです。
ピアノ講師は自宅、もしくは施設にて子どもを対象にピアノを教える、いわゆるピアノの先生です。
保育士はピアノが得意な人が多いですし、子どもへの接し方も慣れていることから、人気の高い仕事です。
子どもの習いごとという仕事の性格上、平日の夕方か、土日のみのお仕事になりますので、長時間働くことができないなどの理由で働くことが難しい人から人気があります。
子育て支援センター
子育て支援センターは、地域の子育て家庭に対する育児支援を目的とした施設です。
自治体や地域によって呼び名が異なるため、子育て広場や子育て支援サロンなどの名称が使用されていることもあります。
子育て支援センターでは、育児相談や親子が自由に交流できる場所のため、保育士は相談に乗ったり、交流がしやすいように支援をします。
保育士資格がなくても問題ない仕事ではあるものの、やはり育児相談などは保育士の資格を持った人の方がより専門的に答えることができるため、多い傾向にあります。
0歳から特に幼稚園入園前のお子さんを育児している保護者から頼りにされる仕事として、経験を積んだベテランの保育士が多くこの仕事をしています。
>>「子育て支援センター(子育て広場)の役割や職員の仕事内容」の記事を見る
保育士人材会社
保育士を支援する保育士人材会社では、保育士の就職や転職などを支援します。
保育業界独特の風習を理解し、また就職や転職をする保育士さんの気持ちを理解できるため、高いニーズがあります。
ただ、保育士人材会社で保育士が手がける仕事は営業だったり、コーディネーターだったり様々です。
パソコンなどの一般事務はもちろん、企画書を作成したり、営業活動をしたり、プレゼンテーションを行うなど、全く異なるビジネスの世界での仕事ですので、保育の仕事の延長というイメージではないと思った方が良いです。
「保育士の仕事が好きではあるが、適性として向いていなかったな」などと考える方が転職することが多いようです。
保育園運営会社
保育園運営会社は、その名の通り保育園を運営する会社で、そのスタッフとして様々な仕事を行います。
身近なところでは保育士の採用や施設備品の発注など、保育園に関わることもありますが、実際には保育士人材会社と同じように保育士の仕事とは全く異なることが多いです。
例えば保育園の運営費の管理、人材の管理、保育園の適切な運営ができているか、保護者からの評価や満足度は高くなっているかどうかなど、現場の保育士よりも少し経営的な視点が必要です。
こちらも「保育士の仕事が好きではあるが、適性として向いていなかったな」などと考える方が転職することが多いようです。
保育士の専門性を活かす就職先は沢山ある!
保育士の資格は、保育園で保育士として働く以外にもたくさんの活躍の場があります。
また、保育士だからといって、必ずしも未就学の子どものみを仕事の対象としなければならないということもありません。
保育士資格を取得する上で学んだ知識は、子どもの発育を理解し、成長を促すだけではなく、療育や、保護者への働きかけ、母子を守ることなど専門性の高い知識です。
また、実際に保育士として勤務した方は、保護者とのコミュニケーションを通じて、円滑な協力関係を築くなどの力も身につけることもできています。
カテゴリ
保育士キャリア
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保育士の資格を活かして働ける職場は、保育園のみではありません。
実は、保育園以外にも保育士の資格を活かせる仕事や職場はたくさんあります。
また、待機児童問題や、共働きの増加によって、保育士資格保有者が活躍できる仕事や職場の種類も年々広がってきています。
保育士の資格取得者は、資格取得の過程で子どもの成長に必要な高度な知識を持っています。
保育園以外にもたくさんの場所でその専門性が必要とされてきているのです。
では、保育園以外にどのような仕事や職場で、保育士資格を活かして働くことができるのでしょうか。
本記事では、保育園以外で、保育士資格を活かして活躍できる仕事や職場の種類についてご紹介していきます。
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【記事監修】ずっと保育士編集部
「ずっと保育士」は、保育ひとすじ28年の株式会社明日香が運営する保育専門のキャリアサポートサービスです。結婚や出産、育児など、目まぐるしく変わるライフステージの中で、その時その時にぴったり合うお仕事を紹介したい。そして、保育の仕事でずっと輝き続けるあなたを応援したい、という想いで保育士の就職、転職、復職などのキャリア支援を行っています。また、「ずっと保育士」では保育士さんの疑問や悩みなどを少しでも解決すべくコラムを通した情報発信も積極的に行っています。
保育士資格を活かせる就職先とは?
保育士の仕事というと、保育園で働くイメージが強いと思います。
しかし、近年、待機児童問題や共働きの増加、子どもへの教育の多様化にともない、保育園以外にも、保育士資格を活かせる仕事や職場が増えてきています。
保育士資格を活かして働ける仕事や職場は、下記のように多種にわたり、今後はこれら以外にも、ますます広がっていくでしょう。
表1:保育士の資格が活かせる職場
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ここからは、それぞれの施設で具体的にどのような仕事をしているのか、詳細をご紹介していきます。
保育園・保育所
保育園とは未就学児童を対象に、保育を行う施設です。
就業、病気、介護など様々な事情で家庭での保育が難しいお子さんをお預かりする福祉施設の一つですので、厚生労働省の管轄になります。
お預かりする子供は0歳から6歳までと幅広く、子どもの成長を保護者とともに見守り、支援していきます。
保育園や保育所での仕事内容については、仕事内容をまとめた記事をご紹介しますので、ご覧ください。
>>「保育士の仕事内容や1日のスケジュールは?仕事時間はどれぐらい?」の記事を見る
幼稚園
幼稚園で働くために必要な資格は幼稚園教諭免状です。
現在保育士として働いている方でも、保育士養成機関で学んだ際に、幼稚園教諭免状とともに取得されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
保育園と、幼稚園は似て非なるところはある就業先ではありますが、現在は延長保育などを含めて、子どもを保育する時間がどんどん伸びている幼稚園。
保育士の経験を生かして働くことも可能です。
また、幼稚園は幼保一体型の園が増えています。
詳しくは次項のこども園にてご紹介しますが、「保育士だから保育園だけ」ではなく、幼稚園という選択肢も、経験を活かせる場になっています。
こども園
こども園とはこれまで文部科学省が管轄していた幼稚園と、厚生労働省が管轄していた保育園を一体化させ、「教育と保育」を融合させた施設のことです。
保育自体は同時に行いますが、内部では幼稚園コースと保育園コースに分かれている園が多いです。
こども園で働くメリットは、幅広いお子さんを見る機会を得ることができるという点です。
また、「保育」という観点以外にも「教育」という観点で子どもたちを指導する立場になることは、スキルアップに繋がるでしょう。
こども園では、子どもたちにお昼寝の時間がない場合もあります。
そのため預かり時間が短くお昼寝がない場合は、これまでお昼寝中に行っていた事務作業や工作の準備、お便りの作成などが勤務内に行うことができなくなることもあります。
また幼稚園型のこども園では、保護者会の結束も強く、協力をしていただける一方で園の方針について、丁寧に理解を求める必要もあります。
これまで保育士としてのキャリアを積んできた方にとっては、様々な意見が飛び交う新鮮なやり取りになるかもしれません。
なお、こども園では、保育士資格と幼稚園教諭免状の両方を持っていることが求められます。
とくに幼保一体型と言われる形態のこども園は両方を持っていることが必須です。
令和12年までは、保育士資格を持ち保育士として「3年かつ4320時間の勤務経験」があれば幼稚園教諭の免状の取得ができる特例措置がありますので、令和12年3月31日までに取得を検討しておくと、のちのち活躍の場が増えるかもしれません。
>>「保育士資格だけで働ける?知っておきたい「認定こども園」について」の記事を見る
病児保育室(病棟保育室)
病棟保育室とは、病気や怪我などで入院する子どもたちの保育を行う保育施設のことで、そこで働く保育士のことを、病児保育士、病棟保育士と呼びます。
主には小児科病棟で勤務することが多く、医療保育士とも呼ばれることがあります。
院内保育士と混同する場合がありますが、院内保育士とは院内で働く医師や看護師などの子どもを対象にした保育所の保育士のため、異なります。
病棟保育士の仕事は、0歳から18歳までの幅広い年齢の子どもを対象にしており、プレイルームで遊んだり、学習支援まで多岐にわたります。
プレイルームにまで来ることができない子には、病室まで足を運んで紙芝居や折り紙など、体の負担にならないよう配慮した保育が必要です。
中でも病棟保育士には、入院や治療により様々な制限を受けたり、生活環境が変わって不安な気持ちでいる子どもたちの、心に寄り添った保育が求められるでしょう。
病児保育士は、病棟内で働きますが、医療行為には携わりません。
夜間の医療ケアなども医師や看護師が行うため、夜勤もありません。
ただし、保育時間中は保育している子どもたちの病状を把握して、緊急時には適切な処置や保育、介助が求められます。
病状を理解する程度には、医療知識を身につけておく必要があります。
2007年には「医療保育士」という認定資格が日本医療保育学会より発行されており、病棟保育士の専門性が求められるようになりました。
不安なお子さんの気持ちに寄り添い、楽しい時間を過ごすことで、子ども達は前向きに治療に取り組むことができるかもしれません。
元気になって退院する時には、苦しい治療を共に乗り越えた達成感や、大きなやりがいを感じることができるでしょう。
>>「病棟保育士(医療保育士)の仕事内容とは?求人の傾向についても解説!」の記事を見る
院内保育所
院内保育所とは、病院に付属する保育所のことで、病院で働く医療従事者の子どもを院内で保育するところです。
院内保育所が作られた背景には、医師や看護師の24時間365日体制の働き方が大きく関係しています。
病院では、医師や看護師などが24時間365日体制で働いています。
しかし、一般的な保育園は通常7時半から18時半の預かりが多く、延長保育があったとしても24時間の対応があるとことはほとんどありません。
そのため、子どもが幼い頃は一時的に仕事を離れなければならなかったり、働く時間を変えて働いたり、医師や看護師に仕事と家庭の両立をして、仕事を続けてもらいたい病院側にとっては大きな損失につながっていました。
それを解消する目的で設立しているのが院内保育です。
ただ、院内保育といっても、子どもを保育するという仕事自体には違いありませんが、院内保育は一般的な保育園に比べて、保育する人数が少ないのが特徴です。
また、保護者の勤務時間によってお預かりする子どもの人数が異なるため、年齢ごとにクラスを分けることが難しく、異年齢をまとめた形での異年齢保育を実施することが多くなります。
発達の違いも考慮した0歳〜2歳、3歳から6歳と分けて保育するケースもあります。
また、病院の規模によって、用意している施設の大きさも異なります。
広い施設内の一角を区切り保育所を別棟で立てている院内保育所から、建物内の空いたスペースを区切って保育所としていることもあります。
詳しくは下記の記事に詳しくまとめてあります。
>>「院内保育が保育士に人気な理由とは?気になる仕事内容や給料について」の記事を見る
企業内保育所
企業内保育所とは、従業員の子どもを保育するための、企業内に設けられた施設のことです。
子どもが保育所に入ることができず、なかなか復職できない従業員や、子どもの預け先確保のために奔走している従業員のために企業側が提供するいわゆる福利厚生の一環のような形で提供されています。
企業内保育所は、ほとんどの場合その企業の施設内に設けられ、企業の営業時間のみ保育を行なっています。
普通の保育園の場合は、「月曜日から土曜日の7時半頃から18時半頃」までの保育時間が一般的ですが、親がなかなか迎えに来ないために延長保育が実施されるケースが多く見られます。
しかし、企業内保育所については、「月曜日から金曜日の8時半頃から18時半」と完全土日週休二日制となっている場合もあれば、「月曜日から日曜日までの24時間」の中でシフト勤務制になる場合もあり、保育時間が企業の営業時間により変わってくるという点が普通の保育園と違います。
企業内保育所での保育士の仕事は、小規模保育園に近いと考えて良いと思います。
0歳から3歳のお子様が多いため、赤ちゃんから、少し自由に遊べるようになった幼児までいます。
「企業内保育所だから」という特別な仕事はありません。
ただし、保護者の方が近いということもあり、普通の保育園ではない密接なコミュニケーションが取れることは特徴の1つです。
例えば、休憩中に少し抜け出して、授乳をしにくるお母さんがいたりなどは、普通の保育園では出会うことのない光景です。
また、企業内保育所に預けるのは何も母親が働いている従業員とは限りません。
父親の働く会社の保育所という場合もあれば、両親ともに働いているということもあります。
普通の保育園ではどうしても母親主体で送迎や話し合いがなされることがありますが、父親の参加も非常に多いのが企業内保育所の特徴です。
保護者とともに子どもの成長を支援するという意味においては、親の「無関心」などの心配は必要なさそうです。
企業内保育士の仕事については、次の記事で詳しくまとめてあります。
>>「企業内保育所で働く保育士の仕事内容とは?給料や求人は?」の記事を見る
託児所
託児所とは国や自治体によって認可されていない保育施設のことです。
いわゆる「認可外保育施設」ですが、一般的に言う認可外保育園というよりは、企業内に設置されていたり、子どもを一時的に預かって面倒を見る施設と分類されることが多いでしょう。
最近では特色ある託児所も増えてきたため、一概には言えませんが、一般的な託児所では、短時間での一時預かりなども多いため、保育指針やねらいなどの年間計画、週報、連絡帳、お便りなど事務作業に時間が取られることはありません。
また、時間帯によっては外出もしないためお散歩や外遊びなどもありません。
屋内にて、手遊びや歌、本読みなど比較的穏やかに保育できるでしょう。
託児所は保育士資格を持っていなくても働くことができます。
そのため、保育士資格を持っているということであれば、保護者からの信頼も厚くなり、優遇されるでしょう。
ただし託児所で働く場合、保育士資格を持っていない人が中心になるため、我流の子育てをしている人たちと働くことになります。
保育士にとって常識であることが通用しないなど、保育方針に隔たりが生じてしまうこともある可能性もあります。
仕事のやり方や施設の方針は事前に確認をしておくと良いでしょう。
児童福祉施設
児童福祉施設とは、1998年に施行された改正・児童福祉法に規定された下記の14の施設を指し、児童福祉施設で働く保育士を「施設保育士」と呼びます。
施設保育士になるためには保育士資格は必須です。
表2:児童福祉施設一覧
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中でも、児童養護施設は数が多く、よく知られた施設になるのではないでしょうか。
児童養護施設は、保護者のない児童、虐待されている児童その他環境上擁護を擁する児童を入所させて、これを擁護し、あわせて退所したものに対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設です。
24時間365日、まさに子どもにとって「家」と言える施設での仕事は、保護者に近い役割が求められます。
仕事内容は、日常生活の介助に加え、将来的な自立に向けた生活に必要な知識を学ばせていくといった仕事が中心になるでしょう。
また、虐待等で心に傷を負った子どもたちのケアは保護者以上の専門知識と、愛情を持って接する必要があります。
施設保育士の働き方は、シフト制で夜勤や休日出勤など、過酷であることは間違いありません。
しかし、子どもの保護者として、生活やメンタルを支えるやりがいも非常に高い仕事です。
心身ともに自立を助け、傷ついた子どもの成長を手助けしたい、という強い思いのある方や、福祉に対する熱い思いをお持ちのかたにはうってつけの職場であると言えます。
>>「保育士経験を生かせる児童指導員とは?必要な資格や仕事内容」の記事を見る
>>「児童擁護施設で働く保育士の役割や仕事内容は?」の記事を見る
乳児院
乳児院とは、原則として1歳未満の乳児を主に、必要があれば、小学校入学以前の幼児も療育することができる施設です。
かつての入所者理由は、戦災孤児や捨て子が大半を占めましたが、現在では児童虐待の被害者や父母の精神疾患、親の出産や入院時の一時預かり者の不在などが理由で、入所しています。
乳児院のお仕事とは、保護者に代わって子どもの生活を支えることです。
子どもにとって、乳児院は「家庭」です。
保育所では、日中の一部の時間を保育士のみで支えることに対し、乳児院は24時間を医師や看護師、保健師など他職種と連携しチームとなって養育します。
職員には、定期的な夜勤もあります。
乳児院では、保育士一人に1〜2名の担当乳児がつき、家庭的なイベントや入浴介助、定期健診、予防接種の付き添いなど、一般的な家庭で行われる機能を代行するのが、その仕事の中心です。
入所理由にもあるように、複雑な家庭環境から入所に至る子どもも多いため、愛情を注ぐことや心のケアは最も重要な仕事です。
胸を痛める環境に遭遇(そうぐう)することもありますが、自分の担当した乳児に関しては、児童相談所とのやり取りを行ったり、保護者や里親との定期的な面談を行いながら、子どもにとって最適な環境を作り出していくやりがいのある仕事です。
乳児院で働く場合、給与は一般的な保育所より高い傾向にあります。
夜勤手当等が最低でも5,000円以上が一般的ですし、運営が国や自治体に費用面で支えられていることから、経営も安定しており安心して働くことができます。
乳児院の仕事は、心理的ケアや保護者対応、夜勤など通常の保育所よりも厳しい環境での仕事も多いですが、その分、やりがいが大きく、報酬も十分に手にすることができるといえるでしょう。
>>「乳児院の保育士の仕事内容とは?求人の傾向や探し方について」の記事を見る
学童保育・児童館
学童保育とは、通常小学校1年生〜3年生までの児童が保護者が迎えに来るまでの間を過ごす施設のことで、放課後クラブと言われることもあります。
小学校に併設の場合もありますが、児童館などで設置しているケースもあります。
学童保育で働く人を「学童保育指導員」と呼び、資格自体は必要ありません。
しかし、2015年内閣府が定めた「子ども・子育て支援新制度」では、学童保育施設1カ所に付き職員は2人以上、そのうち1人以上は「放課後児童指導員」でなければならないとしています。
この「放課後児童指導員」は一定の資格を有する者で、研修を受けた者と規定されていて、保育士の資格はその要件を満たす資格のうちの一つです。
また、「放課後児童指導員」は一般の学童保育士より少しお給料も高いようです。
学童保育での仕事の主は、学校が終わった子ども達のおやつを準備したり、遊んだり、宿題をしたりします。
学童保育で特に働きやすいのは、男性保育士です。
学童保育では小学生が対象となりますので、ドッチボールや鬼ごっこも保育園の幼児に比べ、一緒に遊ぶには体力が必要です。
男性保育士は増加しているものの、女児の着替えや排泄介助などにおいて、保護者からの懸念を心配した保育園では、なかなか登用が進まないのも現実です。
その点、学童保育ではすでにそのような生活介助は必要なく、ダイナミックな遊びを提供できる男性保育士は人気もあり、活躍しやすい職場といえるでしょう。
近年では、働く母親の増加とともに、学童保育の不足や民間からの学童事業への参入が相次いでいます。
通常、小学校3年生くらいまでだった預かりも、6年生まで拡大していく動きがみられ、学童保育での活躍の場面は広がりを見せています。
>>「学童保育で働く保育士の仕事内容とは?学童保育士のやりがいと魅力」の記事を見る
介護施設
高齢化や核家族化が進む日本では、「幼老複合施設(介護施設内併設保育所)」という施設が増えてきています。
この幼老複合施設では、高齢者との関わりが減っている子どもにとっても、思いやりや家庭的な暖かさの中で保育されるというメリットがあります。
また、介護士など介護施設で働く職員の子どもを預ける、という企業内保育所のような保育所不足の解消という側面もあります。
幼老複合施設での仕事は、いわゆる保育所と同様に遊びや給食、おやつの指導、日報の作成などです。
幼老複合施設では、保育士以外にも介護に関わる職員も含めて見守るため、危険回避のための大人の目が多数ありますが、一方でお年寄りの安全にも気を配らなければなりません。
加えて、季節行事などを施設全体で行う場合は、準備などが大規模となり、負担が増えることもあります。
これからの超高齢化社会を迎える日本では介護施設もますます増えることが見込まれています。
幼老複合施設には大手の企業も積極的に取り組んでいるため、就職先としての将来性は明るいといえるでしょう。
保育園の保育士の仕事のみにこだわるだけでなく、「生活支援」という共通項のある介護の現場の仕事を経験することで、子どもたちへの保育の幅も広がり、スキルアップにもつながります。
保育ママ
保育ママとは、主に3歳までの乳児を自宅内にて保育する家庭福祉員のことを言います。
保育ママは地方自治体などで認定され、個人事業主として登録することになります。
各自治体によって保育ママの認定条件はバラバラですが、下記のような条件が設定されていることが多いです。
・25歳~60歳くらいまでの人
・保育士/看護師資格/幼稚園教諭免許があるまたは子育て経験のある人
・同居親族に就学前の児童、看護や介護の必要な人がいない
・保育を専念とし、他に業務を持っていない
・風通しと日当たりの良い6畳以上の保育専用の部屋が確保できる
・ペットを飼っていない
・煙草を吸わない
ただし、中には、保育ママ制度がない場合もあります。
保育ママとして勤務したい方は、まずは自治体に保育ママ制度があるかどうかを確認する必要があるでしょう。
保育ママは一人で最大で3人の子どもの保育を行います。
基本保育時間は8時間で、それ以上の保育には延長料金を頂くことになります。
保育時間や延長保育については保育ママ自身が設定可能です。
自宅内で保育ママとして働く場合は、通勤時間が無く、延長保育を実施しないことも可能なため、ゆとりを持って働くことができるでしょう。
保育ママの報酬は保護者から支払われる保育料(20,000円〜25,000円/月)と自治体からの補助金(70,000円〜120,000円/月)とその他、延長保育料などが中心になります。
年収はおおよそ400万円〜600万円程度になると言われています。
経費を差し引いても、保育園勤務の保育士よりも収入は高いといえるでしょう。
保育ママのやりがいは小規模保育で、きめ細やかなサービスを提供できることにあります。
最大でも3名という人数なので、一人一人に合った保育を提供することで、保育ママへの保護者からの信頼は厚く、卒園後も人に慕われるお付き合いができることが多いようです。
一方で、待機児童問題などで、認可保育園に入所できない子どもの受け皿になっているのが保育ママの現状です。
急な欠員や新設保育園の増加で、年度途中にも担当幼児が転園していくことも多くあります。
せっかく築いた信頼関係が突如終わってしまう心理的な寂しさはもちろん、個人事業主としての収入に、大きな影響があることも覚悟しなければなりません。
ベビーシッター
ベビーシッターとは、依頼主のご要望の場所・時間にて子どもの保育を行う仕事です。
主には依頼主の自宅での保育となりますが、結婚式の会場の客室や、商業施設、映画館の近くなど、様々な場所が勤務先となります。
お預かりするお子さんは1〜3人程度と少人数で、ご両親のご都合がつかない場合にご兄弟でお預かりするケースなどが多いです。
ベビーシッターになるには、シッターを派遣する会社に登録したり、託児施設や託児ルームにて就職することが一般的ですが、中には個人事業主としてベビーシッター業を開業している人もいます。
ベビーシッターには資格は必要ありません。
しかし、大切なお子さんを預かるということから、保育士資格などの保育に関する資格を持っている人は優遇されるでしょう。
ベビーシッターの働き方は、様々です。
毎日、一定の時間の契約をして保育を行うケースもあれば、時にはご家族と共に旅行に行きながらお子様のサポートを行うなど、通常の保育士ではできない、貴重な体験ができることもあります。
ベビーシッターのお仕事は一人一人にきめ細やかな保育の提供が可能です。
画一的な保育ではなく、一人一人に合わせた保育をしたい人にはやりがいのある仕事でしょう。
一方で、シッティングの依頼が毎日一定であるわけではありません。
収入が毎月変動してしまう可能性があることや、希望時間以外でのご要望があることも理解しておくことが必要です。
>>「ベビーシッターに転職するメリット・デメリット!保育士や幼稚園教諭からの転職は実際どうなの?」の記事を見る
プリスクール
プリスクールとは英語で保育を行う施設のことです。
英語が教育になる前に英語の環境に浸って生活することで、ゆくゆくは英語で自己表現できるようになって欲しい、ということが主なねらいになっています。
プリスクールは一般的な保育園よりも教育に力を入れた多彩なカリキュラムを取り入れており、保育時間は4時間〜5時間程度と、幼稚園に近いイメージです。
ただし、プリスクールはいわゆる「認可外保育施設」に分類され、その届け出が出ておらず、単なる英語塾であるところも実在します。
プリスクールで働く保育士は、保育士として保育する役割を担うというよりは、主にネイティブ講師と保護者間での通訳や、保護者対応の代行などが多いようです。
インターナショナルスクールとは異なり、プリスクールに通う子どもたちの親は日本人が多く、日常の伝達事項を全て英語で行うと、ネイティブ講師の保育方針や指示をうまく理解できないこともあります。
言葉や文化の違いを理解し、ネイティブ講師や保護者を上手にサポートしていくことが求められます。
プリスクールで働きたい方に必要とされる英語力は、スクールによっても違います。
日常会話レベルを必須にするプリスクールが多い一方で、「英語が好き!」のみで、特に現時点の英語力を問わないプリスクールもあります。
英語力に自信がある場合はもちろん優位になりますので、積極的にアピールしましょう。
ベビーホテル
ベビーホテルとは、認可外保育施設のうち、次の三つの条件のいずれかを満たす施設のことを言います。
①午後8時以降の保育
②宿泊を伴う保育
③一時預かりの子どもが利用児童の半数以上を占めている保育施設
ホテルというと、宿泊イメージが強いですが、必ずしも深夜の時間帯の保育や宿泊機能を備えているわけではありません。
子ども家庭庁の調査によると、ベビーホテルの利用開始・終了時刻は次の表の通りです。
表3:ベビーホテルの利用開始・終了時刻
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参考:子ども家庭庁「令和4年 地域児童福祉事業等調査結果の概況」
この表からも分かる通り、施設利用開始時刻については9:00~9:59、施設利用終了時刻は17:01~18:00の割合が高いと言えます。
一時期、ベビーホテルは認可外保育園で、ほぼ無法状態にその運営がなされていることが社会問題になりました。
現在は国からの行政指導が年に1度は入ることになっていますので、改善し適切な保育施設の運営がなされるようになりました。
しかし、一部では従来ほどの環境ではありませんが、まだまだ劣悪なところもあるようです。
ベビーホテルへの転職をお考えの場合は施設ごとの方針や労働体系、保育姿勢などをよく見極めた方が良さそうです。
幼児教室
幼児教室とは、未就学児を対象とした、知育、情操教育、語学教室、受験対策などを行う、いわゆる「お稽古事」「習い事」教室と言われるものです。
2022年に民間の教育関連企業が発表した調査によると、半数以上の56.1%の未就学児が何らかの習い事をしていることがわかりました。
少子化の中で、子どもに習い事をさせる傾向は今後も高まっていくといわれています。
幼児教室での仕事に、保育士の資格は必要ありません。
しかし、大手幼児教室の求人を見ると、「保育士の資格をもった方優遇」という求人がたくさんあることがわかります。
保育士が求められる理由は、その専門性です。
幼児教室は種類やジャンルは様々ですが、共通することは心、身体、知能という三つの分野を伸ばすことにあります。
保育士はこれらの分野の専門知識に長け、経験が豊富であることから、特に求められる人材ということになります。
幼児教室に通う子どもの保護者は、どちらかというと教育熱心で、子どもの可能性を伸ばすことに惜しみない協力をする傾向があります。
保護者と連携し、子どもの将来を見据えた能力を伸ばす仕事は、やりがいに満ちたものであることは言うまでもありません。
保育の専門性に加え、音楽や語学、受験対策などさらなる専門知識を身につける必要はありますが、求人も増えている注目の分野です。
ピアノ講師
子どもの習いごととして根強い人気があるのがピアノです。
ピアノ講師は自宅、もしくは施設にて子どもを対象にピアノを教える、いわゆるピアノの先生です。
保育士はピアノが得意な人が多いですし、子どもへの接し方も慣れていることから、人気の高い仕事です。
子どもの習いごとという仕事の性格上、平日の夕方か、土日のみのお仕事になりますので、長時間働くことができないなどの理由で働くことが難しい人から人気があります。
子育て支援センター
子育て支援センターは、地域の子育て家庭に対する育児支援を目的とした施設です。
自治体や地域によって呼び名が異なるため、子育て広場や子育て支援サロンなどの名称が使用されていることもあります。
子育て支援センターでは、育児相談や親子が自由に交流できる場所のため、保育士は相談に乗ったり、交流がしやすいように支援をします。
保育士資格がなくても問題ない仕事ではあるものの、やはり育児相談などは保育士の資格を持った人の方がより専門的に答えることができるため、多い傾向にあります。
0歳から特に幼稚園入園前のお子さんを育児している保護者から頼りにされる仕事として、経験を積んだベテランの保育士が多くこの仕事をしています。
>>「子育て支援センター(子育て広場)の役割や職員の仕事内容」の記事を見る
保育士人材会社
保育士を支援する保育士人材会社では、保育士の就職や転職などを支援します。
保育業界独特の風習を理解し、また就職や転職をする保育士さんの気持ちを理解できるため、高いニーズがあります。
ただ、保育士人材会社で保育士が手がける仕事は営業だったり、コーディネーターだったり様々です。
パソコンなどの一般事務はもちろん、企画書を作成したり、営業活動をしたり、プレゼンテーションを行うなど、全く異なるビジネスの世界での仕事ですので、保育の仕事の延長というイメージではないと思った方が良いです。
「保育士の仕事が好きではあるが、適性として向いていなかったな」などと考える方が転職することが多いようです。
保育園運営会社
保育園運営会社は、その名の通り保育園を運営する会社で、そのスタッフとして様々な仕事を行います。
身近なところでは保育士の採用や施設備品の発注など、保育園に関わることもありますが、実際には保育士人材会社と同じように保育士の仕事とは全く異なることが多いです。
例えば保育園の運営費の管理、人材の管理、保育園の適切な運営ができているか、保護者からの評価や満足度は高くなっているかどうかなど、現場の保育士よりも少し経営的な視点が必要です。
こちらも「保育士の仕事が好きではあるが、適性として向いていなかったな」などと考える方が転職することが多いようです。
保育士の専門性を活かす就職先は沢山ある!
保育士の資格は、保育園で保育士として働く以外にもたくさんの活躍の場があります。
また、保育士だからといって、必ずしも未就学の子どものみを仕事の対象としなければならないということもありません。
保育士資格を取得する上で学んだ知識は、子どもの発育を理解し、成長を促すだけではなく、療育や、保護者への働きかけ、母子を守ることなど専門性の高い知識です。
また、実際に保育士として勤務した方は、保護者とのコミュニケーションを通じて、円滑な協力関係を築くなどの力も身につけることもできています。